フルート記事
THE FLUTE vol.189 Close Up

16年ぶりに東京、そして地元 北九州でのリサイタルをL.ヴァグシャルと開催

フルーティスト、ピアニスト、そしてレコーディング・プロデューサーといくつもの活動を並行している瀬尾和紀氏が、北九州と東京で久々のリサイタルを開催する。共演のL.ヴァグシャル氏とのアンサンブルも楽しみなコンサートとなるだろう。

ソナタで構成されたプログラミング

16年ぶりにローラン・ヴァクシャルさんとのリサイタルとなります。久しぶりにヴァクシャルさんとリサイタルを開催することになった経緯を教えてください。
瀬尾
この数年、パトリック・ガロワとの企画を取り組んできたというのもあって、最近はピアニストとしての活動が多かったのですが、久しぶりにフルートを吹きたいなと(笑)。あと残された時間で何回リサイタルやれるかなという考えもあったので、やりたいと思ったときにやるべきではないかと。
今回は今までコンサートで演奏していないジョンゲンの作品を演奏したいと思いました。リサイタルも含めてヴァクシャルと最後に一緒に演奏したのは8年前でしたので、そろそろまた一緒に演奏したいなとは思っていたところでしたが、たまたま週末にホールが空いていたりしたこともあって、それならやらない理由もないかと(笑)。
ジョンゲンの『ソナタ』は近代の作品ですか?
瀬尾
1924年に書かれた作品です。ジョンゲンはベルギーのリエージュで生まれ育った作曲家です。この曲は死後に出版され、ヨーロッパでも日本でも滅多に演奏される機会がない曲ですね。印象派的な和声が使われていて、フランス近代の雰囲気をもつ30分ほどの規模の大きい曲です。フルートのオリジナルでこれだけの規模の大きいソナタはありませんよね。
リサイタルの聴き所のポイントの一つですね。他の曲はいかがですか?
瀬尾
フォーレのソナタは第1番が有名なのですが、今回は第2番を演奏します。私は2番のほうが好きなんですが、なかなか演奏する機会がありませんでした。その前に演奏するラヴェルの『ソナタ』は、フォーレへの流れとして選びました。後半はジョンゲンとリヴィエ。リヴィエはフルートの特徴をいかした短めの美しいソナタですね。
こうしてプログラムを見るとフルーティストが一般的に聴きたくなるような曲ではないんですけどね(笑)。
瀬尾さんはいろんな曲を開拓されていますし、新しいレパートリーを発信するのはフルーティストにとっても良いことだと思います。

次のページへ続く
・フルーティスト、ピアニスト、そしてプロデューサーの仕事
・ヴァグシャルとの共演を楽しみたい

 
Profile
瀬尾和紀 Kazunori Seo
1998年、パリ国立高等音楽院を首席で卒業すると同時に、ニールセン、ランパルなど国際コンクールで立て続けに優勝・入賞を果たし、ソリストとして脚光を浴び、日本、ヨーロッパ、北南米、アジアにおいて演奏活動を行なう。国内だけでなく、海外オーケストラからソリストとして招かれ、バロックから現代の協奏曲に至るまで幅広いレパートリーで共演を重ねている。レコーディング活動も精力的に行なっており、NAXOSレーベルでデビューし、11タイトルのCDをリリース。現在は自らレ・メネストレルとヴィルトゥス・クラシックスの2つのCDレーベルを立ち上げ、自身の録音の他、レコーディング・プロデューサーとしても活動していいる。近年はフルーティストとしてのみならず、共演ピアニストとして活動の場を広げている。これまでに京都芸術祭賞、北九州市民文化賞、福岡県文化賞を受賞。

 

Information

【Concert】瀬尾和紀(Fl)&ローラン・ヴァグシャル(Pf) デュオ・リサイタル
[曲目]ラヴェル:ソナタ(遺作)、フォーレ:ソナタ 第2番 ホ短調 作品108、ジョンゲン:ソナタ 作品77、リヴィエ:ソナチネ
[問合せ]Sonaura Production 072−781−8087
sonaura.production@gmail.com
●北九州公演
[日時]10/9(日)14:00開演
[会場]北九州市立響ホール
[料金]全席自由 一般¥4,000 学生¥2,000

●東京公演
[日時]10/10(月・祝)14:00開演
[会場]ヤマハホール
[料金]全席指定¥4,000 学生¥3,000

 

【CD】モダン・タイムズの妙巧 The Spark of Modern Times
【VTS-018】Virtus Classics
[演奏]瀬尾和紀/パトリック・ガロワ(Fl)
[収録曲]カルク=エーレルト:ソナタ・アパッショナータ 嬰ヘ短調 作品140、P.ヒンデミット:8つの小品、E.ドホナーニ:パッサカリア 作品48-2、P.ヒンデミット:カノン風ソナチネ 作品31-3、カルク=エーレルト:カノン風ソナチネ 作品31-3、J.S.バッハ:チャッコーナ(無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番 ニ短調 BWV 1004より)

 

[CLUB MEMBER ACCESS]

この記事の続きはCLUB会員限定です。
メンバーの方はログインしてください。
有料会員になるとすべてお読みいただけます。

1   |   2      次へ>      

フルート奏者カバーストーリー