エンドピンでどう変わる!? 蝦名麻花と川畑友紀が試奏チェック
B♭ クラリネットにはないバスクラリネットの装備といえばエンドピン。そのエンドピンを替えると、響きや音色も変わると言われています。そこで、The Clarinet 52号の特集では多くのプロ奏者が愛用する見附精機工業のvcyoyoバスクラリネット用エンドピンを、バスクラリネット奏者の蝦名麻花さんと川畑友紀さんの仲良しコンビに試奏チェックしてもらいました。
今回試奏したエンドピンはアルソオンラインで販売中! 記事をじっくり読んで、お気に入りのエンドピンを探してみてくださいね。
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Profile|蝦名麻花(写真 右)
聖徳大学短期大学部を経て、東京音楽大学卒業。卒業演奏会出演。在学中、東京文化会館主催、新進音楽家デビューコンサートに出演。クラリネットを三島勝輔、金井清、木村健雄、内山洋の各氏に師事。TADウィンドシンフォニー団員。
使用バスクラリネット:セルマー プリヴィレッジ
マウスピース:バンドーレン B40
リガチャー:ロブナー エディ・ダニエルズ
リード:バンドーレン トラディショナル 3番
Profile|川畑友紀(写真 左)
江戸川女子高等学校を経て、東京音楽大学卒業。同大学大学院科目等履修修了。ヤマハ新人演奏会出演。これまでにバスクラリネットを吉田記子氏に、クラリネットを内山洋氏に師事。ヤマノミュージックスクール講師。TADウィンドシンフォニー団員。
使用バスクラリネット:ビュッフェ・クランポン プレスティージュ
マウスピース:バンドーレン B40
リガチャー:BG レヴェレーション
リード:バンドーレン トラディショナル 3番
1, ニッケルシルバー 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 しっとりした音で、素直に反応してくれます。音はコンパクトにまとまっていて、柔らかく鳴ってくれますね。
川畑 音の輪郭がはっきりしています。吹奏感がぜんぜん違ってラクですね。いつも使っているエンドピンと比べると、床に付けたときにフカフカしていて、ほどよい響きです。重厚感はあまり感じないので、小さめな空間のサロン向けだと思います。
2, ブラス(真鍮) 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 いつも使っている純正のエンドピンと大きな違いを感じませんね。ただ、音がより広がっていく感じがします
川畑 私は好きかも。音の密度が濃くなるというよりも、倍音が多く含まれていて、いい具合にまとめてくれます。小さい音を出すときは息の調整が必要ですが、息を多く入れて大きい音を出すときはしっかりと反応してくれます。
3, チタン 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 低音がすごく響いていて、そのまま床に伝わる感じがしていつもより楽器が振動しています。少しエッジの効いた音になりますが、それほど尖った感じではなく、私の好みの音に近いです。アンサンブルのときに合うと思います。
川畑 床が響いていますが、私が普段使っている純正のものに近いかも。でも、このチタンのほうは抵抗感が少なくて、音域によって響き方が変化します。低音域はラクに吹ける感じがありました。
4, タングステンブラス 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 材質からなのか、音域によって響き方が変わりますね。重厚感があり、音の芯がはっきりしていて、すごくまとまる感じがします。フォルテもピアノもちゃんと鳴ってくれます。
川畑 私は真鍮が含まれているエンドピンが好きですね。これは息の量が必要で、しっかりとした息使いで吹く人にオススメです。ただ、真鍮製のエンドピンより馴染むのに時間がかかるかもしれません。
5, カーボン、先端=チタン 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 軽い、エンピツみたい! 音色の傾向は明るく、柔らかい感じがします。音域によって鳴り方が違っていて、高音域の鳴りが少し弱いかもしれませんが、抵抗感が少なくラクに吹けます。ただ、音の立ち上がりが少しあいまいな印象を受けます。
川畑 たしかにこの軽さは木ですね(笑)。高音の息の抜けがよく、吹きやすいです。音は全体的に軽くなりますが、少ない息でもしっかりと鳴ってくれます。音の密度が若干薄くなるような感じで、響き方も控えめな感じがします。初心者や、中・高校生などに合うと思います。
6, カーボン、先端=ブラス(真鍮) 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 私のセルマー・プリヴィレッジはベルのジョイント部分がゴールドになっているので、このエンドピンを付けると見た目のカッコ良さが増します。音はクリアで温かみがあり、音の密度も濃いですし、響き方も先端がチタンのものよりも広がりがあります。先端だけが違うのに、こんなに変わるとは思わなかったです。
川畑 先端がチタンのものと比べると音に芯ができる感じがします。ただ、先端がチタンのものと同じで、吹奏感は軽く吹きやすいです。初心者にオススメですが、このエンドピンに頼ってしまうと、逆に息が弱くなるかもしれませんね。
7, チタン入りブラス、先端=チタン 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 真鍮を使っているのでより響きます。これは息がスムーズに入っていく感じがして、吹奏感がラクで吹きやすいです。頼っているわけではないんですけど、しっかりと響いてくれるから、無理に響かせなくてもいい。全音域でしっかりと鳴ってくれますね。
川畑 私の場合は音にパワーが出ますが、その分息を入れていかないといけないです。音色は派手な、きらびやかな印象を受けます。金属系の音が含まれていて、より響いている感じがしますね。良くも悪くも重い感じがします。
8, チタン入りブラス、先端=ブラス 座奏用標準仕様:長さ30cm、直径7mm
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《 試奏コメント 》
蝦名 全体的な鳴りがよりクリアになって、音がはっきりします。吹奏感は高音も低音も変わらない感じで、全体的に吹きやすくなっています。ただ、音が完成された印象なので、上級者は少し物足りなさを感じるかもしれません。
川畑 先端がチタンのものに比べると抜けが良くなります。また、すべての音域でムラなく鳴ってくれます。抵抗感が少ないのですが、まったくないというわけではなくほどよい感じで息が前に出しやすい。音の跳躍などもしやすいですし、私は先端がチタンのものよりこちらのほうが好きです。
ゴムの有無(お気に入りのエンドピンで試奏)
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《 試奏コメント 》
蝦名 ニッケルシルバーか、チタン入り真鍮の先端がチタンかで迷ったのですがチタン入り真鍮にします。ぜんぜん違いますね。響き方も違いますし、ゴムを付けているときよりも息がスムーズに入っていきます。大きなホールだと、息を入れているつもりでも入っていかないときもあるので、そんなときには助けてもらえそう。じかに床に接地したほうが音の響きはいいですね。
川畑 お気に入りはチタン入り真鍮の先端が真鍮。ストッパーを外すと楽器が振動しているのがすごくわかります。手がビリビリします、特に下管のあたりが。また、下唇がかゆい感じがします(笑)。