課題曲は クラリネットが 成功のカギ!誰もが羨むクラリネットパートの作り方
課題曲Ⅴ
エレウシスの祭儀 咲間貴裕 作曲
全体のアドバイス
音価の細かさから技巧的な楽曲と捉えがちですが、英文タイトルに「Mysteries」とある通り、神話の世界を楽しみながら演奏しましょう♪ 楽曲前半は神話のドラマティックな描写、後半(G~)は祭儀での舞曲となります。
Point 1
全体に指定テンポはそれほど速くありませんが、その分細かい音価で書かれています。8分音符単位でのカウントを基本に、常に分割して正確な譜割で演奏できるように心掛けましょう。
Point 2
連符はパターン化されており、同じ形の反復が頻出します。1回1回丁寧に言い直して演奏しましょう。ただ指を動かしてマンネリ化した演奏に陥らないような工夫が必要です。
Point 3
演奏時は細かい音価の正確性を意識しながらの演奏となるため、事前にスコアなどでフレーズの噛み合わせや音楽の流れの全体像をつかむようにしておきましょう。
♩=72ca.と指定されていますので、♪=144でカウントを取ってすべての音符を正確な譜割で演奏できるよう心掛けましょう。バスクラリネット、アルトクラリネットの6連符は3連符+3連符に分割して正確に。E♭クラリネットおよびB♭クラリネットのタイの伸ばしについても、8分音符単位でカウントして正しい音価での演奏を心掛けましょう。6連符についての注意点はバスクラリネットおよびアルトクラリネットと同様ですが、6連符の冒頭の音は前の音からタイで繋がっているため、音価に注意! 上手くいかない場合はタイを取って練習してみましょう♪ また合わせて浮揚するようなスラーの滑らかさも欲しいところです。(楽譜_冒頭)
(楽譜_冒頭)
AからE♭クラリネットおよびB♭クラリネットに長めの音価のトリルがありますが、冷静に正確に8分音符カウントで正しい音価での演奏を心掛けましょう。6連符は正確さ中にも滑らかさと推進力が欲しいところですね!
Bからは♩=52ca.となりますが、引き続き8分音符カウントで正確に! 3連符の一部が休符になっているところもありますので、休符の長さを正しくカウントするようにしましょう!
Cからは32分音符(3rdクラリネットは16分音符)が連続して登場します。8分音符カウントでの正確性はもちろん、噛み合わせにも注意して演奏しましょう♪ スタッカートが書かれていますが、発音が過度に硬くならないように注意しましょう。(楽譜_C)
(楽譜_C)
D3小節目からの動きではfpやクレッシェンドによって立体的な遠近感を表現したいところですが、6連符が崩れないように注意が必要です。また楽譜には書かれていませんが、6連符の中での音楽の方向性や重心を意識した推進力のある滑らかさが欲しいですね♪ バスクラリネットおよびアルトクラリネットはホルンの動きと連動して音楽の大きな流れを捉えて演奏しましょう♪accel.などテンポ変化でもリズムが崩れないように。(楽譜_D1)
(楽譜_D1)
Eからのアルトクラリネットおよびバスクラリネットは、旋律もしくはそれに付随した動きとなりますので、サクソフォン群や金管セクションと連動してクリアな表現を! E♭クラリネットおよび3rdクラリネットはスラーのついた32分音符ですので、滑らかさの中にもスピード感が欲しいです。1stクラリネットはスタッカートのついた16分音符で書かれており、スピード感でもアーティキュレーションでも明確な違いを出したいですね!
2ndクラリネットは一つひとつのトリルをクリアに吹き分けましょう。(楽譜_E)
(楽譜_E)
Hのバスクラリネットは、Gからの低音群の動きを受け継ぎつつ、さらに細かくアーティキュレーションをクリアに演奏しましょう♪ ここでの低音群は2パターンに分かれており、重心が一致する部分と16分音符1個分ずれる部分がありますので、噛み合わせに注意しながらクリアに聞かせたいですね!
(楽譜_H)
(楽譜_H)
I
Iからの旋律はアーティキュレーションに注意しながらクリアに聞かせたいところ。低音群との噛み合わせも重要ですが、意識しすぎると音符一つひとつが重くなってしまいリズミカルな中での推進力を失いかねませんので、積極的な表現を心掛けましょう♪
I4小節目、7~8小節目および10小節目に低音群と同じリズムの音型が登場しますが、低音群に書かれているアクセントはありませんので明確に吹き分けましょう。(楽譜_I2)
(楽譜_I2)
Jも同様ですが、バスクラリネットをはじめとする低音群にあるアクセントをクリアに聞かせて欲しいですね♪
5小節目からのディミヌエンドでリズムが崩れないように注意してください。
Kからは噛み合わせに注意しつつ、4小節目からのダイナミクス変化を明確に!
L6小節目から、低音群を中心に6小節間で音楽がMに向かっていきます。音量だけで処理するのではなく、音楽の流れの中でのリズムやアーティキュレーションの切れ味で緊張感を高めていけると良いと思います。(楽譜_L)
(楽譜_L)
Contents
1. 課題曲Ⅰ 古き森の戦記
2. 課題曲Ⅱ マーチ・ワンダフル・ヴォヤージュ
3. 課題曲Ⅲ 吹奏楽のための「ワルツ」
4. 課題曲Ⅳ コンサート・マーチ「虹色の未来へ」
5. 課題曲Ⅴ エレウシスの祭儀