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The Clarinet Interview ─ ヨハネス・グマインダー

ドイツで長年教鞭を執り、数多くの学生を導いてきたヨハネス・グマインダー氏がThe Clarinetに初登場してくれた。
第6回ジャック・ランスロ国際クラリネットコンクールの審査員として来日し、インタビュー当日もマスタークラスを目前に控える多忙な彼であったが、疲れをおくびにも出さず陽気に対応してくださったグマインダー氏。
審査員や教職者として多くの若手を見てきた彼がどのような教えを生徒に与えるのか、彼の真髄に迫った。

自分が経験している、ということ

The Clarinet 初登場ですので、まずはグマインダーさんの生い立ちや、クラリネットを始めたきっかけなどを教えてください。
グマインダー
(以下G)
私はドイツ南西部、ボーデン湖のほとりにあるコンスタンツという街の生まれです。高校卒業までそこにいました。私の祖父がコンスタンツのオーケストラでヴァイオリンを演奏していたのですが、彼は他にクラリネットとサックスも演奏していました。だから家にはクラリネットがあって、すごい古い楽器だったと思うけど、それを手にしたのが最初の記憶です。8才くらいでしょうか。南ドイツには吹奏楽に近い形態の、管楽合奏団と呼ぶようなバンドがとても多く、私もそこでクラリネットを始めました。
そののち、ラドルフツェルの音楽学校でハインリッヒ・ブラウン先生に、トロッシンゲン国立音楽大学ではヴァルデマール・ヴァンデル先生に師事しました。ヴァンデル先生、はディーター・クレッカーという有名なクラリネット奏者とともに「コンソルティウム・クラシクム」というグループにいて、とても多くのCDを作ったのです。また、学部生だった時分にベルリンフィル・カラヤン・アカデミーに合格しました。カラヤン・アカデミーでの経験は今でも自分の栄養になっています。とてもいい経験をさせてもらえました。
トロッシンゲンの後はベルリン芸術大学に入り、フランソワ・ベンダ先生に習いました。そこで先生から勧められてフランクフルト・ムゼウム管弦楽団のオーディションに受かり、首席奏者として加わりました。このオペラの経験も、今になって思うととても役に立っています。特に、教える立場として。ドイツには歌劇場がたくさんあり、そこに附属するオーケストラも多くあります。そこに入りたいという人たちにクラリネットを教えるときには、たとえば歌手たちと仕事をすること、あるいはオーケストラの中で仕事をするといった経験を自分がしていることがとても大事です。それに、オペラ自体を知ることもできましたから。
さらにそのころに、ベルリンとフランクフルトとマンハイム、三ヵ所で教える仕事も入りました。そこで教えているうちに、教えるということが自分にあってるように感じられたのです。なので、マインツの音楽大学で、フルタイムではありませんが教授の職につき、オペラ・オーケストラの奏者と学校の先生を並行してやっていました。
おいくつくらいのお話ですか?
G
26才とかだと思いますが……履歴書を見ないと分からないです(笑)。
そうこうして10年ほど経ったころ、ザーリュブルッケン音楽大学でフルタイムの席をもらったのでオーケストラを辞めました。その次にライプツィヒのフェリックス・メンデルスゾーン・バーソルディ音楽演劇大学に移動して、今に至ります。
 
 

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ヨハネス・グマインダー Johannes Gmeinder
2010 年よりドイツクラリネット協会の会長を務め、国際クラリネット協会においてもドイツ代表を務める。彼の教育者としての経歴は、2001 年フランクフルト/マインの音楽演劇大学、2003 年ベルリン芸術大学、2004 年マンハイム音楽演劇大学の講師。2004年マインツ音楽大学、2009年ザールブリュッケン音楽大学の教授に就任。2017 年よりライプツィヒのフェリックス・メンデルスゾーン・バーソルディ音楽演劇大学の教授に就任、現在に至る。アジア、アメリカ、スカンディナビア、ヨーロッパで客演し、定期的にマスタークラスそして国際コンクールの審査員に招かれている。CD録音は、MDGレーベル、ブレーメン・ラジオ・ホール・レコードそして、コヴィエロ・クラシックスよりリリースされている。

 

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