クラリネット記事
2022年1月5日@会員制サロン「レタス」

大沼博子のリード講習会

小林利彰さんと大沼博子さん、田中正敏先生の対談

リードを手作りしているドイツ在住の大沼博子さんが日本に一時帰国するということで、リードの講習会を開催することになりました。対談や、リードができるまでのお話、リードの調整方法などクラリネットのリードだけに焦点を絞った内容の講習会でした。

ドイツから一時帰国している大沼さんを囲んで、田中正敏先生と、東京交響楽団クラリネット奏者の小林利彰さんとの3人での対談からスタートしました。ドイツでリード作りを学んでいる大沼さん、ウィーンでリード作りを学んだ小林さん。同じクラリネットのリードですが、国や時代によって作り方にそれぞれに違いがあり面白い対談でした。

ブレッター・シュトュンデ!?

まず日本ではクラリネットのリードを自分で作る人はあまりいないですよね?
ドイツなどと日本との違いはブレッター・シュトュンデというリードのレッスンがあること。直訳するとリード・タイムだそうですが、クラリネットのレッスンの他にリードのレッスンの時間があるとは驚きです。大沼さんが学んだドイツのブレッターシュトュンデはみんなで先生のお家に集まり、約12時間黙々とリード作りの作業をするそうです。お昼も忘れて作業に没頭することもしばしば……。一方、小林さんが学んだウィーンのブレッター・シュトュンデもみんなで集まって作業するのは同じなのですが、完成した人から帰っていくそうです。そんなに長い時間かけません! だそうです。
大沼さんのリード作りはほとんどヤスリのみしか使わず、バランスなど見ながら丁寧に作っていきます。小林さんのリード作りはざっくりとできるところまでナイフで削って、最後のほうにヤスリを使うそうです。小林さん言わく、仕上がりは左右の厚みも全然違うガッタガタの状態ですが、材質が良ければ大丈夫みたいです。丁寧と大雑把! 対象的な2人のリード作り。文化の違いなのか時代の違いなのか、また作っている人の性格なのか……リードにも様々な作り方があるのは面白いですね。

リードに蒸留水?

現在、大沼さんが作ったリードを使っている田中さんと小林さん。田中さんはBb-CLのリード、小林さんはBass-CLのリードを使っているそう。その話の中で2人が口を揃えて言ったのは、大沼さんのリードは長持ちする!!
田中さんは1か月に6枚のみ、小林さんは昨年3月にもらったリードをまだ吹いているそうです! Bass-CLなので出番が少ないとは言え、10か月も使っているのはすごいです! 大沼さんのリードは何が他と違うのか、それは蒸留水でアク抜きをすることなのだそうです。蒸留水とはミネラルやカルキなど不純物の入っていないピュアな水のこと。蒸留水につけると葦に含まれる糖分や不純物を出すことができるので、3分つけるだけで水が真っ黄色に!
また、人によって新しいリードを開ける時のこだわりのルールってありますよね? この種類のミネラルウォーターがいいとか、中にはお茶につけるなどなど。最初に蒸留水につけニュートラルな状態にすることで、そのこだわりをさらに生かすことができるそうです。
あともう一個、最初に蒸留水につけることでリードの先端が波打ってしまうのが改善される気がするそうです。今のところなぜなのか根拠はないのですが……。
この作業は市販のリードでもできるそうで、やり方を教えてくれました。
買ってきたリードを3分間蒸留水につける→最低3日〜1週間くらい乾燥させる。乾燥させる環境は、呼吸ができる木の箱に入れて湿度60%〜70%を保つのが理想。湿度が高すぎるとカビが発生するそうなので注意です!先端が波打ってしまうリードは、半乾きの状態でガラス板などにマスキングテープでシワを伸ばすように貼り付けて乾燥させると良いそうです!!

対談だけで約45分!! 内容が濃すぎてここにすべては書ききれなかったのですが、興味深いお話や明日からすぐに試してみよう! と思うことまであって素晴らしい内容でした。毎日吹いているリードのことなので、吹きやすい、吹きにくいだけじゃなくて、なぜ吹きやすいのか、なぜこのリードは吹きにくいのかと毎日のリードの状態に寄り添えるようになりたいですね。

講習会の後半では、大沼さんからリード製作の奥深いところまで伺うことができました!


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