トランペット 記事
COME COME JAZZ FRIENDS

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」音楽秘話を関係者が語る!!

本号の表紙は、先ごろ幕を閉じたNHK連続テレビ小説の第105作となる「カムカムエヴリバディ」(放映期間2021年11月1日~2022年4月9日)に関わったトランペット奏者のみなさん+その音楽の仕掛人である金子隆博さん。このドラマの原動力は、いわば「ルイ・アームストロング」「餡子」「ラジオ英会話」の三題噺。NHKが放送を開始した1925年から2025年までの100年間を、その三題噺を軸にして、驚異の伏線と怒涛の回収という得意技で、全国の音楽ファン、和菓子ファン、英会話ファンの心をわしづかみにして半年にわたり翻弄しまくった、稀代の傑作であることは誰しも認めるところでしょう。その原動力のひとつである「ジャズ・トランペット」に深くかかわった皆さんの内緒話をちょっと聞いてみましょう。
インタビュー・文:埜田久三朗/写真:井村重人(アーニーズ・スタジオ)

こだわりにあふれた収録現場

外山喜雄
金子さん、お久しぶりです(編集部注:座談会開催の時点ではすでにドラマの収録はすべて終わっていて、外山さんはじめとして皆さんが集結するのは久しぶりのことだった)。その節は大変お世話になりました!
金子隆博
とんでもございません! こちらこそです! 外山さんには2月の、ニューヨーク、サッチモ博物館とニューオリンズ・ジャズ博物館からの感謝状授与式から、TV番組「あさイチ」でも、お世話になりっぱなしです! 再来週(3月27日)のカムカムジャズバンドのブルーノート東京も楽しみです。しかし素晴らしいトランペッターが4人そろいましたね。このメンバーが揃ったのは、昨年4月に行なわれた「カムカムエヴリバディ録音、北村英治Session」以来ですね! ゴージャスです。今回のドラマはルイ・アームストロングが歌う『オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート』が重要なキーになっていて、戦後の日本ジャズ黎明期を知る渡辺貞夫さん、北村英治さん、そしてルイ・アームストロングその人とリアルにかかわった経験をお持ちの外山喜雄さんという日本のジャズ・レジェンドのお三方にご協力いただけたことは、物語に寄り添う劇中音楽はもちろん、物語自体をも豊かにしていただきました。レコーディングはまず「関西のジャズ奏者たちとMITCH、広瀬未来くん」から始まりました。昨年3月でした。そして4月に「渡辺貞夫さんとBIG HORNS BEE」の日が1日、「北村英治さん、外山さん、BIG HORNS BEE、MITCH」の日が1日と、都合3日間の突貫工事でした。この3日間だけで、「ジャズ・コレクション」2枚組の33曲を、すべてセパレートブースなしの大部屋での同録で、録り切りました。
企画そのものはいつごろから立ち上がっていたんですか?
金子
今から2年半くらい前かな……新型コロナウイルスで大騒ぎになる直前でした。だから曲作りの時期から収録時期はまさに「自粛」が真っ盛りで、周りではライブやイベントはすべてなくなっていました……こんなことが自分の人生では起こるなんて思ってもいなかったですね。でも、BIG HORNS BEEは、ブルーノート東京で定期的にライブを敢行していました。「僕らベテランがビビって音楽の灯を消してはいけない」との一心でした。「ちゃんとしたライブハウスで、ガイドラインを守れば絶対に大丈夫!」と思っていました。
外山
サッチモ(ルイ・アームストロング)がジャズを始めたころもちょうど「スペイン風邪」と呼ばれる伝染病が世界を席巻している時でしたから、彼が重要なモチーフになっているドラマがそのさなかに始まる、というのに不思議な巡り合わせを感じましたね。生誕120周年&没後50周年という記念の年でもあったことにも、なにか運命の悪戯みたいなものを感じて……。天国のサッチモが、空の上でニヤリとしているような気がしますよ(笑)。
金子
私と番組は、外山さんのおかげでNYにあるサッチモの記念館から表彰状をいただく光栄に預かりました。
 
去る2月15日に日本海外特派員協会で行なわれたNYルイ・アームストロング・ハウス博物館(サッチモの家)とニューオリンズ・ジャズ博物館から贈られた感謝状授与式の様子
 

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・ありそうでなさそうで、やっぱりありそうなオリジナル曲の数々
・「カムカム〜」テーマに秘められた想い
・ドラマにさらなる音楽的パワーを与えた4人のトランペット奏者たち

