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みんなのキニナルを解決!? プロに聞く!Q&A

特集シリーズ \ 第4弾 /

Contents

E♭クラリネット
B♭クラリネット
アルトクラリネット
バスクラリネット

◆バスクラリネット:京谷麻里子 Mariko Kyotani

京谷麻里子さん

中学よりクラリネットを始める。国立音楽大学卒。卒業後青年海外協力隊に参加。中米ホンジュラスにて吹奏楽、国立オーケストラなどで活動。帰国後シエナ・ウインド・オーケストラにバスクラリネット奏者として入団。クラリネットを阿部しずえ、大橋幸夫、濱中浩一各氏に師事。

Q.バスクラを吹くときに注意することは?

念願のバスクラになりました! 今までBbクラを吹いていたので、バスクラを吹くときに気をつけることを教えてください。

A.基本はB♭クラと一緒

まず楽器の点検から始めてください。組み立て中に起きてしまう接続部やキィのゆがみなどのチェックは必ず。バスクラは楽器の重さのわりには つなぎ目の接続部のコルクが薄いので要注意です。
次に姿勢です。エンドピンを調整して、無理なく呼吸をし、長時間の演奏に耐えられる楽な姿勢を保つための最適な高さを探します。
そしていよいよアンブシュアですが、基本はクラリネットと同じです。
マウスピースが大きくなったせいで、ゆるみがちになってしまうので気をつけましょう。特にタンギングの時に顎ごと動いてしまう人がいますが、音程が不安定になります。以上がしっかりしないうちに曲をガンガン吹くのはよくありません。このポイントは押さえてください。
あとは音色ですが、付けるリードの抵抗感によってかなりいろんな音が出ます。曲に合う音色をイメージしながらリードを選んでみてください。



Q.リズムが遅れる!

リズムを刻むときに遅れてしまいます。Bbクラとどのくらいの違いでリズムを刻めばいいのでしょうか。

A.「ついて来い!」の気持ちが大切

結論から言いますと、私は「どれだけ速く」などと具体的なことを考えず、 臨機応変、常時情報処理、 敏速対応などを心がけています。
ちょっと視点を変えて問題の解決の糸口を教えます。
まず基本的に指定テンポで自分が演奏できることが大事です。次に楽器の特性を知る。録音してみるのもアリです。 演奏している自分を第三者のように聴くのは、効果的な練習法です。あれこれ練習で努力しても響き具合の違うホールによっては効果なしなんてこともあります。
実は低音楽器がテンポの主導権を持つような気持ちをしっかりもつことが大事なポイントでもあります。周りに「ついていく!」ではなく、「ついて 来い!」と言えるぐらいの気持ちが重要です。



Q.しっかりとした低音を出したい!

今年からバスクラになりました。バスクラの魅力である低音がしっかり出せません。音が細いように思います。低音に特化した練習を教えてください!

A.B♭クラで育てた耳を役立てよう

今までの別の楽器のキャリアが長いほど、新しい楽器に慣れるには時間がかかることをまず覚悟しましょう。
練習については、やはりロングトーン、次にスケールです。ロングトーンの音域は中音域から始めて次に低音域、高音域と広げていきます。スケールはまずレガートで1オクターブ。音色がそろってきたら2オクターブへと広げます。必要な息やスピード感などももちろん違いますが、これまでクラリネットを吹いて育ててきた耳を役立ててください。
その後タンギングの練習も実は重要です。発音時にはB♭クラリネットよりアンブシュアが不安定になりやすいので、注意深く自分の音を聴きながら行なってください。



Q.バスクラでやっておくとよい練習を教えて!

バスクラの練習法など、教えてください。

A.目標とするイメージを持とう

私の場合、クラリネットの時と違う特別な練習方法というのはしていません。スタンダードにロングトーン、スケール、アルペジオ、タンギング等々。もちろん、これまでとは息の入る量もマウスピースの大きさも、アンブシュアも違ってくるので、い つも以上に注意深く観察しながら進めることになります。
しばらくして慣れてくると良くなってくる部分や自分の弱点も分かってきます。そうしたらそれに合った練習を自分で組み立てる。そこを考えるのが楽しいと思えるといいですね。大切なのは、目標とするイメージを持つこと、実際の自分の音を注意深く聴くこと、日々の工夫です。



Q.エンドピンはどうする?

最近様々なエンドピンが出ています。素材や長さ、形状などたくさんの種類がありますが、ほとんどは先が尖っています。ホールや練習場によっては尖ったエンドピンを床に刺すことができないのですが、プロの方はどんな対策をしていますか?

A.立てる場所によっても音が変わる

材質などたしかにいろいろあるようで、私も試したことがあります。チタンが良いという人もいます。もっと響きを豊かにしたいと考えているなら、読者の皆さんも試してみる価値はあると思います。
さて、お答えですが、私はこれまで演奏会場での使用を咎められたことはありません。オーケストラが演奏するような舞台にはすでにチェロ、コントラバスによると思われる小さな穴があります。
その穴があることを一応チェックはして、それがあれば大丈夫と考えるようにしています。
しかしこれまで、以下のような場所で困ったことがあります。
それは……
①畳(合宿所での演奏)
②つるつる滑る固いタイルの上
③完成したばかりの床の美しい会議場
こうやって書いてみると、お客様がチケットを買うような有料の演奏会では大体問題なし。それ以外の式典などの時は問題があるときもあります。そのときは、球状の硬質ゴム(クランポンのプレスティージュ付属)を取り付けました。場合により取り外しができて便利です。私は常にこのパーツをケースに入れています。
余談ですが、エンドピンを立てるポイントによって音が違うことも最近発見しました。床は板が何枚も接いでありますよね? 床を叩くと場所によって微妙に音が違うように、バスクラの響きも変わるんです。是非試してみてください。



Q.これだけはやっておきたい!

バスクラでこれだけは気をつけてほしい、 この練習はしてほしいものは?

A.楽器の調整~基礎練習まで

これだけは気をつけてほしいトップは「楽器の調整」です。上手くならない理由のトップは楽器の調子が悪い、ということです。もちろん良いリード、マウスピースも重要です。
必ずしてほしい練習は「スケールの練習」です。できれば全調、ノーブレス、2オクターブ以上、結構な速さが良いです。低音域から高音域まで一息で音色、音量のコントロールにも気を使います。ブレス、指、アンブシュア、音程感、リズム感、フレーズ感、スケール一つですべての練習をしているつもりで。私はスケール練習は完全栄養食、と言っています。
ちなみにバスクラロング管のスケールはなかったこともあり、アイヒラーのスケールを参考に自分で書いたものがあります。高音はそこそこまで使い、最低音までカバーしていて、一息で吹くにはきついですが、全調吹くと、インナーマッスルまでこなれた感があります。是非試してみてください。

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