サックス記事

第6回「重音奏法に挑戦」

THE SAX vol.40

1840年代に誕生した比較的新しい楽器、サクソフォーン。ゆえに、プレイヤーは自分の心にある音楽をより正確に表現すべくいろいろな奏法─現代奏法─を生み出している。そして同時に、そんな多くの可能性を秘めたサクソフォーンのために、新しい奏法を用いた曲を書く作曲家も増えている。
このコーナーでは、そんな現代で自由自在にサクソフォンの演奏を楽しむために身に付けておきたい最先端の奏法、いわゆる“現代奏法”を、その道の第一人者である大石将紀が伝授する。
さて、前々回で取り組んだ「倍音練習」の応用編として前回は「フラジオ奏法」の獲得法を伝授した。今回は応用の第二弾、「重音奏法」にチャレンジする。

 

第6回 「重音奏法」に挑戦

前々回で現代奏法基本テクニック練習として紹介した「倍音練習」の応用編第2弾! 今回は重音奏法(マルチフォニック)に取り組んでみましょう。重音奏法とは、従来なら1つの音(単音)しか鳴らせないサクソフォンで、特別な運指によって2つ以上の音を同時に鳴らしてしまう奏法のことです。微分音程(半音より細かく分けられた音程)などを含んだ「ギャーッ」としたメタリックな音がほとんどですが、中にはきれいな協和音のようなものもほんの少しだけあります。重音の組み合わせ次第ではサックス1本でポリフォニー的な効果を得ることもできる驚異のテクニック、重音。現代音楽では必須、それ以外のジャンルでも重音を操れると音色や響きの幅がぐっと広がると思うので、是非習得したいテクニックのひとつです。ただし! 家で練習しすぎると近所迷惑になりかねないので要注意ですよ。


● 次のページに続く

・相手を知る=重音奏法とは何ぞや

・まずは復習:倍音練習 低音B♭、B、Cを基音にした倍音を鳴らす練習

・其の1  まずは体験:鳴りやすい重音

・其の2  すべての構成音を同時に鳴らすのが難しい重音

・其の3 応用編

 


 

プロフィール
大石将紀
(おおいしまさのり)

1999年東京芸術大学卒業。2001年同大学院修士課程修了。同年9月渡仏し、パリ国立高等音楽院に入学。在学中はフランス国内における数々のコンクールで入賞。04年アムステルダム音楽院に短期留学。同年6月にパリ国立高等音楽院サクソフォン科、室内楽科を、06年には即興演奏科をすべて最優秀の成績で卒業。さらに05年よりパリ国立高等音楽院第3課程室内楽科(サクソフォン四重奏)に進み07年6月に修了。在仏中はソリストとして、またサクソフォン四重奏「OSMOSE」のメンバーとしてクラシックはもとより、現代音楽、若手作曲家の作品発表を精力的に行なっており、これまでにイギリス、スイス、フランスなどのヨーロッパ諸国を始め、ナイジェリア、ニジェール、中国等で演奏活動を展開している。また、舞踏家の保坂一平とも共演を重ねる。2008年3月に日本に帰国し、東京オペラシティ財団主催「B→C100」に出演後、国内での活動を本格化。現在、東邦音楽大学、同大学院非常勤講師として後進の指導にもあたっている。サクソフォンをC.ドゥラングル、須川展也、平野公崇、彦坂眞一郎、冨岡和男、A.ボーンカンプの各氏に、室内楽をL.ハダディー、中村圴一の各氏、また即興演奏をA.サブレ、A.マルケアスの各氏に師事。
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