●外山喜雄 Yoshio Toyama
1944年3月5日、東京都生まれ。トランペット奏者。ヴォーカリスト。早稲田大学卒業。夫人の外山恵子(Pf,Banjo)とともに1968年ニューオーリンズに渡り5年間ジャズの故郷でジャズ武者修行。1971年から2年は、欧米各地をツアーする。1975年に “デキシーランドセインツ”を結成。以降同バンドを中心に活動。東京ディズニーランドにはオープン以来23年間レギュラー出演しており、1983年からパ―リーバンド、1998年からは“ロイヤルストリート・シックス”として出演。ニューオーリンズ市名誉市民。日本ルイ・アームストロング協会会長。2021年に「ルイ・アームストロング 生誕120年 没50年に捧ぐ」(冬青社刊)を上梓(写真①)。外山喜雄&デキシーセインツの最新作は2021年8月にリリースされた「デキシー・マジック・ビビディ・バビディ・ブー AGAIN」(写真②)。
[使用楽器/マウスピース]カリキオ 4000番台/ジャルディネリ 10

写真①
写真②
 

●佐々木史郎 Shiro Sasaki
1962年、東京都豊島区生まれ。武蔵野音楽大学在学中よりジャズを始め、卒業後、山下洋輔パンジャオーケストラ、東京ユニオン、DREAMS COME TRUEのツアー及びレコーディング等に参加。また、オルケスタ・デ・ラ・ルスのリード・トランペッターとして15回以上の海外ツアーを行ない、その間、ビルボード誌ラテンチャート11週1位、国連平和賞、グラミー賞ノミネート、「トゥナイトショウ」出演、サンタナとツアーなどの活躍をする。2001年「Move On」と「The Life」をビクターaosisレーベルからリリース。2007年にはShiro Sasaki & Caoba Big Band「PEACE!」を発表。現在はスタジオミュージシャン、および熱帯ジャズ楽団、BIG HORNS BEEなど多くのバンドに参加している。
[使用楽器/マウスピース]ヤマハ オリジナルモデル/パービアンス(オリジナル)4☆D4改良型

 

●小林太 Futoshi Kobayashi
1966年3月29日東京都立川市出身。小学6年よりトランペットを始める。1986年おニャン子クラブのツアーに参加。その後、柴田恭兵、真田広之、鈴木聖美などのツアーに参加しつつ、1987年より高橋達也&東京ユニオンに加入。1990年より米米CLUBのホーンセクション「BIG HORNS BEE」に参加。以後SAKURA、古内東子、SILVA、SURFACE、SMAP、AI、aiko、及川光博などのライブサポートやMISIA、ケミストリー、ポルノグラフィティ、ケツメイシ、モーニング娘。などのレコーディング&ブラスアレンジで活躍。愛称はフッシー。同じくトランペット奏者として活躍する小林正弘は実兄。
[使用楽器/マウスピース]カリキオ 1S ML 7/MMP Paul Casiaモデル

 

●MITICH
1974年、京都市生まれ。中学時代にトランペットを始める。大阪音楽大学在学中に“ブラック・ボトム・ブラス・バンド”を結成。ストリートでのライブ活動を経て、1996年に「ブラック・ボトム・ブラス・バンド」でメジャー・デビュー。2000年春、ブラック・ボトム・ブラス・バンドを脱退し単身ニューオーリンズへ渡り、米国での音楽活動を開始。ニューオーリンズと日本を行き来しながら活動を続ける。2002年に初ソロアルバム「MITCH」をリリース。2004年には映画「この世の外へ〜クラブ進駐軍」で役者デビューも飾る。2008年に2ndソロアルバム「MITCH ORLEANS」発表。その他、ジャズからポップスまで幅広いジャンルで有名アーティストのサポートや共演で活躍中。
[使用楽器/マウスピース]ヤマハYTR-8310/ヤマハ オリジナルモデル

 

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
オリジナル・サウンドトラック 劇伴コレクション Vol.1

【SICX-30130】¥3,300(税込)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
[収録曲]空に舞う、100年の物語 〜カムカムエヴリバディのテーマ〜 feat. 渡辺貞夫、風に乗って、ときめき、小豆の香り、追憶の道 〜光の照らす場所〜、安子の恋、胸騒ぎ、きっと明日は、憂え、揺れる心、飛び石、ジョーの憂鬱、ルイの心象、街行く人々、古代の森、雫、白詰草の髪飾り、素足でダンス、けちべぇ、家族の絆、サンタの旅、初代黍の丞のテーマ、木漏れ日、折れた心、すぐそこまで来てるゾ、忘れえぬ絵画、遥かなる場所、百日紅の小径、心、頑な、時を越えて、サンタの大阪ワルツ、カムカム英語のテーマ曲、一緒に帰ろう、ニューオーリンズの空へ

 

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
オリジナル・サウンドトラック 劇伴コレクション Vol.2

