The Clarinet vol.62 Gear Report

ビュッフェ・クランポン新機種 Traditionを語る

オーケストラ奏者として、ソリストとして大活躍中の3人が、ほぼ同時期に購入を決めた楽器─それがビュッフェ・クランポン社の「トラディション(Tradition)」だ。同社の新品楽器の購入は、藤井氏はほぼ30年ぶり、十亀氏に至っては40年ぶりとのこと。いったい「トラディション」とはどんな楽器なのか?

取材協力:株式会社ビュッフェ・クランポン・ジャパン

 

Tradition

出会ってすぐに購入を決定

─皆さんが「トラディション」を手に入れたきっかけは?
十亀:RCとフェスティバルの間の存在になるような楽器をずっと探していました。「トラディション」を試したら吹き心地が軽くて、今までできなかったことがやれそうだと思ったので、ほぼ衝動買いです。
亀井:最初吹かせてもらった時「いいな」と思いました。しばらくは借りて吹くつもりだったのですが、結局すぐに購入しました。
藤井:ずっと他のメーカーの楽器を使って来ましたが、ある日はじめて楽器店で「トラディション」を吹いてみたら、とても気持ちよかった。その夜、なぜか夢に見て……。次の日楽器店に電話して購入を決めました。
十亀:藤井先生が「トラディション」を買ったと聞いて、びっくりしたよね。
藤井:新しい楽器が久しぶりだったので、割るのがこわくて。「1日どれくらい吹いていいの?」ってもう本当に基本的なことを十亀さんに聞いたんです。そうしたら「新品は1日5分以上吹いてはダメ」って。
十亀:僕は買ったらすぐ、毎日バリバリ吹いていましたけどね(笑)。

 

懐かしいけれど現代的なクラリネット

─「トラディション」の内径(ボア)は、1950年代以前のBC20がヒントと言われていますね。
十亀:BC20は、僕が大学で吹いていたナンバーワンや、S-1の前にあった楽器ですね。
亀井:父が持っていたS-1を吹いたことがあります。「トラディション」を吹いた時も、懐かしい感じがしました。とは言っても、内径の細い昔のクラリネットをそのまま現代に復刻しただけでは、よい楽器にはなりませんよね。
十亀:そう、昔の楽器のコピーではないんです。そのコンセプトが面白いよね。
藤井:なるほど、こうなったのか、と思いました。またこういったクラリネットを選ぶことができるんだ、と興味を感じている人が多いです。

まだまだ続く「トラディション談義……続きはThe Clarinet 62号をご覧ください。
ビュッフェ・クランポン Traditionの商品情報はこちらから。

十亀正司
広島県出身。8歳でヴァイオリン、15歳よりクラリネットを始める。東京藝術大学卒、同大学院修了。1978年大学院在学中に東京交響楽団に入団。同交響楽団首席クラリネット奏者として35年間勤め2012年に定年退団。聖徳大学音楽科、東京藝術大学及び武蔵野音楽大学講師。日本クラリネット協会副会長、日本メタルクラリネット協会副会長。TCCP主催、(株)亀の子音楽工房代表取締役。東京交響楽団団友。
トラディションでのセッティング:マウスピース/ノーブランド(韓国製)、リガチャー/アトリエモモ(平原モデル)、リード/ダダリオ・レゼルブ

藤井洋子
桐朋学園大学音楽学部在学中、渡仏し、1981年フランス国立パリ高等音楽院入学。同音学院クラリネット科を1等賞で卒業。85年室内楽科を1等賞で卒業し、同年帰国。91年からは読売日本交響楽団首席奏者を務めており、ソリストとして同団と協演している。第1回日本クラリネットコンクール第1位、第2回日本管打楽器コンクール第2位(1位なし)、トゥーロン国際コンクール銀メダル。94年からは桐朋学園芸術短期大学講師を務めている。
トラディションでのセッティング:マウスピース/バンドレン5RVライヤー、リガチャー/ウッドストーン、リード/バンドーレントラディショナル 3 1/2

亀井良信
桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)卒業後渡仏。パリ市12区立ポール・デュカ音楽院、オーベルヴィリエ・ラ・クールヌーヴ地方国立音楽院卒業。ピエール・ブーレーズに認められ、フランスの騎馬オペラ団“ジンガロ劇団”のスペクタクル"TRIPTIK"でソリストとして出演。CD「Rhapsodie」、「Cantabile」が「レコード芸術」特選盤に選ばれている。出光音楽賞、「アリオン賞」、名古屋音楽ペンクラブ賞を受賞。桐朋学園大学准教授・東京音楽大学講師・洗足学園音楽大学非常勤講師。
トラディションでのセッティング:マウスピース/バンドレン5RVライヤーまたはB40、リガチャー/シルバースタイン(バー8本の特別モデル)、リード/バンドーレンV12 トラディショナルB40のときは31/2、5RVライヤーのときは4



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