クラリネット記事
演奏家編│その2

クラリネットの未来を創造しよう!

クラリネットを取り巻く環境は日々変化しています。クラリネットの情報があふれる現在では、以前と比べて学生の成長速度が速く、演奏家の活躍する場も多岐にわたります。こんなにも恵まれた環境のクラリネット界ですが、みなさんはどんな未来を想像しますか?
今回は、演奏家の方々がイメージされるクラリネットの未来について、アンケートを実施しました。

 

Q1 演奏について お聞きします。

ご自身が学生時代のころと、現在のクラリネットを学ぶ学生とでは、演奏面において何か違いを感じますか? それは、どんなところでしょうか?

 
武蔵野音楽大学卒業、東京芸術大学大学院修了。パリ12区コンセルヴァトワールを満場一致の一等賞を得て卒業。第55回日本音楽コンクール入選、第6回日本管打楽器コンクール第2位、第63回日本音楽コンクール入選、第9回日本管打楽器コンクール第3位入賞。クラリネットを村井祐児、山本正治、藤井一男、故ギィ・ドゥプリュ、パスカル・モラゲスの各氏に師事。東京佼成ウインドオーケストラクラリネット奏者、洗足学園音楽大学客員教授、名古屋芸術大学非常勤講師。

私が学生のころに比べて、技術面は格段に上がっていると思います。
例えば昔は、学生のうちにフランセのコンチェルトを演奏する人がほとんどいなかったように思いますが、今はコンクールの課題曲にもなっているので普通に皆さん演奏しますね。

 
 
1929年東京都生まれ。慶応大学在学中にクラリネットを学び、1951年南部三郎クインテットでプロデビュー。1957年文化使節として来日したベニー・グッドマンとジャムセッションを行なう。1977年モンタレージャズ祭(米国)に招かれ大好評を博し、以来アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア等の大ジャズ祭に数多く出演した。2007年旭日小綬章受章。2014年英国のジャズジャーナル誌の表紙を飾る。

楽譜や音源が入手しやすくなったので、短時間で高度なテクニックを習得できるようになったと思うが、周りの演奏をよく聴き、その心を聴き取る力が弱くなったようにも思う。
学生時代、1曲を覚えるために友人と弁当を持って朝から映画館に行った。1日に3回上映されるので、客席で終日ねばり、3回聴けるチャンスに友人は歌詞を書き取り、私は楽譜を起こした。3回真剣に曲と向き合うと楽譜ができた時は曲への理解が深くなっていた。安直に楽譜を買って吹くよりも学ぶことが多かったと思う。

 
 
ジャズを子守唄に、6歳でピアノ、9歳でクラリネットに出会う。クラシックを小山裕子に師事。洗足音大ジャズ科2013年卒業。谷口英治、中村誠一に師事し、Evan Christopher、Anat Cohenのレッスンも経験。第35回浅草ジャズコンテストバンド部門銀賞、ソリスト賞受賞。北村英治米寿記念コンサートで北村英治と念願の共演を果たし、以後も共演を重ねる。専門誌The Clarinet ONLINE連載。日本のジャズ史上初の女性クラリネット奏者として、多彩な活動を展開。

演奏面においての違いとして、昔に比べると情報は多いですし、練習のためのツールも増えましたので、内容はレベルが高い傾向を感じます。
ただ、コロナ禍およびそれ以降は演奏会の機会が少ないためか、いろいろなことを経験できる機会自体が少ないので、自信がない印象を受けることがややある感じがします。

 
 
香川県出身。武蔵野音楽大学在学中に広島交響楽団に入団。1995年よりドイツ国立リューベック音楽大学に留学、クラリネットをザビーネ・マイヤー教授に師事。同大学修了試験を最高点で卒業。1997年帰国し同楽団に復帰。第30回広島県民文化奨励賞受賞。現在、名古屋音楽大学教授、エリザベト音楽大学非常勤講師、ヤマハオフィシャルクラリネットアーティスト、広島クラリネットアンサンブル主宰、CrazyClassixメンバー。