【SICL-30135】¥3,300(税込)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
[収録曲]ひなたと錠一郎、朝のルーティーン、ひなたと桃太郎と錠一郎と、ひなたのテーマ、世代をこえて、優しさのピアノ、縁側の陽だまりで、愛、故に...、スキップでニューオーリンズまでいけるかな?、ペルシアンダンス、それ、言う?、絆 ~ひなたの道へ~、大月家のテーマ、“カルマンギア タイプ 1 コンバーチブル”のSweet Honey Bee、家族のぬくもり、マカームの悩み Part1、てへぺろ、もっと頑張るもん、ラジオ英会話テーマ曲 "don't let it worry you"、レオ・ノセンテリへの手紙 "a letter to Leo Nocentelli"、みんなあつまれ、大部屋の魑魅魍魎、マカームの悩み Part2、青春の苦み、ジャック・オー・ランタン "Jack-o'-Lantern"、男の哀愁、己有を知らず、貧これに過ぎたるはなし、忍びの術、きっとEことあるさ、たそがれひなた、新、黍の丞のテーマ ’70、愛が教えてくれる、“みんなあつまれ磯村吟”のテーマ曲

 

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
オリジナル・サウンドトラック CLIMAX

【SICX-30141】¥3,300(税込)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
[収録曲]カムカムエヴリバディの走馬燈、The Stolen Minutes、恋心 Climax Ver.、What is Modern Climax Ver.、狸ばやし in US、空から見守っているよ、素晴らしき罪滅ぼし、Holy Climax Ver.、オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート Climax Ver.、安子とるいの再会 Climax Ver.、アニーのテーマ2000、流離の魂、桃太郎の憂鬱、いつ来るかわからぬ明日に備えよ、安子のテーマ、この道を歩いていく、るいの戦い、ひなたの日常、二人が見上げた月は、そんなつもりじゃないよカルテット、日向の道へ、伴虚無蔵、アニーの心象、想っているよ、もやもや、月の光~るいと錠一郎~、Rhythm Exchange Climax Ver.、オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート feat.世良公則、Blow it up! (That’s our job) Live Recording

 

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
オリジナル・サウンドトラック ジャズ・コレクション

【SICX-30131〜2】¥3,300(税込)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
[収録曲]オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート、ザッツ・ア・プレンティ、二人でお茶を、ウルバリン・ブルーズ、ショーは続けなければならない(算太のダンス)、タイガー・ラグ、ローズ・ルーム、薔薇の香りに誘われて、ジャスト・ア・クローサー・ウォーク・ウィズ・ジー、笑顔のままで(杵太郎のダンス)、インディアナ、黒い瞳、進駐軍将校ご婦人達のコーラスによるサイレントナイト、進駐軍将校クラブのジングルベルfeat. 北村英治 & BIG HORNS BEE、進駐軍将校クラブの聖者の行進feat. 北村英治 & BIG HORNS BEE、オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート(定一バージョン)、追憶のサイレントナイト、ビッグさんのカムカム英語 みんな来いジャズ、ホワット・イズ・モダン?(ジョーのテーマ)、ヘイ!レッド・ホット(トミーのテーマ)、カムカムエヴリバディのテーマ feat. 渡辺貞夫 & BIG HORNS BEE、るいのテーマ feat. 渡辺貞夫 & BIG HORNS BEE、ビター・メロン・マン、始まりはいつも愛(ジョーとるい)、リズム・エクスチェンジ(ジョーとトミーのトランペットバトル)、オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート(ピアノ・ソロ)、午前1時のジャイヴ、大阪ブルース、ファンタスティック・トラベル(放蕩息子のテーマ)、ポーズを決めろ!、キュート・リアクション、ペイン・オブ・ロス、カムカムエヴリバディのテーマ(ピアノ・ソロ)

 

連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」
オリジナル・サウンドトラック ジャズ・コレクション THE BEST

【SIJP-1052】アナログ盤 ¥4,950(税込)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
[収録曲]<SIDE A>ホワット・イズ・モダン?(ジョーのテーマ)、ヘイ!レッド・ホット(トミーのテーマ)、るいのテーマfeat. 渡辺貞夫 & BIG HORNS BEE、リズム・エクスチェンジ(ジョーとトミーのトランペットバトル)、カムカムエヴリバディのテーマfeat. 渡辺貞夫 & BIG HORNS BEE、ペイン・オブ・ロス、ビター・メロン・マン <SIDE B>ショーは続けなければならない (算太のダンス) feat. BIG HORNS BEE、二人でお茶をfeat. 北村英治、薔薇の香りに誘われて feat. 外山喜雄 & BIG HORNS BEE、オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリートfeat. 外山喜雄 & BIG HORNS BEE、笑顔のままで (杵太郎のダンス) feat. 外山喜雄 & BIG HORNS BEE、進駐軍将校ご婦人達のコーラスによるサイレントナイト

 
 

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