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吹奏楽お悩み相談室 楽器の寒さ対策【金管】

wind-i mini 4号

オーボエとファゴット

ご好評いただいているダブルリードコーナー、今回もリードの世界を掘り下げていきます! まずはリードの材料の話から。またもや目からウロコの話が盛りだくさんです! 世界随一のダブルリード専門店、日本ダブルリード株式会社のリペアマン、萩森弥郁夫(はぎもりみかお)さんに引き続きお話を伺いました。

葦について考える
リードの素材

リードの材料はケーン(葦)という植物が使われますが、極論を言えばどんな材料を使っても音は鳴ります。以前あるテレビ番組に出演した時の企画で、竹や利根川に生えている葦、塩化ビニールなど、様々な材料でリードを作って試したので間違いありません(笑)。垣根用に販売されている黒竹はなかなかいい音がしました(笑)。最近はレジェールリードなどのプラスチック製も開発されています。ファゴットはすでに市販され、オーボエのリードも開発中ですが、プラスチック製は水分を含まず滑りにくく、オーボエのリードは先端がとても薄く高振動なので、舌先が傷つきやすいといえます。30年前にイギリスで開発されたオーボエのプラスチックリードで舌が切れ、訴訟問題になったことがあります。市販の完成リードでも湿り方が足りないまま使用すると舌先が荒れてしまう危険があるので注意してください。

ファゴットのリジェールリード

ケーンの産地

天然のケーンはかなり細く育ちます。オーボエのリードは細いので、自然のケーンで製作することができますが、ファゴット以上の大きさのリードはシングルリードも含めて畑で栽培されたケーンを使用します。バリトンサックスなど、大きなリード用は日当たりなどいくつかの好条件が揃わないと育たないそうです。 ケーンは地中海沿岸で多く栽培されています。産地としてはフランスのニースからマルセイユのあたりが有名ですね。そこよりも南のスペインやアルジェリアでは色が濃く、模様の多いリードが取れますし、カリフォルニアや中国、アルゼンチンでは少し白めのケーンが収穫されます。2年間じっくりと育て収穫後、2年かけて乾燥、加工を繰り返してから出荷されます。さらにそのケーンを3〜5年寝かせると、一番状態の良いリードが作成できます。一方、湿気が多い日本では、ケーンを育てると繊維が太くなります。そのケーンだと音が荒くなってしまうため、日本産ケーンはあまり使われません。しかし、基本的においしいワインができる地域や土壌であれば良質なケーンが栽培できるはずなので、どなたか甲府あたりで作ってみようという方が現れませんかね?(笑)


オーボエのチューブについて
オーボエのチューブは3タイプ

オーボエのチューブは大きく分けるとジャーマンタイプとフレンチタイプ、そしてインターナショナルタイプの3種類があります。 ジャーマンタイプは息の入口が狭くて出口も狭く、逆にフレンチタイプは入口も出口も広くなっています。インターナショナルタイプはちょうどその中間で、入口は狭く出口は広くなっています。ジャーマンは息が入りづらいですが音質は良く、フレンチは息が入り、明るい音で細かなことも得意です。インターナショナルは両者のいいとこどりのチューブです。市販の完成リードは製作者の好みでチューブが用いられているので、ご自身が愛用しているメーカーのチューブをチェックしてみましょう!

オーボエのチューブ

チューブのコルクは伊達じゃない

リードと楽器の接続にはコルクが使われています。昔のチューブは糸が巻いてありましたが、今はメーカーごとに微妙に異なる大きさに対応するために弾力性のあるコルクになりました。また、コルクにした結果、音色も丸くなりました。現在はすべて一体の金属でOリングをつけたチューブもあります。Oリングのチューブは非常に効率がよいため、音量の変化がつけやすく、音も伸びますが、天候などのわずかな変化に左右されやすいというデメリットもあります。コルクは伊達についているわけではないんです(笑)。

オーボエのチューブ
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