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19回 | 音色をそろえよう!

THE SAX vol.69(2015年1月25日発刊)より転載 

「はい、そこ音色そろえて!」……指揮者によく言われませんか? 合わせたくても合わないという人も多いでしょう。身長や体格、唇など他の人とまったく同じ人はいません。だから音色を合わせるのは難しいのです。でも、音色を合わせるためのコツはあります。今回は「音色をそろえる」ためのコツを田中さんに聞きました!

Q1.「音色を合わせる」というのはどういうふうに捉えたらいいですか?

吹奏楽でサックスパートがソリでアンサンブルをすることがよくありますが(例えば『カンタベリー・コラール』、短いですが……)、「音色を合わせなさい」と言われます。サックスと言ってもアルトとテナー、バリトンは音域も違うし音色も違います。「音色を合わせる」というのはどういうふうに捉えたらいいですか?

A. 音色を合わせるとは、ブレンド(融合)すること
音色を合わせるということはアンサンブルにおいてとても大切なことですね。
これは同じ音にするということではなく、ブレンド(融合)することなのです。ではブレンドするには?というと、

①共演者の音をよく聴きましょう。
聞こえなければ相手の音と同じ音量で、または少しだけ弱い音で演奏しましょう。意識としては、相手の音の中に入るような気持ちで演奏することです。
音量を合わせることは音色を合わせる第一歩です。

②音が聞こえたら、音程に注意します。これはお互いが寄り添う(歩み寄る)ことが必要です。
例えば、バリトン サックスの低いド(実音ミb)は音程が低めになりますが、フィンガリングでの音程修正はできない音域です。
これにソプラノの高いファ(実音ミb)や、アルトの高いド(実音ミb)が重なって音程が合わない場合、音程の修正が可能な音域であるソプラノやアルトがバリトンに合わせてあげると良いでしょう。
音程は、チューニングしてあっても常に動くものなので、常にお互い聴き合って寄り添うことが大切です。
これも音色を合わせることのひとつです。

③歌い方を合わせることも音色を合わせる要素です。
それはメロディに限らず、ハーモニーや、ユニゾンの長い音、リズムも同じです。

以上の3つは、音色を合わせることだけではなく、音楽を演奏する基本的なことです。

Q2.ソプラノをか細くならずに吹くには?

今度吹く曲でメインはアルトですが、途中で持ち替えでソプラノを吹きます。アルトはほぼ毎日吹いているので、自信があるのですが、ソプラノは吹き慣れていないからかもしれませんが、音がか細くなります(特に高音)。アルトのようにしっかりした音で吹くには、やはり基礎練習をたくさんする必要がありますか?

A. 曲の練習だけでなく、ロングトーン、スケールやエチュードも
ソプラノに慣れていないという意識があるならば、アルトと同じように練習して慣れることが必要です。
その曲だけを練習するのではなくて、ロングトーン、スケール、アルトで吹いているエチュードなどを使って練習して、楽器をコントロールできるようになりましょう。
サクソフォンは他の楽器に比べると、持ち替えがしやすいと思います。それは吹くこと、フィンガリング、楽譜との関連などがとても便利に出来ているからなのですが、管やマウスピースの大きさが違うので、息の入れ方やマウスピースをくわえる位置は、それぞれに合った吹き方が必要です。
マウスピースをくわえる口の位置は、下顎が大切です。マウスピースにリードを付けた状態で、横から見てください。
先端は息が入るところなので、マウスピースとリードは離れていますね? 元のほうへ見ていくと、マウスピースとリードとの接点がありますね? そこが下顎が当たるところです。そこを合わせると、自ずと上顎の位置が決まります。教則本にはよく、上歯の位置を示す説明が多いのですが、歯並びや顎の骨格は人それぞれなので、下顎の位置に気を付けてください。
アルトからソプラノに持ち替える時は、ソプラノのマウスピースのくわえ方が深くならないように位置に注意してください。

Q3. パートでヴィブラートは合わせた方がいいですか?

サックスパートでユニゾンを吹く場合、ヴィブラートを合わせる必要がありますか? また後輩はまだヴィブラートがうまくかけられません。そんな場合は、サックスパートみんなヴィブラートをつけないほうがいいですか?

A. ヴィブラートを使うことで音色がブレンドするようになると良いです
ヴィブラートの数を合わせなくても良いのですが、ヴィブラートを使うことで音色がブレンドするようになると良いですね。
また、リードするパート(大抵は1stアルト サクソフォン)を上回らない音色感を意識した場合、ヴィブラートを使わないこともあって良いと思います。
パートの中にヴィブラートをコントロールできない人がいる場合、無理に使うとかえって効果的でなくなるでしょうから、使わないほうが良いでしょう。
もちろん練習して使えるようになれば表現が広がりますよ。

Q4.テナーとユーフォの柔らかい音色を合わせるには?

私はテナーを担当している高校2年生です。合奏をしていると、ユーフォとユニゾンになることが多く、音量のバランスについていつも注意されます(私のほうが大きいらしいです)。なるべくユーフォを聴いて小さめに吹くようにしていますが、「音色に角がある」と言われたこともあります。ユーフォと合わせるときに注意することや、柔らかい音を出すための練習法を教えてください。

A. ユーフォの柔らかい音色とサクソフォンの明るくクリアな要素は、ブレンドした時に効果的
ユーフォニウムとテナーサクソフォンのユニゾンは、吹奏楽の作品では度々出てきますね。これは音域のテンションが近いことと、ユーフォニウムもテナー サクソフォンもあたたかく柔らかい音色ですが、サクソフォンの明るくクリアな要素が、ブレンドした時にとても効果的だからです。
音量が大きいならば、ユーフォ二ウムを追い越さないように寄り添いましょう。私はあなたの音を聴いたことがないので、音色については何とも言えないのですが、「音に角が」あると言われるならば、ユーフォ二ウムの音色のような柔らかい音をイメージすることです。
音色をより柔らかく保つには、管に暖かい息を吹き込むように、声を出して歌う時と同じように喉をより自然な状態に保ち、豊かな響きを作るように演奏することです。

Q5. パートで音色を揃えるのに、パートでロングトーンの練習をするのはどうですか?

