THE FLUTE ONLINE連載

山元康生の吹奏楽トレーニング!│第9回

スタッカートは、まずスラーとテヌートで音質を確認する

次はタンギングが難しい場合の練習方法です。
【譜例9】のモーツァルトの協奏曲では、最大2オクターブの跳躍を吹かなければなりません。

【譜例9】
モーツァルト作曲「協奏曲ト⻑調」第3楽章より
 

まず1でメロディラインを長いスラーで豊かな音で鳴らします。
次に同じ音質で2のようにタンギングで吹きます。
「跳躍」と書きましたが、実は2オクターブ上がるのが難しいのではなく、下がるほうが難しいのです。
3のように下がるのを意識して練習しましょう。
この場合も4分音符で書かれたメロディラインを2と同様に、良い音質で吹くことに注意してください。
音程の間隔が広いほど難しいので、4では最も間隔が狭いものから広いものへ並び替えてみました。同じ下降形を3回続けて吹くことによってコントロールの方法がわかってきます。
後半の3連符のパターンのためには5の方法で練習するのが良いでしょう。

【譜例10】のシャミナードの『コンチェルティーノ』では速く上下する16分音符を均等な音質でハッキリ吹かなければなりません。

【譜例10】
シャミナード作曲「コンチェルティーノ」より
 

音質が悪いとタンギングしても音が立ち上がりませんので、まず1のようにスラーで吹いて音質を確認します。
シャミナードやモーツァルト以外でも「タンギングが難しい場合は、まずスラーで練習すること」を心がけてください。
2では、1つの音符を複数のタンギングで吹いて音質を確認します。
それぞれの音符は長く吹いたほうが音質を聴きやすいので、テヌートで練習した後にスタッカートで練習します。
その後、それぞれの音符にダブルタンギングを合わせていくのですが、4連符のうち、1個目、3個目、2個目、4個目、それぞれの音符に長い音価を与えたリズムで練習して、それぞれの長い音符の音質を確認すると最終的に、すべての音符を良い音質で吹くことができるようになります(3 4 5 6)。
人によっては3a 4a 5a 6aのリズムのほうが練習しやすいかもしれません。吹きやすいリズムパターンを選択してください。

【譜例11】の『グランドポロネーズ』では広い音程の下降と難しいアーティキュレーションを同時に行なわなければなりません。

【譜例11】
ベーム作曲「グランドポロネーズ」より
 

これまでと同様に1でメロディラインだけを取り出して音質を確認します。
前半部分はメロディライン以外の音符が低い音域にあるので、メロディライン以外の音もハッキリ聴こえるように練習しておかなければなりません。
メロディラインのためには2、スラーの最初の音のためには3、スラーの2つ目の音符のためには4で練習します。
後半部分は速いタンギングが必要です。
シングルタンギングでもダブルタンギングでも構いませんが、ここではダブルタンギングでの練習を示しておきます。
まず5でメロディラインがすべらないようにゆっくりのテンポで練習します。
6では付点のリズムにダブルタンギングを合わせて練習します。この時もメロディラインの音質に注意しましょう。
7を次第にテンポを上げて練習していくと自然に3連符になっていきます。
最後の部分は8 9ように「分割⇒結合練習」で練習します。

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