サックス記事 クラシックとジャズのシンボル的トップ奏者2人が初対談で鮮やかに響き合う! ユッコ・ミラー&齊藤健太
  サックス記事 クラシックとジャズのシンボル的トップ奏者2人が初対談で鮮やかに響き合う! ユッコ・ミラー&齊藤健太
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THE SAX vol.123 Cover Story

クラシックとジャズのシンボル的トップ奏者2人が初対談で鮮やかに響き合う! ユッコ・ミラー&齊藤健太

ARTIST
[この記事の目次]

ピンクの髪色がトレードマークの華やかなヴィジュアルと確かな実力に裏打ちされた卓越したサックス・プレイのギャップが魅力のユッコ・ミラー。テレビをはじめとしたマスメディアへの露出も多く、さらにチャンネル登録者数22万人を超えるNo.1サックスYouTuber としても世間を賑わせている。そして、2019年の第7回アドルフ・サックス国際コンクールで第1位に輝き日本人2人目となる快挙を達成した齊藤健太。以来、一躍脚光を浴びて「題名のない音楽会」をはじめとしたテレビ番組にも頻繁に登場し、今やソリストとして自身のリサイタルに加え多くのオーケストラや吹奏楽団と共演を重ねている。そんな若手トップランナーの2人が待望の初対面を果たした。世代は近くヤマハの楽器を愛用するという共通点もあるが、ジャズ&フュージョンとクラシック&吹奏楽という活躍するフィールドやジャンルは大きく違う、この対称的な2人の初対談の模様をお届けしよう。

インタビュー・文:渡部祐也/写真:井村重人(アーニーズ・スタジオ)/取材協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン

コンクールに導かれて

お二人は本日初対面とのことですが、お互いについてどのようなイメージをお持ちでしたか。
ユッコ・ミラー
クラシックのサックスの世界一の賞を取ったすごい人だと思っています!
齊藤健太
独自の世界観を持つ、オリジナリティ溢れたすごい人、ですね!
では、まずはお二人がサックスを演奏することになったきっかけを教えてください。
ユッコ
高校入学時、私は帰宅部志望だったのですが、友だちが吹奏楽部に入りたいというので見学についていきました。当時はサックスという楽器自体を知らなかったのですが、その友だちが「サックスがめっちゃかっこいいからやってみたい!」というので私も吹いてみたら、「めっちゃいい音!」と思ったのを覚えています。
齊藤
僕は中学校の吹奏楽部で始めたのですが、もともとピアノを習っていたので、女子の多い環境にも抵抗なく入っていけたように思います。小学校の時はインドア少年だったので、その頃インターネットで流行し始めていたブログを書いて遊んでいました。そのブログに同世代が集まるコミュニティ、今でいうFacebookのようなものがあり、「部活動どうする?」と い った内容のトピックで吹奏楽部に入ってサックスを演奏するという人が多かったので「自分もやってみよう」と思い始めることにしました。
お二人が入られた吹奏楽部の雰囲気はいかがでしたか。
ユッコ
私は緩い雰囲気の部活動でした。顧問の先生が「音楽は楽しむもので、競い合うものではない!」という考えの先生で、だからむしろ「コンクールは禁止!」という部活動でした。定期演奏会や文化祭、野球応援などに向かって練習するという部活動だったのですが、ある時「コンクールに出てみたいな」と思い立って一人で勝手に出たんです。「ヤマハ管楽器カラオケチャンピオンシップ」というカラオケ伴奏にあわせて楽器を吹くコンテストに応募したらなんと優勝してしまって、その結果新聞に掲載されたことで顧問の先生にバレてしまって怒られました(笑)。
齊藤
僕は完全にスパルタでした。吹奏楽連盟が運営する3つのコンクール、つまり吹奏楽コンクールとマーチングコンテスト、そしてアンサンブルコンテストと全部出場する学校で、それぞれ本気で 取り組む 部活動でした。ただ、「絶対に金賞を取ろう」というマインドではなく、「本気で取り組んでよりよい演奏を目指しなさい。そうすれば自ずと後から結果がついてくるだろうから」という指導方針でしたね。高校の部活動も同じような指導をされる先生でしたが、高校に入学してからは本当にプロになることを常に意識して日々練習していました。中学校の時のマーチングコンテストが自分のためのソロコンテストに入れ替わったような形で引き続き年に3つコンクールがあったので、常に何かしらのコンテストをモチベーションにしながらステップアップを目指していましたね。個人レッスンも受けていたのですが、部活は最後まで続けました。今になって振り返ると、クラシックではやはり完全なソリストとしてやっていくのは非常に困難ですし、アンサンブルの楽しみを知ることができたという意味でも高校の時の部活は続けてよかったなと思っています。
 

次ページにインタビュー続く
・最初に聴いたCDは……?
・サックスを通して楽譜に書かれていることを表現する

 
登場するアーティスト
画像

齊藤健太
Kenta Saito

1992年東京都足立区生まれ。洗足学園音楽大学を、優秀賞を受けて卒業。東京藝術大学別科修了。サクソフォンを金井宏光、二宮和弘、須川展也、池上政人、林田祐和、室内楽を池上政人、有村純親、ジャズサクソフォンを佐藤達哉、MALTAの各氏に師事。第31回および第34回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門で第3位に入賞。2019年にはベルギーで開催された、サクソフォン界で最も権威のあるコンクール「アドルフ・サックス国際コンクール」において、日本人として17年ぶりとなる第1位を獲得。および新曲賞受賞。2020年6月にはCAFUAレコードより「凱旋」をリリース。現在は洗足学園音楽大学の非常勤講師として後進の指導にあたるほか、Saxophone Quintet “Five by Five”のメンバーであり、ブリッツフィルハーモニックウインズのコンサートマスターを務めている。

登場するアーティスト
画像

ユッコ・ミラー
YUCCO MILLER

三重県伊勢市出身。3歳よりピアノを始め、高校で吹奏楽部に所属しアルトサックスを始める。河田健氏、川嶋哲郎氏、エリック・マリエンサルの各氏に師事。2016年9月キングレコードよりメジャーデューし、テレビや雑誌を賑わす実力派のサックス奏者として注目を浴びる。キャンディ・ダルファーからは演奏を気に入られ、彼女の来日公演に異例のスペシャル・ゲストとしてステージで共演。また、グレン・ミラー・オーケストラのジャパン・ツアーにもスペシャル・ゲストとして出演を果たすなど国内外で活躍するトップ・ミュージシャンと多数共演している。韓国やマレーシアなど海外でのジャズフェスティバルにも出演し、世界的にも高い評価を得ている。2016年にCDデビュー。以来ほぼ毎年コンスタントにアルバムをリリースし、演奏面だけでなくバラエティに富んだ作曲能力も高く評価されている。2018年からはYouTuberとしての活動も展開し、現在ユッコ・ミラー公式YouTubeチャンネル登録者数は約22万人を超え、総再生回数は5000万回(2025年6月現在)。自身のブログの一日の最高アクセス数が40万アクセスに達し、Ameba芸能人・有名人ブログの人気ランキングにて第1位を獲得、また、JazzPage人気投票サックス部門で第1位を獲得、「楽器店大賞2021」のサックス部門で大賞を受賞するなど、インストゥルメンタルアーティストとして類希な人気を集めている。

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