中高生のための「クラリネット演奏法」

第16回 フレージングのために その5 〜息の柱とアンブシュア〜

息の柱(コロンデール)とアンブシュア

息の柱についてはこの講座の第1回目で話しましたが、これは横隔膜を土台として一定の圧力の息を管の中に吹き込んで、しっかりした太い柱のような息の流れを作ることです。また、アンブシュアは息の流れをうまくコントロールして、リードを良い状態で振動させるための口の形を言います。
もう一度復習してみましょう。まず、下の歯に下唇を巻き、やや横に引っ張った状態をつくります。軽く開いた口の方向にマウスピースを挿入し、リードを下唇の上に乗せて上の歯で固定します。上の歯の位置はマウスピースの先端から約1cmくらいが適当です。また、下唇はリードの先端からリードとマウスピースの間の閉まり始めた部分か、それよりリードの先端にやや近い部分に置きます()。これは人によって個人差があるので、厳密なものではなく多少の誤差はあります。大切なのは息が入りやすいことです。また、口の内部(口腔)は広くして下あごの部分はうめぼしの形にならないように、ピンと引っ張る感じにしましょう。

クラリネットを良い音で鳴らすためには、リードとマウスピース、アンブシュアと呼吸など、すべてが関連しています。また、音楽的に生き生きした表情を出すためには、曲想やダイナミクス、ニュアンスなどがたいへん重要ですが、これらはほとんど呼吸(息の柱)とアンブシュア、タンギング(アーティキュレーション)などのコントロールによって表現されます

登場するアーティスト
画像

野崎剛史
Takeshi Nozaki

東京芸術大学卒業後、渡仏。パリ市立音楽院にてクラリネットを学ぶ。フランス国立管弦楽団の首席クラリネット奏者ギイ・ダンガン氏に師事。帰国後、東京佼成ウインドオーケストラで演奏活動を続けた。またジャズサックス奏者の坂田明、クラリネット奏者の鈴木良昭、ピアニストのF.R.パネ、谷川賢作らとジャンルを越えた音楽活動も行なった。


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