国内トップ奏者に訊く私のマイルス遍歴
ここからは、本邦ジャズトランペット・シーンの最前線で活躍する人気プレイヤーたちに自身のマイルス体験を語ってもらおう。マイルスについてのアンケートに答えてもらった。
(掲載は五十音順/回答のあった項目のみ掲載)
音楽家マイルス・デイヴィスの最も素晴らしい点は?
演奏家マイルス・デイヴィスが他のプレイヤーと違う最も特徴的な点は?
マイルスのアルバムで最も好きな1枚、または最も好きな1曲は?
マイルス・デイヴィスに聞いてみたい疑問や質問は?
マイルス・デイヴィスにまつわる想い出やエピソードがあれば教えて

原朋直
A1. トランペット奏者としての魅力以上に、バンド全体を俯瞰し音楽を創り上げるリーダーシップが突出している。個々を生かしながら作品へ統合する力。その根底にある自由な姿勢が本質だと思う。
A2. 感情や感覚を核にメロディを生み出している点。理論やシステムから構築するのではなく、感性を直接音にしている。その表現は一見矛盾も含みながら、バンド全体の中で深まり、成立している。
A3. アコースティック期とエレクトリック期から1枚ずつ選びたい。
「ネフェルティティ」はメンバーの楽曲を素材に、偶発性に富んだアンサンブルが展開される点が素晴らしい。マイルスのソロはコード進行を超越しながらも、バンド全体の創造性を保ち続けている。「ビッチェズ・ブリュー」は枠や限界を超えることの意味を示す作品で、常に挑戦する勇気を与えてくれる。
A4. 人生の様々な局面での気付きや発見が変化の要因だったのだと思いますが、その時にどのような葛藤や心の動きがあったのか、個人的に伺ってみたいです。
A5. 大学時代、名古屋で観たコンサートでマイルスのバンドに心の底から感動し、思わず立ち上がって叫んでいた。現在は大学でマイルスの研究の授業を持ち、学生と共に掘り下げる中で今も新たな発見を得ている。

広瀬未来
A1. センスだと思います。
いろんな時代でたくさんのプレイヤーと共演する中で、共演者のエッセンスを吸収し、共演者の能力を引き出したうえで、それをまとめあげ素晴らしい音楽に仕立てあげるセンスは誰にも真似が出来ないと思います。
A2. キャリアとともに変わっていくトランペットスタイルです。
Be-Bopというスタイルを踏まえた上でそれを昇華し、その後自分だけの独自なプレイスタイルを築き上げたマイルス。キャリアの中でこれだけプレイスタイルが違うトランペットプレイヤーは他にはいないと思います。
A3. 難しい質問です。
1枚には決めれないのでたまたま今日聴いていたのでこれをピックアップします。「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Vallentine: Miles Davis in Concert)」
聴くたびに学びを与えてくれるアルバムです。
A4. 特に話をしたいとは思わないのですが(何か怖そうやし)目の前でいろんな時代の彼の演奏を聴いてみたかったです。
A5. マイルスに会ったことないのでまったくないんですが、高校時代の先生でマイルスに顔が似た先生がいました、その先生もめっちゃ怖かったです。あとはCD屋さんの棚でMiles とMikiで隣になることがあってちょっと嬉しいです。

牧原正洋
A1. ジャズの可能性を最大限引き伸ばし常に進化していく姿は素晴らしいです。
トランペットの楽器の魅力を充分に発揮させたトランペッターです。
A2. アドリブSoloにおいて音数多く圧巻させるトランペッターとは違った視点で音の間合いや音楽全体を見てのSoloは違いを感じます。
ヴィブラートをかけないのも他のトランペッターと違いを感じます。
A3. 1964年2月12日の 「マイ・ファニー・ヴァレンタイン(My Funny Vallentine: Miles Davis in Concert)」
トランペットはもちろんですが、バンドの一体感が素晴らしい。
1969年8月19-21日の「ビッチェズ・ブリュー」
このアルバムはすべてにおいて画期的に世界観を感じます。
A4. 普段のウォーミングアップをどのようにしてるか聞いてみたいですね。
A5. 中学生で吹奏楽しか知らない頃にたまたま入ったジャズ喫茶でマイルスを聴いて同じトランペットとは思えないカッコ良さを体感。ハーマンミュートにはやられました……翌日に即楽器店で購入したのは昨日のように覚えてます。

松島啓之
A1. どんな場面でもその音楽、バンドサウンドが良くなることを追求している姿勢。音楽が良くなるためなら音を出さないということもできるところです。
もちろんトランペッターであるのですが、それ以上に生涯を通して音楽家、芸術家だと思います。
A2. 何よりも誰とも似ていない独自の語り口で演奏していること、それがいつも音楽的であることが素晴らしいと思います。そして圧倒的なリズムの素晴らしさ、音やフレーズのスピード感、説得力、存在感。
A3. 「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」
特にこの中に収録されている『バイ・バイ・ブラックバード』が大好きです。
ハーマンミュートの音色、哀愁溢れるsoloの歌い方、何度聞いても心の奥に訴えかけられるものがあります。
A4. 単純にどのようなウオーミングアップ、基礎練をしていたのかお聞きしたいです。これは質問ではありませんが、個人的には生音を聴いてみたかったです。
A5. 自分は一度だけ、「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」で生で観られる機会がありました。
野外でのマイルスの姿は米粒ほどの大きさでしたが、ショーが始まった時のゾクゾク感、マイルスの放つオーラに感動したことを覚えています。

類家心平
A1. マイルスはやはりどんなシチュエーションでもマイルスなのが素晴らしいのではと思います。ビバップでもモードでもエレクトリックでもマイルスはマイルスなのです。
A2. いついかなる時もマイルスだということでしょう。常に自分の声で雄弁に語るプレイは他のどのプレイヤーとも違う大きな特徴ではないでしょうか。
A3. 「セヴン・ステップス・トゥ・ヘヴン」に入っている『Baby Won’t You Please Come Home』です。ただただ感動します。
A4. 今生きていたらどんな音楽をやりたいか。
A5. 最初に買ったCDがMilesのアルバムでした。Milesの歴史を辿りながら同時にJazzの歴史も学んでいったような気がします。永遠にアイドルです。

















