フルート記事 古希記念コンサート─札幌交響楽団を率いてコンチェルトの夕べを開催
  フルート記事 古希記念コンサート─札幌交響楽団を率いてコンチェルトの夕べを開催
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THE FLUTE vol.201 Close Up

古希記念コンサート─札幌交響楽団を率いてコンチェルトの夕べを開催

ARTIST

今年古希を迎える阿部博光氏。若くして、日本フィルハーモニー交響楽団に入団し、オーケストラで活躍を重ねた後、40歳にして故郷北海道に戻り、後進の指導を行なってきた。そして今年古希記念のコンサートとして、札幌交響楽団をバックにフルート協奏曲の夕べを開催することになった。オールフルートソロのオーケストラコンサートにチャレンジする阿部氏に、コンサートのことを中心に話を訊いた。

希望と喜びを持って共に生きることを目指して!!

古希をお迎えになるとのこと、おめでとうございます。今回のコンサートは広上淳一氏指揮、札幌交響楽団(以下 札響)との共演ですが、今回のコンサートの経緯を教えてください。
阿部
本日はお忙しい中、このような機会をいただきましてありがとうございます。私は24歳で日本フィルハーモニー交響楽団(以下 日フィル)に入団したのですが、当時オーケストラの先輩でアシスタントコンサートマスターをされていた石井啓一郎さんご夫妻が毎年リサイタルを重ねていらっしゃる姿を拝見し、その先輩を目標に29 歳の時に初めてのリサイタルを東京文化会館で開催し、それ以後毎年自分自身の成長のため現在まで継続しております。また、「フルート協奏曲の夕べ」の企画は1993年と2003年の2回開催しておりますが、今回のようなフルオーケストラとの企画は初めてで会場も札幌コンサートホールの大ホールと規模も大きく自分でも大変な企画をしたものだと思っております。
私は40歳で日フィルを退団し北海道教育大学に奉職するため、札幌に住まいを移しましたが、それ以降もライフワークとして北海道と東京で毎年リサイタルを開催しておりました。そしてそれは今でも継続しているのですが、今年は、70歳を迎える年なので、何か大きな節目となる内容のリサイタルを開催したいと考えておりました。
そんな折、2年前から札幌交響楽団のコンサートマスターになられた会田莉凡さんとお会いする機会があったのですが、会田さんは「札響は素晴らしいオーケストラで楽しいです!」「メンバーが素晴らしいので札響はもっと良くなりますね」とエネルギッシュに話されていました。このような会話やオーケストラへの情熱をうかがい、私も日フィル時代に同じような思いでオーケストラに取り組んでいたことを思い出してしまいました。そして、その翌日から札幌交響楽団と一緒に「協奏曲の夕べ」ができないかと夢見たのがきっかけでした。
また札響の友情指揮者である広上淳一さんは35年前に日フィルの定期演奏会でデビューし、その後日フィルの正指揮者として私が退団するまでの6年間共にオーケストラを奏でた同志で、この演奏会のことをお話し、指揮をしていただけないかと恐る恐る電話をしたところ、「阿部ちゃん、わかった!!一緒にやろう」と、二つ返事で即答してくださいました。広上さんからの温かい励ましと声援をいただき、私の古希の誕生日“10月22日”の翌週10月31日にこのコンサートを開催することを決定しました。
コンチェルトの夕べだと最初に序曲などオーケストラだけで演奏することが多いのですが、今回は最初から阿部さんがソリストとして登場します。これはめずらしい形ですね。
阿部
そうですね(笑)。オーケストラだけで序曲をやっていただき、さあ私の出番となってモーツァルトのフルート協奏曲となると、逆にプレッシャーを感じるかなと思ったのです。
 

インタビューは続きます!
・切磋琢磨してきた“同士”との共演
・年齢を経たからこそ実現できること
・北海道に戻るべきだと考えて移住を決意

 

●阿部博光/Hiromitsu ABE
1954年函館生まれ。1976年東京術大学入学。同年、第45回日本音楽コンクールフルート部門入選。
1978年在学中に日本フィルハーモニー交醬楽団に入団、音席フルート発者を務める。1980年東京藝術大学卒業。
1982年文化庁芸術家在外研修員として、スイス・バーゼルに留学。ペーター=ルーカス・グラーフ、レイモン・メラーンの両氏に師事。
1995年17年間在団した日本フィルを退団、北海道教育大学岩見沢校助教授に就任、2001年より教授。
1999年より「阿部博光室内楽シリーズ」2003年より「阿部博光リサイタルシリーズ」を札幌コンサートホールにて開催。
また2003年8月より奥井理ギャラリー(札幌)にて「OKUI MIGAKUギャラリーコンサート」を企画し若手芸術家の支援を目的としたコンサートを開催、既に130回を数えている。
これまでに札幌市民芸術祭大賞、札幌文化奨励賞、北海道文化団体協議会賞、札幌芸術賞を受賞。
故小松昭五、細川順三、三村園子、故小泉剛、故吉田雅夫の各氏に師事。現在、北海道教育大学名誉教授。同大学岩見沢校、札幌大谷大学各非常勤講師。HBCジュニアオーケストラ常任指揮者。札幌フルート協会会長。日本フルート協会常任理事。
後進の指導にあたりながらリサイタル、室内楽を中心に幅広い活動を行ななっている。

 
Information

■阿部博光フルートリサイタルシリーズVol.17
阿部博光フルート協奏曲の夕べ—古希を迎えて—

2024.10/31(木)18:15開場 19:00開演
[会場]札幌コンサートホールKitara(大ホール)
[出演]阿部博光(Fl) 広上淳一(Cond) 札幌交響楽団
[曲目]
ライネッケ:フルートと管弦楽のためのバラード Op.288
モーツァルト:フルート協奏曲 ニ長調 K.314
ニールセン:フルート協奏曲
ライネッケ:フルート協奏曲 ニ長調 Op.283
[料金]S席¥5,000 A¥4,000
[チケット取り扱い]Kitaraチケットセンター 011-520-1234
[問合せ]オフィス・ワン 011-612-8696

 
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