「パートで音色を揃えよう!」という目標を立ててロングトーンをやっています。サックス担当でフルートを個人的に習っている先輩がいて、「ソノリテについて」という本を持ってきてくれました。その最初に書いてある半音ずつ上ったり、下がったりする練習をするといいよ、ということで全員でそのロングトーンをやっています。ただパート全体でロングトーンをやる必要があるのか疑問に思うこともあります。パートでロングトーンをする必要ありますか? またロングトーンをするときの(個人、パートでの両方)のこれだけは気をつけて!というのがあったら教えてください。

A. 目的を持って取り組めばその効果はあります
ロングトーンに限らず、どんな練習をする時でも、何かしら目的を持って取り組めばその効果はあります。
個人でロングトーンや音階を練習する時は、それをただ無機質に吹くのではなく、音を出す時は常に音楽であることを意識すると、どんな音を出したいかということを感じられるようになるでしょう。
それは発音や音の移り変わり、音の終わりまでをもっと大切に演奏しようということになるのです。
パートで一緒に練習する時も同じですが、個人との違いはアンサンブルを意識した練習になるということです。
音色を合わせるということは、前述のQ1でありますから、参考にしてください。

Q6.音量の変化で音色が変わってしまうのを防ぐには?お腹の支え方は?

音量の変化の付け方に悩んでします。cresc.よりもdim.するときに、ある一定の音量になると、音色ががらっと変わります(自分が考えるPぐらいの音量ぐらいから雑音が多くなる)。先輩からは「音量が一人だけ大きいから音色も合わない!」とよく怒られます。音が小さくなっていく時には、自分のお腹の支えをなるべく上に持っていこうと考えながら吹いています。田中さんはお腹の支えはどんなふうにしていますか?

A. 荷物を持ち上げることと、降ろすことをイメージして
cresc.decresc.を、何か物を持ち上げることと降ろすことに例えてみます。
どちらも同じ速さでゆっくりやってみると、持ち上げる時より降ろす時のほうが落ちようとするスピードを抑えるために支えを意識すると思います。
cresc.は強くするために息のスピードを速くしてゆき、decresc.は弱くするために息のスピードを遅くしてゆきますが、物を降ろす時と同じように支えがなくならないようにしないと、急に音が弱く不安定になってしまいます。
一息で吹けて無理のない長さで良いので、同じ拍数でcresc.してdecresc.するロングトーンの練習を繰り返しやってみましょう。
息がしっかり吸えて、ある程度楽器を吹ける人なら簡単にできることだと思います。
丁寧に練習してみてください。

Q7. ブレスで音色が揃う?みんなと合わせるためのブレスの取り方は?

以前、学校にサックスのコーチが来てくれてパートでレッスンを受けました。そのときに「ブレスを合わせれば音色や音程もそろいやすい」と教わりました。そのときはコーチの合図(指揮)で音を出していたので、すごくうまくいっていたのですが、自分たちでやると出だしもバラバラになります。みんなと合わせるためのブレスの取り方を教えてください!

A. ブレスとテンポを関連付けて演奏すると、アンサンブルでは始まりを合わせやすくなる
管楽器の基本的な呼吸のリズムは、「早く深く吸い、ゆっくり長く吐く」と言われますが、必ずしもそういうわけではありません。音楽のテンポとは関係なく、ゆっくり長く吸うこともあります。
でも、ブレスとテンポを関連付けて演奏すると、アンサンブルでは始まりを合わせやすくなることは確かです。
ブレスを合わせることが、音色や音程を合わせることとなるかどうかはわかりませんが、それはブレスの取り方で始まりを合わせよう、相手の音をよく聴こうと、より集中するからではないでしょうか?

※この記事はTHE SAX vol.69を再構成したものです

田中靖人さん
田中 靖人 Yasuto Tanaka
和歌山県出身。国立音楽大学在学中に第4回日本管打楽器コンクール・サクソフォン部門で第1位。矢田部賞を受賞し卒業後より、ソリストとして各地でリサイタルなど幅広いコンサート活動を行ない、テレビやラジオにも数多く出演。また、サクソフォン四重奏団《トルヴェール・クヮルテット》のバリトン・サクソフォーン奏者として国内外で活躍し、これまでに10枚を超えるCDをリリース。2001年には文化庁芸術祭レコード部門“大賞”を受賞。ソロ・アルバムに1991年「管打楽器ソロ名曲集・サクソフォーン」95年「ラプソディー」(東芝EMI)97年「サクソフォビア」(東芝EMI)2003年「ガーシュインカクテル」(佼成出版社)12年「モリコーネ・パラダイス」(EMIミュージック)をリリース。03年、和歌山県より「きのくに芸術新人賞」を受賞。サクソフォンを大室勇一氏に師事。現在、愛知県立芸術大学講師、昭和音楽大学および同短期大学講師として後進の指導にもあたっている。東京佼成ウインドオーケストラ コンサートマスター。


▷田中靖人オフィシャルホームページ◁

 
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