フルート記事 ヤーノシュ・バーリント×工藤重典Flute Recital 友情と共鳴〜A Bond in Reso
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ヤーノシュ・バーリント×工藤重典Flute Recital 友情と共鳴〜A Bond in Reso

EVENT

ハンガリーが生んだ世界のトップフルーティスト、ヤーノシュ・バーリント氏と日本を超え世界を代表するフルーティスト工藤重典氏によるフルートリサイタルがまもなく開催される。

ヤ―ノシュ・バーリント氏は、1961年ハンガリー生まれ。ハンガリー放送交響楽団、ハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者をつとめ、1986年からはシフラ財団のソリストとして国際的なキャリアを広げ、ヨーロッパの主要都市、イスラエル、アメリカにも招かれ、現在はドイツ国立デトモルト音楽大学の教授をつとめているフルーティスト。
工藤重典氏は日本を代表するフルーティストで、世界各地で訪問した邦は40ヶ国に及ぶ。現在はソリストとして活躍するほか、東京音楽大学特別招聘教授、昭和音楽大学客員教授として後進の指導にあたっている。

今回の公演は二人のたっての希望により実現したもの。J.S.バッハやモーツァルト、ベルリオーズ、ドップラーなど珠玉の作品が演奏される。
ハンガリー出身のバーリント氏は、ドップラーの研究にも力を注いでおり、THE FLUTE194号でCOVER STORYに登場した際には、ドップラーの作品の発見について次のように語っている。

大部分はハンガリーの国立図書館の古書直筆譜の所蔵でみることができます。
カール・ドップラー(弟)のほうは、ドイツのシュトゥットガルトで亡くなっていて、彼の家族はそのままシュトゥットガルトに住まいがあります。ハンガリーはブダペストに生まれ、フルート界の重鎮ですばらしい演奏家——ドップラーの研究者でもある——アンドラーシュ・アドリアン氏は、前述したドップラーのご家族と長年の交流があるので、彼の功績で多くの直筆譜を確認することができます。
フランツ・ドップラー(兄)は、ハンガリー国立劇場で首席フルート奏者を務め、のちにオーストリアのウィーンで活躍していますから、ウィーンの国立図書館にも古書直筆譜の所蔵があります。私もハンガリーの国立図書館にて小品をいくつか発見しています。ほかにスペイン生まれのフルート奏者で、ドップラーの研究でも名高いクラウディ・アリマニー氏が、7年ほど前からドップラーのフルート作品全集の録音を進めていますね。氏の研究により彼の手元にはドップラーの作品の詳細なリストがありますが、それは未だに楽譜が確認できていないものも含んでいます。
個人的にはこの数十年で発見された十数曲の作品が最も良い状態・出来のものだったのではないかと思っています。見つかった楽譜の中には、例えば「2本のフルート」の楽譜が発見されても、1stフルートの譜面とピアノ譜だけしか見つからなかったり、全部のパートが見つかってもピアノ譜の前奏が欠けていたりして、つまりは楽曲が未完成と思われるものも多いのです。THE FLUTE vol.194より)


さらにフルーティストにとって必要な要素とは?と質問では下記のように答えている。

ここにある楽器たちを見ていただければ分かるとおり、世界中のすばらしい技術の向上で、楽器自体がこれまでに大きな進化を遂げてきました。そして教授法もずっと進化し理論や方法も向上したので、人々は質の高い技術習得のために学習できるようになりました。なので「優れた音楽家」は増えていると感じますが、一方で「超一流」というカテゴリに属する演奏家の誕生は稀有になったと感じます。「超一流」の演奏家は、演奏後に会場の雰囲気をも特別なものにしてしまうような、強烈な個性と要素を兼ね備えています。政治や経済の影響で難しいときもあるかもしれませんが、常に感性を磨き、自分独自の考えを持ち、想像力と創作を楽しみ、素直さと柔軟さをもって心を開くことは大切な要素だと思います。THE FLUTE vol.194より)


バーリント氏が語るように「超一流」の演奏家は、演奏後に会場の雰囲気をも特別なものするという言葉──まさしく今回の二人にぴったりではないだろうか。
共演はソリストたちから絶大な信頼を得ているピアニスト 石橋衣里氏。
二人の超一流プレイヤーによる共鳴と音で紡ぐ友情の旋律を楽しみたい。

 

 

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ヤーノシュ・バーリント×工藤重典フルートリサイタル
友情と共鳴~A Bond in Resonance〜

