クラリネット記事
Close Up Interview

Close Up Interview - セリーヌ・ミイエ

世界最高峰の吹奏楽団との呼び声も高い、フランスの「パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団(以下パリ・ギャルド)」でクラリネット奏者を務めているセリーヌ・ミイエさんが、この度The Clarinetに初めて登場してくれた。彼女は演奏家としてパリ・ギャルドのほかにも現代音楽へ積極的に取り組み、そのかたわらパリ18区地方音楽院で教鞭を執り、さらに各地でマスタークラスを頻繁に開催するなど、精力的な活動をしている。今回は、彼女のパートナーであり、ビュッフェ・クランポンのパリ・ショールームで責任者を務めているバティスト・フラデさんにも急きょご参加いただき、濃密なクラリネット談義をしていただいた。

セリーヌ・ミイエ

Céline Millet

リヨン国立高等音楽院(CNSM de Lyon)でニコラ・バルデイルーのクラスを卒業し、ポール・メイエ、ミシェル・アリニョン、スタンリー・ドラッカーからアドバイスを受ける。2017 年にヴェルビエ祝祭管弦楽団に参加。パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ吹奏楽団の一員であり、フランス国立管弦楽団、フランス国立管弦楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、パリ・オペラ座管弦楽団などで定期的に客演。現代創作に力を注ぎ、ティエリー・エスカシュのオペラ「クロード」からの交響組曲、ジャン=フレデリック・ノイブルジェのピアノ協奏曲、フィリップ・グラスの交響曲第10番など数多くの作品の創作に参加しており、Ensemble Ars Nova(アンサンブル・アルス・ノヴァ)で定期的に公演を行なう。数多くのマスタークラスを開催し、ビュッフェ・クランポンと提携した若い専門家向けのコースプログラムを2023年9月から開講している。

 
右がセリーヌ・ミイエさん、左がバティスト・フラデさん

 


信じられないくらいすばらしい楽団!!

まずはみなさんのプロフィールと音楽歴についてお訊かせください。
セリーヌ・ミイエ
(以下セリーヌ)
クラリネットを始めたのは7歳のころ、ノルマンディー地方にあるルーアン音楽院で、オード・カミュ先生のもとでした。オード先生には19歳か20歳の頃まで習いました。習い始めた頃、子どもだった私はクラリネットのプロフェッショナルが一体どういうものなのかよく分かっていませんでしたが、先生は私に「将来ミシェル・アリニョンのようになりなさい」と伝え、私に音楽の道を示してくれました。そのあとパリで、ブルーノ・マルティネ―ズ先生に習い、その後はリヨン国立高等音楽院でニコラ・バルデイルー先生のもとで学びました。
 
バティスト・フラデ
(以下バティスト)
私は小さい頃、オルレアン(フランス中部に位置する都市)でクラリネットを習っていました。そこである時、自分はクラリネットの練習よりも楽器を分解することに時間を費やしていることに気がつきました。どのようにクラリネットが機能しているのか、メカニズムの部分に興味があり、それで分解をしていたわけなんです。大学を卒業した後、まずは4年間楽器の修理について学び、それからパリ市内の楽器店で11年間修理の仕事をしていました。10人に満たない、小さな楽器店でした。そのころから大きな規模感の中でやってみたいという気持ちがあったのですが、そんな折にビュッフェ・クランポンのショールームで責任者のポストが空いたと聞き、早速履歴書を送ったのです。ビュッフェ・クランポンは、世界的にも一目置かれている存在ですし、チームの中には私もよく知っている方がいましたから。そうして、2017年6月からはパリにあるビュッフェ・クランポンのショールームで、責任者として働いています。ショールームでは色々なことをしますが、基本的に修理が主です。クラリネットを中心に、オーボエ、ファゴット、フルート、サクソフォンなど他の木管楽器もすべて修理します。私は常に、「音楽家が楽器に問題を抱えたとき、僕のところへ来てもらったら、なるべく早く直し、解決する」ということを意識しています。
パリ・ギャルドでの活動はどのようなものでしょうか?
セリーヌ
私はプロの楽団の一員になりたいとずっと思っていて、パリ・ギャルドに入るまで本当にたくさんのオーディションを受けました。その中で、運良くパリ・ギャルドに入ることができたのです。吹奏楽は小さい頃にやっていただけで、私はずっとオーケストラの中で吹いていたのですが、吹奏楽という特有の仕事の中で自分にとってプラスになる多くの発見ができました。予期せず入団した楽団でしたが、そのおかげで吹奏楽の美しさを知ることができたのです。仮にパリ・ギャルドではなく他のオーケストラに入っていたとしても、そこはもうすでに経験している世界の仕事です。しかしパリ・ギャルドに入ったからこそ、吹奏楽特有のクラリネットの働きや、8人のクラリネット奏者で名曲を演奏できる喜びを感じられます。パリ・ギャルドは信じられないくらいすばらしい楽団だと思っています。
セリーヌさんが参加している「アンサンブル アルス・ノヴァ」はどのような活動をしていますか?
セリーヌ
現代音楽を演奏するアンサンブルで、1963年に発足しました。全体でもメンバーは15人くらいで、クラリネットのソリストが団員に一人しかいないため、バスクラリネットが必要なときに私は呼ばれます。
特に印象的だった曲は、ベリオの『LaborintusⅡ』(※)という作品です。毎年パリで開催されている「フェスティバル・マニフェスト」で演奏した曲で、私が初めてこのアンサンブルに参加し演奏した曲でもあります。

※LaborintusⅡ
ルチアーノ・ベリオが1965年に書いた作品。2台のハープを含む管弦打楽器からなる器楽隊、合唱、朗読、電子音などが入り交じる、コンテンポラリースタイルの作品。

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