THE FLUTE 156号 Special Contents

タンギング&フィンガリング レベル・テクニック別練習法

フィンガリングのための基礎練習
~初級・中級・上級編~

高本直

フィンガリングに的を絞り、やるべき練習を段階を追ってアドバイスします。初級から上級まで、それぞれに適した練習法を譜例を交えて実践的にレクチャーします。

♪初級の課題♪

フィンガリングで最初に大きな壁となるのが、左手のドからレに移るところではないでしょうか。どうしてもフルートがぐらつく、外側や内側に転がってしまう、指がばらつく……。フィンガリングテクニックを上げるためにも、楽器を上手に保持するということがとても重要なカギになります。

《しっかりした三点支持のための練習》

譜例
譜例

♪中級の課題♪

クロスフィンガリングという言葉があります。元々はシンプ ルな構造であったルネサンス・フルートやフラウト・トラヴェルソで半音を出すために使われていたものですが、現代のベーム式のモダン・フルートでも第3オクターブにおいては倍音を用いて音を出しますので、指使いがより複雑になり、半音でなく全音でもその指の入れ替えが難しくなってきます。以下の練習をしてみましょう。

《第3オクターブの指の入れ替え練習》

譜例
譜例

♪上級の課題♪

フィンガリングの練習としてゆっくり練習したり、リズムを変えてみたりいろいろな練習をすると思いますが、是非おすすめしたいのが、運指の難しい箇所を分割して練習することです。例として、カルク=エラートの『ソナタ・アパッショナータ OP.140』よりワンフレーズを抜き出しました。
フレーズを練習する時に、全体をゆっくり練習しても良いのですが、例えば括弧でくくった音符の組み合わせだけを練習します。行ったり来たりを繰り返していると、自分の指のくせと 苦手な指の入れ替えの組み合わせが分かると思います。もちろん得意不得意や指のくせは個人差がありますから、ぜひ自分自身の苦手なポイントを見つけてください。

《分割練習》

譜例
譜例

»»ここで紹介した練習法と譜例は、まだまだほんの一部。THE FLUTE156号誌面では、さまざまな譜例を用いながら、高本さんがフィンガリングについてレッスンしています。

高本直

高本直 Nao Takamoto
東京音楽大学音楽学部卒業。同大学院修士課程修了。ドイツ・国立ハンブルク音楽演劇大学大学院において研鑽を積む。第11回びわ湖国際フルートコンクール一般部門入選。小澤征爾音楽塾オーケストラ・プロジェクト1に参加。これまでにフルートを、岩崎範夫、細川順三、三上明子、ハンス=ウド・ハインツマンの諸氏に師事。現在、ムラマツ・フルート・レッスンセンター講師。

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