THE FLUTEオンライン記事:THE FLUTE141号 特別対談|アンドラーシュ・アドリアン×野村徹
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アンドラーシュ・アドリアン×野村徹

THE FLUTE141号 特別対談

奏者にとって欠かせない、楽器のメンテナンス。今回はフルートのリペアを専門に行なう技術者の野村徹氏に、アンドラーシュ・アドリアン氏との対談形式で、リペアマンの仕事について語っていただきました。お二人は、野村氏がヨーロッパで活動していた頃からの旧知の仲。対談も、実はアドリアン氏からの「凄腕のリペアマンが日本にいるから、ぜひインタビューを」という熱い(!)要望で実現した企画。かくして、野村氏をゲストに、アドリアン氏がインタビュアーを務める形で対談が実現したのでした。
対談の中から、本誌に掲載できなかったお話をお届けします。

 

待ち時間が楽しいものであってほしいから……

Adorján
今日お訪ねして思いましたが、あなたの工房はとてもお洒落な地域にありながらも見つけやすいとは言い難い。お客さんはどうやって来店し、また修理を依頼されたりしているのでしょう?
野村
ご来店の際には必ず事前のご予約をお願いしています。ご覧の通り店内はあまり広くなく、また私ひとりですべてを切り盛りしていますので、ご来店が重なってしまうと皆様にきちんとしたサービスを提供できなくなってしまいます。お客様が来店されて期待された成果、あるいはそれ以上のものをお受け取りいただけるかどうかという点が重要なのです。また、お約束した時間と場所が確保されているという安心を、すべてのお客様に感じていただきたいと考えています。それらを確約し、お預けいただく楽器1本1本にきちんと向き合うためには、事前のご予約が必要ということになります。
――
赤坂という一等地を選ばれた理由は?
Adorján
彼はいつも高級志向(笑)。言いたいことは分かる気がするけれど、まずはお答えいただきましょう。
野村
高級志向というわけではないと思いますが(笑)、仕事のやり方そのものが理由です。既にお話しした通り、原則として郵送をお受けせずにお客様のご来店をお願いするとなると、多方面からアクセスの良い場所であることは必須項目でした。このあたりには大きなターミナル駅こそありませんが、徒歩約10分圏内で4駅5線が利用できます。それから、フルートの修理にはある程度の時間がかかることがほとんどなので、お客様にとっての待ち時間が楽しいものであってほしいというのもありました。それには、立地が重要です。この地域には東京ミッドタウンや六本木ヒルズなど首都圏を代表する複合施設がいくつもあります。ショッピングだけではない時間の使い方もできるうえ、素晴らしい美術館、サントリーホールをはじめとする演奏会場や、ブルーノート東京などのライブハウスなども近いです。そういった理由で、ここを選びました。
Adorján
楽器の修理を待つ間、近隣で楽しく過ごしてから楽器を受け取って帰ることもできるのですね。

 

とてもアクセスの良い場所にある野村氏の工房TOKYO FLUTE SPACE。対談当日は、アドリアン氏と編集部が工房を訪問してお話を訊きました。一等地にありながらも“見つけやすいとは言い難い”というのは、看板を出しているわけではないためです。しかし、アドリアン氏のお墨付きでもある腕の良さだけに、予約はたくさん入っている様子。また、ひとつひとつの質問に丁寧に応え、伺った全員に配慮のゆきとどいた応対をしてくださる野村氏の人柄も、きっと安心して楽器を委ねられる安心感につながっているのだろうな、と感じたひとときでした。

 

◆アンドラーシュ・アドリアン
ブタペスト生まれ。コペンハーゲンで育ち、1974年よりミュンヘン在住。歯科学を学びディプロマを取得。フルートをA.ニコレ、J.P.ランパルに師事、研鑽を積む。68年コペンハーゲンで行われたJacob Gade Prizeとモントルーで開催された国際フルートコンクールで優勝後、71年パリ国際フルートコンクールで第1位を獲得。70年から87年の間、ストックホルム、ケルン、バーデン=バーデン、ミュンヘンの各オーケストラの首席奏者を務め、87年よりケルン音楽大学教授、96年からはミュンヘン国立音楽大学教授を歴任。2009年に出版されたフルートに特化した百科事典「Lexikon der Flote」の編纂も行っている。これまでに100以上の録音を発表し、88年にはドイツ批評家賞を受賞。

 

◆野村徹
武蔵野高等学校音楽科(現武蔵野音楽大学附属高等学校)及びハンガリー国立フランツ・リスト(リスト・フェレンツ)音楽院でフルートを専攻、青木明、小山由利子、佐伯隆夫、ローラント・コヴァーチの各氏に師事。 英国ノッティンガム州立ニューアーク・アンド・シャーウッド・カレッジ(現リンカーン・カレッジ)にて木管楽器製作・修理をジェフリー・エルス氏の元で学ぶ。在学中から英国を代表するフルート専門店修理室での実地研修、日米のフルートメーカー視察、フルートに関するさまざまな研究を行う。1999年、ヤマハに入社。同社フランクフルトR&D(リサーチ・アンド・ディヴェロップメント=研究開発部門/のちのアトリエ・ハンブルク)でフルート専任技術者として楽器の開発、アーティスト・サーヴィスに従事した。20年にわたるヨーロッパでの生活を終え、2013年に帰国。翌年、東京・赤坂に独立の修理工房「東京フルートスペース」を構え現在に至る。ストロービンガー (TM) フルートパッド認定技術者。


 

<INFOMATION>
TOKYO FLUTE SPACE〈完全予約制〉
住所:東京都港区赤坂 (詳しい住所は予約時に案内)
*千代田線乃木坂駅徒歩2分、大江戸線六本木駅徒歩4分
日比谷線六本木駅徒歩7分、銀座線・半蔵門線青山一丁目駅徒歩11分
営業時間:10:00〜20:00(最終受付19:00)、不定休
問合せ:Tel/Fax:03-6804-5967 
info@tokyoflutespace.com
https://www.tokyoflutespace.com



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