2018年度 全日本吹奏楽コンクール 

課題曲は クラリネットが 成功のカギ!誰もが羨むクラリネットパートの作り方

課題曲Ⅱ
マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ  一ノ瀬季生 作曲

全体のアドバイス
未知の世界を旅するワクワク感と、常に新しい発見があり人々を飽きさせない。 そんなオンリーワンの『マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ』を表現してみましょう♪

Point 1
4度以上のインターバルを持つ跳躍が、特にメロディラインでしばしば登場します。跳躍前の音をしっかりと響かせて美しい跳躍を聴かせたいですね♪ また跳躍はスラーで繋がれている箇所はなく、奏者に優しい工夫がなされています。その分、跳躍での発音で音が突出しやすいので注意が必要です。

Point 3
Trioを除くとスラーでの奏法は少なく快活なマーチです。フレーズの始点と終点を意識して音楽の流れが短く切れ切れに聞こえないように工夫が必要です。

Point 3
裏拍から始まるタイが多用されています。タイの長さや音の処理の仕方をすべての場面でクリアにしておきましょう。

Point 4
アルトクラリネットはサクソフォン群と同じ動きを持っていますので、サクソフォンパートと一緒に練習する時間を取るようにしましょう。またアルト、テナー、バリトンと様々なパートを行き来しますので、それぞれしっかりと吹き分けたいところです。

  

冒頭

 6小節ですが、この曲中で最も細かい音符の絡みの多い部分となります。動きの異なるパートとの噛み合わせを丁寧に確認しながら練習しましょう。最初の2小節での16分音符は、バスクラリネットの動きのアウフタクトと捉えて音の立ち上がりから推進力を持って吹きましょう♪(楽譜_冒頭)

1〜2小節目の3拍目は、いずれも16分音符の動きしかありません。3拍目が明確となるように該当の16分音符を少し丁寧に演奏すると良いでしょう。またリズムや音価の正確性もさることながら、音楽の流れの中で必要とされている表現を楽譜から汲み取って演奏しましょう。例えば3小節目の8分音符は通常のアクセントで表記されているセクションと山アクセントで表記されているセクションがあります。16分音符のアウフタクトがあるセクションには山アクセント表記となっており、これは前からの流れの終止としてのアクセントとなります。3小節目からのテーマを吹く際は通常アクセントですので、明確に吹き分けましょう! また4小節目の1〜3拍目の5つの音は、音の長さ、強さ、ニュアンス等々、すべての音のキャラクターを明確にしておきましょう♪

(楽譜_冒頭)

課題曲2
課題曲2

 

A

Aからのフレーズは、8分休符を活用してうまく表現できると良いですね♪ また8分休符で音楽のフレーズが止まってしまわないよう意識することも必要です。 7小節目のアウフタクトからは、前からのテーマの流れを受け継ぎつつ、音形や和声進行を意識して演奏しましょう!

B

Bからのアルトクラリネットのフレーズは、様々な移調楽器と同じ動きとなっておりインターバルの乖離が発生しやすいので、よく聴き合って演奏するように心掛けましょう。(楽譜_B1)

(楽譜_B1)

課題曲2
課題曲2

 

B

5小節目4拍目の3連符はスピード感をそろえて! 3連符の前後でフレーズが途切れないように注意してください。またバスクラリネットは和声進行を意識しながら推進力を持って進んでください。(楽譜_B2)

(楽譜_B2)

課題曲2
課題曲2

 

C

アウフタクトからのアルトクラリネットおよびバスクラリネットの旋律はfで全アクセントとなっています。豊かな響きのマルカートで演奏できると良いと思います。E♭クラリネットおよびB♭クラリネットの刻みは、タンギングに頼り過ぎず息の流れと和声進行を確認しながら演奏しましょう♪  5小節目アウフタクトからの旋律では裏拍からのタイが多用されていますが、長すぎて重くなることなく、かといって短かすぎずちょうど良い長さで統一できると良いでしょう。(楽譜_C)

(楽譜_C)

課題曲2
課題曲2

 

D

Dからは全体がfで主題が奏され、ピッコロおよびフルートに主題のエコーが挿入されます。各セクションでバランスを取りつつ音楽的主張を明確に表現できると良いと思います。 8小節目では多くのパートで刻みとなりますが、停滞せずに3拍目の終止に向けて進んでいきましょう! 4拍目は Trioに向けてエネルギーをかけて! Trio冒頭の8分音符は豊かな響きが欲しいですね♪ Trio1小節目2拍目からのハーモニーは極端な弱音にせず倍音豊かな美しいハーモニーを目指しましょう♪ ディミヌエンドは減衰スピードをそろえて!(楽譜_D)

(楽譜_D)

課題曲2
課題曲2

 

E

冒頭はpですが、響きは維持しつつ徐々にクレッシェンド。バスクラリネットはトロンボーンの頭打ちのハーモニーと連動して、クレッシェンド→ディミヌエンドを8小節間で豊かに!(楽譜_E1)

(楽譜_E1)

課題曲2
課題曲2

 

F

アウフタクトからの旋律はカンタービレで、大きなフレーズが途切れることのないように! スラーの切れ目はソフトタンギングで良いと思います。またダイナミクスの変化をしっかりとつけましょう♪ バスクラリネットを含めた低音セクションは St.Basspizz.のニュアンスで!  9小節目からはSt.Bassarco(弓での演奏)に戻るので、長さをそろえましょう。(楽譜_F2)

(楽譜_F2)

課題曲2
課題曲2

 

G

Gからのアルトクラリネットはテナーサクソフォン、ユーフォニアムとともに歌心を持って オブリガードを演奏してほしいですね♪

H

HからのE♭クラリネットは、ピッコロ、フルート、グロッケンとともに煌びやかな響きを添えてほしいところ。

I

Iで冒頭部分の再現ののち、 からは Trioの主題をマルカートで演奏してエンディングに向かいます。fかつマルカートの指示がありますが、各セクションのバランスを考慮して演奏しましょう! アルトクラリネットはトロンボーンなどと共に存在感のある響きが欲しいところ。(楽譜_H)

(楽譜_H)

課題曲2
課題曲2

 

K

KからはE♭クラリネットが高音木管セクションと共に煌びやかなサウンドで演奏したいですね! 細かい音符の粒をクリアに!

L

Lでは曲の終わりに向けて一度クールダウンしましょう♪ E♭クラリネットのフレーズはクリアに! 3小節目からfでラストスパートとなりますが、細かい音符の噛み合わせがシビアに続きます。音階一つひとつの正しいインターバル、16分音符の噛み合わせの正確さを丁寧に追求しながら、すべての音符が万遍なく並んで聞こえるように、2分音符の音の処理などに注意しながらスッキリとした終止を迎えたいですね。

 


Contents
1. 課題曲Ⅰ 古き森の戦記 
2. 課題曲Ⅱ マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ
3. 課題曲Ⅲ 吹奏楽のための「ワルツ」
4. 課題曲Ⅳ コンサート・マーチ「虹色の未来へ」
5. 課題曲Ⅴ エレウシスの祭儀

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