[1ページ目]
マイケル・コリンズ氏 インタビュー
新たな気づきの旅へ─8月にコンサートを開催
英国クラリネット界のレジェンド、マイケル・コリンズがお届けする極上の室内楽のコンサートが開催されます。2015年大英帝国五等勲爵士(MBE)を受賞、ソリストとして世界中の名だたるオーケストラや指揮者と共演を重ね、国際的に輝かしいキャリアを築き、近年では指揮者としても活躍する彼が、ヴァイオリニスト、礒絵里子率いる弦楽四重奏と共に、モーツァルト、ブラームスをはじめとした、クラリネットの不朽の名曲たちを楽しめます。
翻訳:村井睛(フルート奏者)/インタビュー協力:ヤマハ株式会社
©Benjamin Ealovega
マイケル・コリンズ
Michael Collins
現代を代表するソロクラリネット奏者として国際的に活躍し長年にわたり輝かしい功績を残してきたほか、近年では指揮者としてもそのキャリアを歩み始め、2010年から2018年までシティ・オブ・ロンドン・シンフォニアの常任指揮者を務める。ミネソタ管弦楽団、スウェーデン室内管弦楽団、BBC交響楽団、フィルハーモニア管弦楽団、ライン州立フィルハーモニア管弦楽団との協演や南アフリカ、メルボルン、東京へのツアーを行なった。フィルハーモニア管弦楽団とは指揮者としても協演している。
これまでにシャンドスから様々な録音を発表、2015年のQueen's Birthday Honoursでは、数々の音楽への功績が讃えられ、MBE勲章を受章した。
[オフィシャル・ホームページ]
https://www.michaelcollinsmusic.com/
■CONCERT INFORMATION
珠玉のリサイタル&室内楽
マイケル・コリンズが贈るクラリネット五重奏の世界
—礒 絵里子率いる弦楽四重奏と共に—
[日時]8/30(土)14:00開演
[会場]ヤマハホール(東京)
[出演]マイケル・コリンズ(Cl)、礒 絵里子/瀧村依里(Vn)、吉田有紀子(Va)、羽川真介(Vc)
[曲目]C.M.v.ウェーバー(伝)・J.キュフナー:序奏、主題と変奏 変ロ長調、W.A.モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調 「シュタードラー」 K.581、J.ブラームス:クラリネット五重奏曲 ロ短調 Op.115
[料金]一般¥4,500 学生¥3,500
[問合せ]ヤマハ銀座店 インフォメーション 03-3572-3171
作品が紡ぎ出す物語に心を奪われてほしい
コリンズ
(以下 C)
モーツァルトとブラームスの五重奏曲を、ウェーバーの作品とともに演奏することは、かねてより私の夢でした。その夢を、私のお気に入りのホールである銀座のヤマハホールで実現したかったのです。
―
今回は弦楽四重奏とクラリネットの作品を演奏されますが、コリンズさんにとってクラリネット五重奏とはどのようなものですか。
C
私はクラリネット五重奏が大好きです。クラリネットと弦楽器の組み合わせには特別な魅力があります。その他にない音色と洗練された響きが、クラリネット奏者にとって最もやりがいのあるものにしています。
―
弦楽器と演奏するときにコリンズさんが気をつけていることがあれば教えてください。
C
私は(音量の)バランスに細心の注意を払い、弦楽器の音に入り込み溶け込むことを心がけています。そして、これらの美しい作品をより良く演奏するために欠かせない、音程の正確さにも気を配っています。
C
私は、聴衆の皆さんにはこれらの素晴らしい作品の純粋な美しさに耳を傾け、作品が紡ぎ出す物語に心を奪われてほしいと思っています。ダイナミクス(強弱)と華やかさこそが、これらの作品をさらに素晴らしいものにする鍵であり、皆さんにもこの「新たな気づきの旅」に共に参加してほしいのです。
©Benjamin Ealovega
生の演奏会こそが私たちの存在の本質
―
コリンズさんはクラリネット奏者として活躍するだけでなく、指揮者としても活躍されていま す。指揮者としてのキャリアを教えてください。
C
私は長年にわたり指揮を楽しんでおり、クラリネット奏者であることと、指揮者であることとの間で、少しずつですが、確かに良いバランスを築いてきました。特にクラリネットを演奏しながら指揮をすることが好きですが、古典派の作品を指揮することにも大きなやりがいを感じています。だからこそ、素晴らしいフィルハーモニア管弦楽団と共にモーツァルトの交響曲全集を収録しているのです。
―
指揮者として思い出深いコンサートはありますか。
C
私にとって、フィルハーモニア管弦楽団と共にロンドンでベートーヴェンの交響曲第9番を指揮したことは、決して忘れられない経験です。それは生涯忘れられない、かけがえのない瞬間でした。
―
クラリネット、指揮者の両立での難しさと、両方をやることの長所を教えてください。
C
私はクラリネットを演奏しながら指揮をすることが好きです。これは、偉大なクラリネット協奏曲に取り組み、ソリストとしてだけでなく指揮者としても音楽全体をコントロールできることから、音楽的に非常に満たされます。特に体力的な面でのハードルは高いですが、最終的にはいつも音楽的にとても満足のいく仕上がりになります。
―
イギリスのクラシック音楽界の状況を教えてください。コロナ後、配信されるコンサートが多くなり、日本ではコンサートに足を運ぶ機会が減っているように思います。イギリスではいかがでしょうか。
C
コロナ禍以降、イギリスの音楽家たちの状況は元に戻りつつあります。パンデミックの間、配信は本当に素晴らしい取り組みでしたが、コンサートホールに戻り、聴衆にも配信ではなく生の演奏会に足を運んでもらうことがとても重要だと思います。私たちは生の演奏会に生の聴衆が必要です。それは私たちの存在の本質であり、この職業を続ける理由そのものだからです。
―
これからクラシック音楽が発展するためにはどんなことが必要だと思われますか。
C
若い才能を育成し、後押しすることは大切であり、彼らが音楽家として成功するためのキャリアを築けるよう支援することが重要です。世界各地で若い音楽家たちを見てきた私は、その未来が非常に明るいと確信しています。
―
ヤマハのクラリネットを愛用されています。モデル名を教えてください。
C
私はここ数年、SE アーティストモデルを使用しており、この美しい楽器が可能にする幅広い音色と表現力を楽しんでいます。
C
私はもう何年もヤマハのクラリネットを演奏しており、自分の人生の一部のように感じています。
ヤマハは本当にミュージシャンを大切に尊重してくれる、思いやりにあふれたブランドです。
©Jack Lewis Williams