サックス記事 さらに研ぎ澄まされたエレクトロオルタナティブな独自の音空間が5thソロ作で炸裂!
  サックス記事 さらに研ぎ澄まされたエレクトロオルタナティブな独自の音空間が5thソロ作で炸裂!
[1ページ目│記事トップ
THE SAX vol.122 Interview│勝田一樹

さらに研ぎ澄まされたエレクトロオルタナティブな独自の音空間が5thソロ作で炸裂!

ARTIST

昨年ソロとしてもデビューから10周年を迎え、Jフュージョン界のスーパーユニットDIMENSIONのフロントマンとしても変わらず絶大な人気を誇る勝田一樹。そんなトッププレイヤーから2024年の4thソロ作「NEO」に続く、ソロ第5弾目が早くも届けられた。
前作で提唱した「エレクトロオルタナティブ」な音世界をさらに推し進めた新作のタイトルは「Then」!
新境地を切り開いた勝田一樹の第2章がスタートした!!

インタビュー・文:山本美芽/写真:達川範一(B ZONE)/取材協力:B ZONE

ようやく狙った方向に音が持っていけるようになってきた

ニューアルバム「Then」のコンセプトや方向性は、どのように決めたのでしょうか?
勝田一樹
エレクトロオルタナティブだった前作「NEO」からの第2弾という位置づけです。ソロアルバムとしては5枚目だけれど、4枚目と5枚目はシリーズ的な流れで。サウンドの方向性も「NEO」から続く次の物語にステップアップしています。
打ち込みサウンドとサックスの融合が絶妙で、ぐいぐい引き込まれる魅力的な楽曲が揃っています。どうやって作曲していったのですか?
勝田
僕のキャラだと、作曲なんて、するように見えないかもしれないですけどね。作るときはスタジオでやります。作り方はずっと昔から変わってない。アイデアをスケッチして、五線譜に音符やコード進行を書いた紙が、プロになって作曲を始めたころから膨大に書き溜めてあります。作曲をするには、やはり練習が必要。曲を作るって言うと練習不足の人は「イントロは?」とかいって頭から作るけれど、そうじゃなくて、最初にサビを作ったり、サビの前のBメロが欲しいな、この前のアレが使えるんじゃないか? キーが合わないな。キーを上げて、いいな、とかね。だから最初から最後まで通して作るとは限らない。この曲どこから作ったんだろう? みたいな作り方です。どういうアイデアを形にしていくか、方向性を決めたんだけど、プロセスを辿っていったら全然違うことになっちゃった、なんてこともある。同じコード進行でもテンポでまったくニュアンスは変化するから、同じフレーズでも小節の頭からくるのか、8分で喰ったら、16分で喰ったらまた印象が違う。そういう試行錯誤の蓄積も、練習なんですよ。「前にやったときはイマイチだったけど、これ合うかな」「このまえボツだったけれど、こうやって直したらどうだろう」と閃いて、形になることもある。ここにきてようやく狙った方向に音が持っていけるようになってきたのかもしれない。
サックスが前面に出ていて、なおかつサックス奏者ではない人も楽しめるサウンドです。そのあたりは意識していますか。
勝田
うるさくて、速くて、難解だったりして、時代に逆行していますよね(笑)。サックスはアコースティックな楽器だからジャズの要素がある。そしてサックスを主役にするとエレクトリックだと、フュージョン系のスタイルがあって、なかでもデヴィッド・サンボーンが確立した感じ、ブレッカー・ブラザーズが確立した感じ、そのあたりになりがちです。それは、管楽器が目立つからなんですね。そこで視点を変えて、管楽器なんだけど管楽器っぽくないような……そういう意識で作って、できあがったのが前回の「NEO」であり、今回の「Then」なのかなと。
確かに「管楽器っぽくない」感じがあります。どうやってそれを具体化したのでしょうか。
勝田
テーマの部分に関しては、サックスをたくさん重ねました。まずはアルトで、2声、3声だとハモリづらいから4声にすることもあって、それを二回重ねる。さらに低音域に、オクターブ下を入れる。高音域は主メロの部分のオクターブ上をフラジオで足す。ピーピーいってるから、少し薄くして足す。あくまで、テーマとメロディ部分の対比を作るためなんですよね。まあ、やった人の自己満足ですよ。

次ページにインタビュー続く
・音を重ねたテーマ部分とは対照的にソロの部分は重ねなしで生っぽく
・人生で初めて購入したバリトンサックスも随所で効果的に演奏
・ディメンションの古い音源を聴いて、新しい金属のほうが鳴ると確信した

CD information
 
「Then」勝田一樹
(CD2枚組/ジャケット9種類封入/特別仕様)
【ZACL-9144〜45】¥6,600(税込) ZAIN RECORDS
[演奏] 勝田一樹(As,Prog)、友田ジュン(Key,Prog)
[収録曲]
<Disc1> Sky Dance/Cube/We Got Music/Then/Forever/Monogram/Hip-Skip/Gemini/Connect
<Disc2>「Then」No Limit Version
 
Live information
 
9/3(水) 勝田一樹ソロライブ @目黒ブルースアレイ
9/26(金) DIMENSION 35周年記念前夜祭ライブ @渋谷プレジャープレジャー
 

 

登場するアーティスト
画像

勝田一樹
Kazuki Katsuta

人気フュージョン・バンドDIMENSIONのフロントマンを30年にわたって務める。その音色は一聴して分かるほどに唯一無二の存在感を放ち、彼の影響を受けたサックスプレイヤーは後を絶たない。アルトサックス・プレイヤーとして、アンサンブルの中に溶け込む力強さと優しさを調和させたそのスタイルに加え、様々なアーティストのレコーディングにおいてはブラスセクションのアレンジ力も高い評価を得ている。ソロ活動として勝田自身のプロデュースによる「JAFROSAX」名義でアルバムを4枚リリース。国内外および多ジャンルにまたがり大好評を得る。2014年には待望の初のソロアルバム「Kazuki Katsuta」をリリース。これまでに5枚のソロアルバムをリリースしてソロ活動も精力的に行なっている。2022年からは勝田主催でCASIOPEA-P4のギタリスト野呂一生と共に「J-FUSION BLUE NOTE TOKYO SPECIAL」というイベントをブルーノート東京で開催し大好評を得る。DIMENSIONとしては1992年にデビューしてアルバム34枚をリリース、来年結成35周年を迎える。2023年に行われたBlue Note Tokyo 35th presents JAZZ-FUSION SUMMIT2023公演でT-スクエア、CASIOPEA-P4等、Jフュージョンを代表するバンドとの共演も記憶に新しい。
(2025.08)

[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      


サックス