第25回│そして今日もマイクの前で
寒くなって参りました。これからの季節、ちょこっと吹いただけでも管内に水が溜まりやすくなっていけません。迂闊にジェットホイッスルなんかしますと、足部管から水がラーーーーーと垂れて右足の辺りがビタビタになり、いつもちょっと切ない気持ちになります。クリーニングロッドはマメに通しましょう
今日もマイクの前で眼前にマイクがある、というのはジャズ畑で育ってきた自分にとっては至極当たり前のことだったのですが、よくよく考えればフルートが演奏されるシチュエーション全体から考えてみれば、マイクがないほうが本当は自然ですよね。このマイクというのはちょいと曲者で、それでも始めた頃よりは仲良くなったと思うのですが、未だに中々どうして本番時の悩みのタネになり得ることもあります。
マイクにも色々と種類があり、レコーディングの時には大体コンデンサーマイクや、リボンマイクと呼ばれる種類のものを1本〜複数本立てていただいています。複数本の場合は、比較的近くで鳴っている音の成分を録る物、空間の響きの成分を主に捉える物、のようにマイクの性質を生かしてそれぞれで録音し、最終的にエンジニアさんがそれらの録り音を混ぜて、リアルな音質を形にしてくれます。そのため、エンジニアさんの個性で出来上がってくる音が様々だったりするのですが、あくまでも「自分の音」がその音楽の世界観に合う形になって録音作品の一部にしてもらえる感覚があるので、吹いている本人としても楽しい要素の一つです。
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片山士駿 (かたやま しゅん)
1995年千葉県出身。国立音楽大学ジャズ専修を首席で卒業、矢田部賞受賞。Manhattan School of Music 修士課程を修了。2015年、第46回山野ビッグバンドジャズコンテストにて最優秀ソリスト賞を受賞。フルート奏者の受賞は大会史上初。2016年、米国フルート協会 NFA主催 Jazz Artist Competition Winner Player に選出される。2018年、マンハッタン音楽院へ入学しニューヨークへと渡る。2020年、新型コロナウイルスの影響により日本へ帰国。都内を中心に、自己のリーダーカルテットや、浅利史花(gt), 壷阪健登(pf)と結成した“キリヱ”での演奏活動の他、文化放送70周年記念「朗読劇 WA-GEI 」、「映画『ルパン三世 カリオストロの城』シネマ・コンサート! and 大野雄二・ベスト・ヒット・ライブ!」等、様々なライブやレコーディングへの参加、TV 出演など、活動は多岐にわたる。これまでに池田篤、大澤明子、斎藤和志、Donny McCaslinの諸氏に師事。
主な共演歴:小曽根真、菊池ひみこ、佐山雅弘、山下洋輔、にゅうおいらんず等(敬称略)