[日時]2025年12月1日(月)18:30開場 19:00開演
[会場]銀座 王子ホール
https://www.ojihall.jp/facility/access.html 
[出演]ヤーノシュ・バーリント/工藤重典(Fl)、石橋衣里(Pf)

[曲目]J.S.バッハ:トリオ・ソナタ ト短調 BWV1029、W.A.モーツァルト:ソナタ ト長調 K.301、L.ベルリオーズ:若いイシュマエル人三重奏曲「キリストの幼時 Op.25」より、T.ベーム:メンデルスゾーンとラハナーの主題による3つの二重奏曲、F.ドップラー:ハンガリー田園幻想曲 Op.26、N.パガニーニ:ラ・カンパネラ、K&F.ドップラー:ハンガリーの主題による幻想曲 Op.35

[取扱い]
◆チケットぴあ
前売券:一般 5,000円/学生 3,000円
当日券:一般 5,500円/学生 3,500円
販売用URL:http://ticket.pia.jp/pia/event.ds?eventCd=2521786
【Pコード】301792
◆パールフルートギャラリー東京
TEL:03-3836-1610

[問合せ]パールフルートギャラリー東京
TEL:03-3836-1610
公式Webサイト:https://pearl-music.co.jp/flute/ 

[主催]パール楽器製造株式会社
[協力]エルドゥムジカ
[後援]KAJIMOTO、ハンガリー大使館/リスト・ハンガリー文化センター

◆出演者プロフィール

 
 
JanosBalint
ヤーノシュ・バーリント(フルート)
János Bálint (Flute)
1961 年ハンガリー生まれ。ブタペストのフランツ・リスト音楽院卒業後、'84 年のアンコーナ(イタリア)をはじめライプツィヒ等の国際コンクールに入選。'81~'91 年にはハンガリー放送交響楽団、'00 ~ '06 年にはハンガリー国立フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者をつとめる。'86 年よりシフラ財団のソリストとして国際的なキャリアを広げ、ヨーロッパの主要都市、イスラエル、アメリカにも招かれる。'90 年からセゲド音楽院、'94 年からロヴィゴ音楽院、'96 年からはリスト音楽院でも教授をつとめた。多くの現代作曲家が彼のために作品を書いており、その世界初演も多く、数々の賞を受賞している。'08 年にはハンガリー最高位の音楽芸術賞を受賞。文科省によるフランツ・リスト賞とハンガリーの教育賞の両賞を受賞。現在、ドイツ国立デトモルト音楽大学教授。
 
 
 
ShigenoriKudo
工藤重典(フルート)
Shigenori Kudo (Flute)
パリ国立高等音楽院を一等賞で卒業し、23 歳の若さで第2 回パリ国際フルートコンクールで優勝。パリ、ロンドン、ウィーン、ミラノ、ニューヨーク、モスクワ、ミュンへン、東京など世界各地でソリストとして訪問した国は40 ヶ国に及ぶ。CD はマイスターミュージック、ソニークラシカル、ナクソスレーベルなどからリリースされ、70 タイトルを超える。秋山和慶、岩城宏之、井上道義、小澤征爾、外山雄三、尾高忠明、佐渡裕、またJ.P ランパル、M. ロストロポーヴィチ、K. ペンデレツキ、J.F パイヤール、ネヴィル・マリナーなどの名だたる指揮者と60 曲以上のフルート協奏曲を演奏してきた。東京音楽大学特別招聘教授、昭和音楽大学客員教授として後進の指導にあたっている。
 
 
 
Eri Ishibashi_web
石橋衣里(ピアノ)
Eri Ishibashi (Piano)
昭和音楽大学を特別賞を得て卒業後、同大学専攻科修了。園田高弘氏に師事。第13 回クララ・ハスキル国際ピアノコンクール(スイス)ファイナリスト。 卒業後、シュトゥットガルト音楽演劇大学大学院へ進み、K.リヒター教授の元で歌曲伴奏の研鑽を積む。また、併行して在籍したピアノ科を最優秀の成績で修了。第4回シューベルト国際歌曲コンクールで優秀伴奏者賞、第15 回びわ湖国際フルートコンクール最優秀協演賞を受賞。 帰国後は、神戸国際フルートコンクールをはじめ、アジア国際フルートコンクール、国際オーボエコンクール・東京、日本木管コンクール、日本フルートコンヴェンションコンクール等で公式伴奏をつとめる。東京藝術大学伴奏助手を経て、現在昭和音楽大学及び同短期大学部講師。



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