THE FLUTE 150号 Special Contents-2 <WEBオリジナル編>

お気に入りのフルートに出会う —あなただけの一本を見つけよう!—

本誌150号では、メモリアル企画として各メーカーのイチオシ総銀製モデルをラインナップしました。それぞれの機種の特徴を、メーカーの歴史“history”、編集部による「楽器選びのマメ知識」、そして楽器店の売り場担当者からのメッセージ“売り場で聞きました”とともに掲載しています。
ここでは、“売り場で聞きました”のコーナーに登場していただいた、管楽器専門店ダクの木暮有賀さんによる楽器選びのアドバイスを紹介します。メーカーや仕様など、選択の幅がとても多岐にわたるフルート。その中から“これぞ”という一本を自分の楽器として選ぶのは、なかなか大変なことです。百戦錬磨(?)の売り場担当者は、どんなことに着目しつつ日々アドバイスを行なっているのでしょうか?

管楽器専門店ダク 木暮有賀さん

管楽器専門店ダク木暮有賀さん

フルートという楽器は選択肢が多いので、吹けば吹くほどどれがいいのかわからなくなってしまいがちです。自分がどんな音色や吹奏感を求めているのか、というのがはっきりしないと「コレ!」というものを選ぶのは難しくなってしまうと思います。
普段習っている先生など、アドバイスしてくれる人と一緒に選びに来る方は方向性も定まりやすいのですが、自分一人で何となく探しているような場合は、なかなか決まらない状態に陥ってしまうこともあります。
ひとつアドバイスさせていただくとすれば、試奏するときに、それぞれの楽器が響くポイントを探すこと、それから自分の好きなフレーズや、高音から低音までの音がどんなふうに鳴るのかなどをよく聴いて感じていただくといいと思います。そのうえで、吹きやすさ、音色……どこを優先するかはその人それぞれになってきます。
同じ楽器でも、違う人が吹けば違う音が出ます。ある程度の基本の音色は楽器がつくってくれますが、あとは自分次第になります。そこを意識して試奏、楽器選びをしていただくと、選びやすいのではないでしょうか。

管楽器専門店ダク
営業時間 11:00~20:00(日祝日は10:30~19:00)
定休日 毎月第1・第3水曜日(祝日を除く)
住所 〒169-0073 東京都新宿区百人町2-8-9
TEL (03)3361-2211 FAX (03)3361-4300 E mail:info@kkdac.co.jp
管楽器専門店ダク

 

《 WEB限定はみだし企画 》

モロ師岡のモロモロミュージック 最終回特別編

協力:山野楽器銀座本店フルートサロン

動画付き“マイ楽器選び”実は……

続いて、『密着!モロ師岡が“マイ楽器”を選びに行く』と題して本誌で華々しい(?)最終回を迎えたこの企画。映画「マエストロ!」のベテランフルート奏者役をきっかけに、「いつか自分の楽器を手に入れたい、そして上手になってライブで吹きたい!」という希望を持ったモロ師岡さん。その夢に一歩踏み出すべく、映画撮影時にフルートの指導を受けていた先生・佐々木理絵さんアシストのもと、山野楽器銀座本店5Fにあるフルートサロンで試奏をすることとなりました。

モロ師岡のモロモロミュージック

左は今回のアドバイザーで管楽器担当の中村さん、右は佐々木理絵先生

フルートの在庫豊富な売り場へいざ!ということで、実際にビギナー向けのモデルをいろいろ試したモロさんでしたが……実は「金の楽器もぜひ試してみたい!」と、9金、14金のフルートも試奏しました。150号誌面では触れていませんが、モロさん自身、かなり気に入ったのが9金の楽器。音色、吹き心地ともに、しっくり来たそうです。
というのも、「マエストロ!」でオーケストラのフルート奏者を演じたときのモロさんが使用したのが金の楽器(ちなみに、14金でリングキーでH管!)。撮影前のレッスンのときから同じ楽器を使い、その前段階、初めてフルートを手にしたときでも既に総銀製を使用していたとのこと。ベテランフルーティストの役を演じるとなれば、やはりそれなりの楽器から……ということで、ずっしりと重厚なフルートからいきなり入門したモロさんは、ちょっと異色の“初心者”かもしれません。
誌面では初心者向けモデルの試奏だけに絞ってご紹介しましたが、ここでは、9金や14金のフルート、そして木管のフルートなどを試奏しているモロさんの様子も、動画でご覧いただけます。そして最後に、試奏・楽器選びを実際にやってみた感想もいただきました♪ いろんなフルートを吹いてみて感じたこと、楽器選びでここは大事!と思ったこと……などなど、モロさんからのメッセージをお聞き逃しなく!

