加藤明久のクラリネット何でもQ&A

第4回「さよならがむしゃら練習」

達ちゃん(赤坂達三氏)と一緒にパリで靴を買ったとき、彼がその場で新しい靴を履こうとしたので、あわてて止めたことがある。帰り道で
「新しい靴は、まずクリームを塗らないと傷つきやすく、長持ちしない。最初が肝心」
となだめたら、
「でもボク、そんなの持ってない」
って嘆くから、明日持ってくることを約束したのに、次の日、彼は新しい靴を履いてニコニコしながら加藤の前に現れた。そして耳元でそっとささやいた。
「コルク・グリース塗ったんだけど、大丈夫だよね?」

赤坂達三、恐るべし。

音がきれいになるためにはロングトーンをがむしゃらに、とにかくたくさんやればいいのでしょうか。高い音もやはりロングトーンに時間をかけるべきなのでしょうか?

時間をかけるだけでいいのなら、誰でもきれいになっている。とにかくアンブシュアを美しくすること、これに尽きる。……[続きはこちらから!!]

いまだに日課練習で、マウスピースでロングトーン、タンギング、次にタルをつけて、そして本体をつけるということをやっている中学生たちを見かけます。マウスピースだけで吹いたときに、高いレ#が出るなどということは知らないで吹いています。この練習をするとリードがよく鳴ると思っているようです。間違っていると思うのですが……。1年生は1ヶ月ずっとマウスピースだけです。中学生のためにも、ぜひお答えください。(広島・音楽講師)

マウスピースだけで吹いたとき、正しいアンブシュアなら高いレ#が出る。そして正しいタンギングならピッチは変わらないけど、あごが動くような粗っぽいタンギングだと鴨が鳴いているような音になる……というのは、第一回のときに説明したとおり。……[続きはこちらから!!]

加藤明久

Akihisa Kato

クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。 1983年、国立音楽大学卒業。その年より制定された矢田部賞を受賞。 第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。 第16回民音室内楽コンクール第1位入賞。 1984年、第1回日本クラリネット・コンクール入賞。 1985年、第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。 1988年、欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネット・コンクール入賞。 1990年、NHK交響楽団に入団。 2019年、NHK交響楽団を退団。 2019年より昭和音楽大学教授、武蔵野音楽大学非常勤講師。

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