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マックス・レーガー クラリネットソナタ全曲演奏会

小谷口直子(クラリネット)、岡崎悦子(ピアノ)

来たる5/29(土)に、京都市交響楽団首席クラリネット奏者の小谷口直子氏と、武蔵野音大元教授のピアニスト岡崎悦子氏によるマックス・レーガーのソナタ全曲演奏会が開催される。
マックス・レーガーのクラリネットソナタ全3曲を一晩で演奏するという企画はかなり珍しい。
そこで、本オンラインでは小谷口氏へメールインタビューを実施した。演奏会前にぜひお読みいただきたい。

マックス・レーガーのクラリネットソナタ全曲演奏会の開催のきっかけは?
小谷口
私の尊敬する師匠、村井祐児先生や山本正治先生や憧れる演奏家の方々がレーガーに取り組まれているのを見上げながら若い頃を過ごしました。大人になってから、磯部周平氏と岡崎悦子先生の第3番のソナタの実演に触れ、あまりに感激して「私もいつかは」と思い、三界秀実先生がレーガーのレクチャーコンサートをされると聞けば札幌に駆けつけたりしながら、自分でも第3番を何度か演奏したりしてここ数年を過ごしていました。そんな折、悦子先生のもとでレーガー全曲を勉強させていただく機会をいただきました。コロナ禍になる少し前のことです。ステイホームで中断した時期もありましたが、レーガーの音楽に支えられ一年を生き延びた記念に、発表の機会をもちたいと思いました。
小谷口さんにとってレーガーという作曲家はどのような作曲家ですか?
小谷口
高い山のような存在であったと思います。そこにあるのは知っていて、なかなか登れない、でも、いつか登ってみたい山。
若い学生のほとんどがそうであるように、私自身もドイツロマン派といえばシューマン、ブラームスあたりを勉強するので精一杯でした。レーガーなんて、とても太刀打ちできなかった。でも、今なら、音にできることが少しはある気がしています。
この演奏会で聴衆に伝えたいことは? またレーガーのクラリネットソナタの魅力を教えてください。
小谷口
一見難解で、口ずさめるようなメロディも少ないですが、時に激情するその合間に、何とも言えない陰影やはかなさ、温もりを感じます。ブラームスの比ではない、膨大な音数を引き受けながらどこまでも精緻なピアノに支えられて、また対話を重ねるように、クラリネットがひとすじ、またひとすじと歌を歌い、紡いでいきます。
私自身は、有り余るテクニックでもって聴衆を驚嘆させられるようなタイプの奏者ではありません。でも、オーケストラの中にいて、たったひとつの音で空気を変えたり、音色の変化だけでものをいうことや、時間の流れの中でどう立ち回るかなどについて考えつづけた20年近くに得たことを、自分なりに表明してみたいと思っています。
共演のピアニスト岡崎さんの魅力は?
小谷口
ひとことではとても言えません。岡崎悦子先生のもとにお邪魔して、音を重ねさせていただくたびに、毎回新しい感激と感動があります。あの巨岩のような、ときに暴風雨のようなレーガーのピアノ譜の、音のひとつひとつが全部クリアに聴こえてきて、かつ、どこまでも雄弁なのです。そうでありながら、たたずまいはとても静かなのです……。天国的に美しい最弱音の場面の素晴らしさも、語るに及びません。
音楽家として、同じ女性として、また、すこし先を歩かれる人生の先輩として、尊敬することばかりで、ひとつも逃すまいと思いながら、おそばで学ばせていただいています。
悦子先生は、留学先のドイツで、レーガーを得意とされる先生のもとで、たくさん弾いてこられたそうです。また、長年、私の尊敬する先生方のパートナーをつとめてこられた方です。悦子先生の中に、先生方の音楽やいろいろを感じたいような気持ちでもいます。
この記事を見てくださる方へのメッセージをお願いします。
小谷口
まず、皆さん、どのようにお過ごしでしょうか。大変なときですが、どうぞご無事でいらしてくださいね。去年の様子からして、今年も、暖かくなれば少しは楽観できる状況になるのではと期待していたのですが、残念ながら外れてしまい、5月29日が果たして音楽会を開催できる日本であるか、今も分からないままこれを書いています。
同じような境遇の方も、もうすでに大切なコンサートの機会が奪われた方もたくさんあると思い、言葉もありません。楽しみにされていた色々が中止になっておうちでガッカリされている方も多くいらっしゃることと思います。心折れそうになることも多いですが、そんな時こそ、同じように深い悩みの中で作曲家が遺した音楽に、真に励まされるようにも思います。今は、何より心と体を健やかに守りましょう。そして、また、安心して肩を寄せ合い音楽を分かち合える日を楽しみに待ちましょう。
 

マックス・レーガー クラリネットソナタ全曲演奏会

小谷口直子(クラリネット)、岡崎悦子(ピアノ)
[日時]5/29(土)18:00(17:30開場)
[会場]銀座 王子ホール(東京)
[出演]小谷口直子(Cl)、岡崎悦子(Pf)
[曲目]マックス・レーガー:クラリネットソナタ 変イ長調 Op. 49-1/クラリネットソナタ 嬰ヘ短調/クラリネットソナタ 変ロ長調 Op. 107
[料金]全席自由 一般¥4,000 学生¥3,000 ※残席僅少
[問合せ]オーパス・ワン  info@opus-one.jp