山野楽器銀座本店5F フルートサロン
山野楽器銀座本店5F フルートサロン
フルート・ピッコロ・頭部管など、フルートに関係するすべてを扱うサロン。ビギナー用モデルから世界の銘器まで世界最大級の在庫数、そして豊富な知識を持ったスタッフが迎えてくれる。

 

モロ師岡
モロ師岡
俳優・コメディアン。1959年、千葉県生まれ。俳優活動のほか、ひとりライブなどで活躍中。映画「マエストロ!」ではベテランオーケストラ団員であり、不遇の(?)フルーティスト役を演じた。1995年国立演芸花形演芸会・花形演芸大賞銀賞受賞。1996年、北野武監督映画「キッズリターン」で、東京スポーツ映画大賞助演男優賞受賞など、受賞歴多数。

 

佐々木理絵
佐々木理絵
宮城県仙台市出身。武蔵野音楽大学卒業。小学校から高校までジュニアオーケストラに所属。2007年、ASIEN-PAZIFIK-WOCHEN BERLIN 2007に上野耕路&HISORCHESTRAの一員として出演。2013年、YCAM10周年記念祭THE OPENING LIVE CONCERTに参加。その他、映画、CM、アルバムのレコーディングに参加。現在、レコーディング、LIVE、コンサートなどで活動している一方、後進の指導にあたる。

本誌未公開 モロさんこんなアドバイスも受けていました♪

佐々木
今回は中音域を中心に試奏しましたけど、もうちょっと吹けるようになったら高音と低音も吹いてみて、それぞれの楽器ごとの鳴り方の違いを体感できるようになるといいですよね。
楽器屋さんに初めてフルートを買いに来る場合、どんな機種を選ぶ人が多いのでしょう?
中村
いちばん最初の楽器を、まずとっかかりやすいものにされる方もいれば、ある程度最初から長く使うことを視野に入れて20万くらいの楽器を選ぶ方もいらっしゃいます。特に先生と一緒に選びに来られる方は、後者が多いですね。
佐々木
とにかく吹いてみて、その人にとって音が出しやすい楽器を選ぶのが私はおすすめですね。音が簡単に出るほうが楽しめますし。
中村
たとえば後々買い替えも考えていなくて、最初で最後の一本ということであれば、頭部管だけいいものを買うというのも一つの手かもしれませんね。
佐々木
上手になる秘訣の第一はまず練習ですが、あとはやっぱり、ちゃんとした楽器を使うというのもすごく大事なんですよね。もちろん、自分に合っているということも含めてですが。ですから、こうやってお店に来て実際に吹いてみて選ぶというのは大切だし、必要なことです。もし、あまり吹けない人や違いがよくわからないという人は、お店の人に相談して勧めてもらったものであれば間違いがないかもしれません。

《 はみだし企画 》 型破りな初心者

編集部
モロさんは、響きとしては、やわらかい感じのものがお好みですか?
モロ
どちらかというと、さっき吹いた9金のような重めの感じの音色が個人的には気に入りました。頭にグワーンとくる感じが心地好いというか。
佐々木
何といったって、最初のとっかかりが総銀製と14金のフルートで、ベートーヴェンですからね(笑)。モロさんの場合はかなり型破りな初心者でしたよね。
*映画「マエストロ!」では、クライマックスシーンでベートーヴェンの『運命』とシューベルトの『未完成』を演奏。音はプロによる吹き替えだったものの、レッスンを重ねて演奏をマスターし、撮影では俳優陣が実際に演奏を行なった


フルート奏者カバーストーリー