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私がこの楽器を愛する理由

wind-i mini1号 特集

吹奏楽で使用される各楽器の一流プレイヤーたちに、自分が演奏している楽器の魅力を語ってもらいました。すでに楽器を始めている人はMy楽器の良さを再確認! これから楽器を始めたい人は楽器選びのヒントにしてください。

ピッコロ 丸田悠太(東京佼成ウインドオーケストラほか)

まずピッコロという楽器を改めて紹介しましょう。フルートの1オクターブ上の音域が鳴る同族楽器で、基本的な奏法や運指はフルートと同じ。イタリア語で「小さい」という意味の通り、タキシードの内ポケットにも入るカワイイ楽器です。小さくて短いということは非常に高い音が出るのですが、ピッコロの魅力はこの「高音域」。しかも吹奏楽の編成では最高音域担当です。他の楽器が簡単に出せない音域を吹いているというのは、なかなか気持ちが良いものですよ! 小さくてもパワフルな音量が出せるところも魅力の一つですね。トゥッティの中でも、出したい時にはしっかりと存在感を出せます。見かけによらず「小さくても力持ち」な楽器ですね。それともう一つ、高音域でのキュートな音色と高い機動性を活かして、鳥の鳴き声など様々な情景描写や表現がたくさんできるのもピッコロ最大の魅力です♪フルートを小さくしただけではありません。ピッコロは大きな可能性を秘めた楽器ですよ!

 

フルート 槇本吉雄(東京吹奏楽団相談役ほか)

何と言っても美しいメロディを奏でられることでしょう。それから出版されている楽譜をみてもレパートリーの広さです(バロック以前の中世、ルネッサンス時代から現代音楽まで、ジャズでも大活躍できます)。また様々な楽器とコラボレーション、アンサンブルができることも魅力的です。 古くはヨーロッパの貴族、王様、例えばプロイセンのフリードリヒ大王は啓蒙専制君主の政治家として有名ですが、ベルリンから電車で20分くらいのポツダムのサン=スーシ(フランス語で憂いなしと言う意味)宮殿で夜になるとコンサートを行ない自ら作曲もし、フルートを吹いていました。大王の先生は、かのクヴァンツ(フルートの教本を書いている)でした。 何と優雅なことでしょう。宮殿には大王が吹いていたフルートを展示しています。 1800年代に想像でメンツェルと言う画家がこの上記の光景を絵にしていて、私の中学時代の教科書に載っていて感動したのを鮮明に覚えています。 そして時を経て現代ではアマチュア、プロ、老若男女、ソロ、アンサンブル、オーケストラ、吹奏楽など、多岐にわたって活躍し、楽しめる楽器となっています。最近はアルト、バス、コントラバスフルートなどを含めてフルートオーケストラの活動も盛んです。補足ですが、フルートは持ち運びも簡単ですし、何処ででも手軽に練習できます。魅力を挙げたらきりがありません。

 

ファゴット 鹿野智子(シエナ・ウインド・オーケストラほか)

色と形が美しいだけでなく、音色=人の声によく似ていると言われる豊かで響きのあるところ。3オクターブ以上ある広い音域で、太くどっしりとした男性の声のような低音、つややかで伸びのある女性の声のような高音。 表情が豊か=タンギングでの生き生きとした表情やちょっととぼけたようなユーモラスな表情。レガートでのまるで人が歌っているかのような感じ、泣いたり怒ったり堂々としていたり、自分のイメージ次第で様々な表情をすることができる。 音楽の中での役割の多さ=美しいメロディを奏でる時もあれば、木管の最低音で土台となってバランスを作ったり、金管楽器との絶妙なつなぎ役となる時もあるし、低音で全体をしっかり支えてテンポを決めたり音楽の方向性を作ることができる、私はこのようなところに魅力を感じています。

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