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谷口英治 Eiji Taniguchi

The Clarinet vol.69 Close Up2

本誌連載「のらりクラリNET」でもおなじみのジャズ・クラリネットプレイヤー谷口英治氏が、記念すべき10作目となるアルバム「In A Mellow Tone」をリリースした。今回は、そのニューアルバムの内容はもちろん、同氏の考えるジャズ、そして演奏のルーツについても訊いた。その一部を紹介します。

谷口英治,クラリネット

─10作目となるアルバムがリリースされました。レコーディングはどこで何日間行ないましたか?

谷口 :1バンド1日ずつです。場所は、私も初めてだったのですが、北池袋にあるStudio Dedeで、ものすごく評判のいいスタジオです。バークリー音楽大学を卒業されたドラマーがやっている小さなスタジオで、オーナーはジャズを専門に勉強されて自らもプレイヤーでニューヨークを行ったり来たりしているような方です。レコーディングエンジニアが言うにはケーブルなどのこだわりがすごいと。どんなにいいマイクを使ったり、どんなにいいMIX卓を使っても、電気信号をやりとりするケーブルが一番大事で、ものすごく太い音で録れるとのことでした。自分がイメージしたものを吹いたあとにプレイバックを聴くと、いつもはそのプレイバックの音に慣れるまで時間がかかります。こんな感じじゃないんだけどな、と思うこともあります。だけど、このスタジオではそういうのがなくて何の加工もせずに録った音をプレイバックで聴くと「あぁ、こんな感じ、こんな感じ」と、もれなく鳴っている音を記録できているのだと思いました。ラフMIXの状態で「これで聴けるよね」という感じで、こういったことはなかなかないんですよね。

─「谷口英治NEWカルテット」、「三人でベイシー!」の2バンドのカップリングアルバムにしようと思ったきっかけはありますか?

谷口:「谷口英治NEWカルテット」(以下、NEWカル)は8年くらいやっていますが、4年目くらいに前回のアルバムを出しました。一方、「三人でベイシー!」(以下、三ベイ)は新しいバンドです。現在この2つのバンドの稼働率が高く、メインでやっていると言ってもいいかもしれません。前回「NEWカル」でアルバム「シームズ・ライク・オールド・タイムズ」をリリースしたので、「三ベイ」で録るというのが順番になるのですが、「NEWカル」も前作から4年経って若い世代のメンバーがいろんなバンドで大活躍することで、どんどん成長し研ぎ澄まされているんです。4年前のアルバムもとても満足のいく出来なのですが、そこからさらに進化しているのでもう一度録っておきたいと思い、最初は2枚別々に出すか、2枚組にするかという計画もあったのですが、結果的に2バンドを混ぜて1枚となりました。

─「In A Mellow Tone」をタイトルにした理由は?

谷口:この曲は「NEWカル」と「三ベイ」の合同演奏で、この2つのバンドの相性が非常にいいんです。メンバー同士の仲も良く、自分が理想的なモダン・スウィングを演奏できているのは、彼らのような優れたミュージシャンのおかげだと思っています。いい音に囲まれているから、いいプレイをさせてもらえるということです。それぞれのソロ、バッキングを聴いても見事なサウンドです。
この「In A Mellow Tone」はメロウトーンに包まれていると解釈することもできます。メロウというのはいろんなニュアンスがある言葉で、心地よい、とろけるような、ゴキゲンな、という訳し方でも良く、とてもポジティブな単語です。スウィングのサウンドはメロウであるべきで、クラリネットはメロウな音が鳴っている楽器なんですけど、この2バンドのセッションをやってみて全員一丸となってめちゃめちゃスウィングしていて、面々の笑顔が目に浮かぶようなテイクになっていると感じました。クインシー・ジョーンズではないですが、まさにこれが「私の考えるジャズ」なんだと思いタイトルに採用したんです。

 

続きは、The Clarinet vol.69にてお楽しみください!

In A Mellow Tone,谷口英治

谷口英治「In A Mellow Tone」

【FMTJ-1002】¥3,000(税込)
[演奏]谷口英治NEWカルテット〈谷口英治(Cl)、田窪寛之(Pf)、楠井五月(Bass)、岡田朋之(Ds)〉、三人でベイシー!〈谷口英治(Cl)、有田純弘(Guit)、小林真人(Bass)〉

[収録曲]Begin The Beguine、Crazy Rhythm、No Moon At All、Lazy Hazy Summer Blues、Shiny Stockings、Li’l Darlin’、Topsy、Jumpin’ At The Woodside、Flight Of The Foo Bird、Moose the Mooche、Ballad For Very Tired And Very Sad Lotus Eaters、In A Mellow Tone

 

谷口 英治 Eiji Taniguchi
1968年北九州市生まれ。早稲田大学在学中よりプロ活動を開始。新旧のスタイルをブレンドした柔軟な音楽性は各方面で高く評価され、日本を代表するクラリネット奏者の一人となる。コンコード・ジャズ祭(1999年米)、ジャズ・バルティカ(2018年独)など数々の国内外のジャズフェスティバルにも多数招聘され、バディ・デフランコ(Cl)、エディ・ダニエルズ(Cl)、北村英治(Cl)、スコット・ハミルトン(Ts)、ニルス・ラングレン(Tb)などのトップアーティストたちとの共演を重ねる。またデビット・マシューズ(Pf)率いるマンハッタン・ジャズ・オーケストラのアルバム「ボレロ」(2014年)にはバスクラリネット奏者として参加している。これまでに今回リリースの『In A Mellow Tone』をはじめ10枚のリーダーアルバムを発表。J-ポップアーティストへのソロおよび編曲提供が多いのもクラリネット奏者としてはユニークなところ。洗足学園音楽大学講師、北九州市特命文化大使。

 





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