特に大きな変わりはないと思います。もちろん今の若い子たちは私の時代に比べ、指も回るし、いい音も出してます。多くを教えなくても勝手に上手くなる子は上手くなるし、手取り足取り教える子もいます。そのあたりは今も昔も変わりないのかなと思います。
昔は参考音源が手に入りづらいので演奏会へ足を運ぶことが多く、その場で脳裏に焼き付ける……なんてこともありました。今はYouTube音源で済んでしまうこともあり、時代なのかなぁと思います。演奏面では、昔は良い意味で泥臭さがあり、今の子はスマートな印象です。

 
 
東京藝術大学を卒業後、パリ地方国立音楽院にて学ぶ。2009年より小澤征爾氏率いるサイトウキネン・オーケストラ及び水戸室内管弦楽団に参加。日本を代表する作曲家達の指名を受け、TVドラマ、CM、映画など年間300本以上のプログラムに参加。作編曲家としても活動しており音楽制作を行っている。2018年より「ナカオンガク企画」を立ち上げ室内楽のコンサートを多数プロデュースしている。2021年ミニアルバム「Comme on est bien」リリース。

現代はインターネットが進化して音源や楽譜、楽器の情報など何でも簡単に手に入れられるようになりました。その点ではとても便利な時代になったと思います。情報収集が早くなったことと、楽器の改良も影響して若い人たちの技術が驚くほど上がりました。しかしながらあまりの情報の多さに自分にとって本当に必要な情報を選別するのが難しい時代だとも感じます。

 
 
国立音楽大学卒業。第41回日本音楽コンクール第2位入賞。リリースCDは多数。演奏活動のみならず、普及・啓蒙活動にも積極的に取り組み、40年以上に亘り全国各地で開催しているクラリネットセミナーでの指導法には定評がある。現在は、これまでの演奏・指導経験を生かし、画期的なリード「ドリームリード」の開発、「Non Strings Orchestra」主宰&指揮など、幅広い活動を展開し、常に新しい音楽の方向性を切り開いている。

我々が学生時代に比べると、現在の楽器周辺部品、演奏技術は先人の演奏を聴き、そんな先人から教わるので飛躍的に向上している。またこれからも向上を続けるものと思う。しかし、楽器周辺部品が増えたことにより、維持費が数倍かかっているのではないかとも思う。中には本来の音楽探求よりも、周辺部品へのアンテナが高い人がいるように思う。周辺部品がある以上は仕方ないことだけど。どんなに周辺部品にお金をかけても本人の音が世界の名手のそれに変わることはないと思うが。

 
 
第41回毎日音楽コンクール管楽器部門第1位入賞。1973年東京芸術大学安宅賞を受賞して卒業。その後、北西ドイツ音楽アカデミーでヨスト・ミハエルス氏に師事。ソロイスト国家試験に最優秀の成績で合格。1975年デュッセルドルフ交響楽団のソロ・クラリネット奏者に就任。1976年フランス・コルマー国際室内楽コンクール第2位を受賞。1983年帰国。木曽音楽祭、倉敷音楽祭、宮崎国際音楽祭、サイトウキネンオーケストラなどに参加。木曽音楽祭では、ディレクターを務める。東京芸術大学名誉教授、武蔵野音楽大学特任教授。

僕の学生時代と、このごろの学生を比較すると、演奏能力が上がっていると思います。このごろはいろいろな情報が得られやすくなってきています。曲や演奏技術の情報がYouTubeなどで見たりすることができるので、循環呼吸、ダブルタンギングなど普通にできる学生が増え、試験曲なども昔から比べるといろいろな曲が出てきています。

 
 
キングレコード/ユニバーサルミュージックよりアルバムを7枚リリース。クラリネット教則本、編曲譜を多数出版。ビュッフェ・クランポン契約講師。演奏動画がYoutubeで再生回数550万回を超え注目を集める。『木管五重奏カラフル』リーダー、『Megumi♡Kei』メンバー。CMや劇伴音楽のレコーディングやライブ活動のほか、テレビ朝日「ザワつく!金曜日」番組内で楽器の指導を行なうなど、メディアへの出演も行なう。

技術も演奏も素晴らしい方が多いように感じます(もちろん私の時代にもいましたが……)。動画等で世界中の数々の素晴らしい演奏を手軽に見られる時代になり(エチュードまでも!)、自分で模索する他にお手本や目指したい演奏をたくさん知ることで近道がたくさんできたのではないでしょうか。

 
 
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