サックス記事 インペトゥス・サクソフォン・アンサンブルインタビュー
[特別企画] 留学のススメ〜序章〜 THE SAX vol.97

インペトゥス・サクソフォン・アンサンブルインタビュー

今年、18年振りの来日を果たしたサクソフォン界の鬼才、ジャン=ドニ・ミシャ。その来日を導き、日本でともに公演を果たした若手音楽家集団が、インペトゥス・サクソフォン・アンサンブル(以下、インペトゥス)だ。
フランスをはじめとするヨーロッパの地で研鑽を積み、苦楽をともにした9人でアンサンブルを結成したという彼ら。
本場ヨーロッパを知る彼らに、ジャン=ドニ共演の裏側、そして“音楽留学”で得られるものを聞いた。

Impetus Saxophone Ensemble menber

インペトゥス・サクソフォン・アンサンブル
ジャン=ドニ・ミシャと一緒に

フランスで学んだものを伝える使命

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インペトゥス結成の経緯を教えてください。
最初、日本に帰ってきて関西組の井上ハルカさんと酒井希さんと居酒屋で飲んでいたときに、「留学してたみんなで何かしたいね」っていう話になって、同時期に留学した仲間に声をかけたのがはじまりです。
井上
ちょうどその翌年にザグレブ(クロアチア)でサクソフォンコングレスがあったので、この9人でアンサンブルを組んで出たいねって。
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今回、ジャン=ドニ・ミシャを招聘しての公演でしたが、その経緯は?
酒井
以前、アムステルダムでフェスティバルに出演されていた際にお話ししたことがあって、その時に「誰も呼んでくれないんだけど、僕も日本に行きたいなぁ……」と冗談ながらにおっしゃってたのが印象的で。
井上
それを聞いて「それは絶対呼ばな!」ってなったよね。
僕や(井上)ハルカさんはリヨン地方音楽院でジャン=ドニに習っていましたが、お金や名声に本当に興味のない方なんです。ザグレブのコングレスにジャン=ドニも参加されていて、その時に日本での僕らとの共演をお願いしたら快諾してくれました。
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公演を終えてみて、率直な感想は?
もう涙なしでは語れません。
全員
(笑)
竹下
ジャン=ドニと一緒にできて本当に良かった。私は門下生ではないので、正直怖い方なのかなと思っていたんです(笑)。でも蓋をあけてみたら“愛”しかない方だった。
本堂
「なんで音楽をやっているのか」という根源の部分に触れてくれる方で、「なんでこの9人なのか」ということを深く考えさせられたし、僕らの音楽性や結束力を引き出してくれましたね。
とても印象的な言葉があって、はじめての合わせの時にジャン=ドニが、「私とインペトゥスは対等な立場であり、君たちは音楽家として、フランスで学んだものを伝える使命がある。そして今度はフランス人が日本に来て、君たちのもとで学ぶ。そういう地位に立っていく人たちだ。それを手伝えることを光栄に思うし、それが私が日本に来た理由だ」と言ってくれたんです。本当に嬉しくて、みんなのモチベーションもグッと上がりましたね。
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ジャン=ドニを日本に呼んでツアー公演となるとお金もかかると思いますが、マネージメントも自分たちが?
プログラムやチラシから、ブッキングも全部自分たちです。ダダリオやYanagisawaの手厚いサポートもいただけて、本当に感謝してます。
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“インペトゥス”という名前の由来は? 誰が決めたのですか?
井上
それは安くんだね。
「推進力」や「飛躍」という意味で“物が動く”というイメージの英語なんですけど、調べてたときに「この単語カッコいいやん」って(笑)。
全員
(笑)
Member
井上ハルカ(Ss)、酒井 希(Ss)、安 泰旭(As)、磯貝充希(As)、田中由貴(As)、根本響子(Ts)、野原朝宇(Ts)、竹下眞理子(Bs)、本堂 誠(Bs)

Concert Information

インペトゥス・サクソフォン・アンサンブル 第2回演奏会
〜ヴァンソン・ダヴィッド氏を迎えて〜
東京公演:2020年4月14日
     @豊洲シビックセンター
名古屋公演:2020年4月15日
     @名古屋市千種文化小劇場
大阪公演:2020年4月17日
     @豊中市立ローズ文化ホール 小ホール


次ページにインタビュー続く
・さまざまな先生に学べる魅力
・子どもでもキレイな音を出す!?
・生死に直面したパリのテロ
・日本にいるだけは得られないもの

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