加藤明久のクラリネット何でもQ&A

第21回「人間、志を立てるのに遅すぎるということはない」

趣味はエレクトーン、それもジャズばかり弾いているのですが、「音が好き」という理由でクラリネットを習いたいと思っています。誰に聞いても「その歳ではもう遅い」とか「貧乏主婦にリードは買えない」と言われます。根気はあるんだけど、本当に遅いのでしょうか?

現在は残念ながら閉校してしまったが、かつて私が講師を務めていたNHK文化センターのクラリネット教室に、会社を定年退職した60代の男性が入ってこられた。まったくの初心者であったが、クラリネットを吹くのが長年の夢だったそうで、情熱と努力は人一倍、現在も楽器と親しんでいると聞く。ここの講師を引き受けたとき、若いOLや女子大生で賑わうかも……と、淡い期待を抱いていたが、平日の昼下がりという時間帯もあって、集まったのは主婦や熟年層(熱心な大正生まれの方など)の方々が大半を占めていた。短い期間ではあったが、ここでのレッスンは私にとって大きな収穫だった。
それまでに数多くのクラリネット吹きを教える機会はあったが、まったくの初心者を手ほどきしたことはなかった。初めてクラリネットを手にした人間を指導することほど難しいものはないことを、このとき初めて知った。そして、ズブの素人にかみ砕いて指導することで、今まで気がつかなかった細かい基本、当たり前のことが見えてきたのである。……[続きはこちらから!!]

加藤明久

Akihisa Kato

クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。 1983年、国立音楽大学卒業。その年より制定された矢田部賞を受賞。 第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。 第16回民音室内楽コンクール第1位入賞。 1984年、第1回日本クラリネット・コンクール入賞。 1985年、第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。 1988年、欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネット・コンクール入賞。 1990年、NHK交響楽団に入団。 2019年、NHK交響楽団を退団。 2019年より昭和音楽大学教授、武蔵野音楽大学非常勤講師。

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