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THE FLUTE vol.185

ハーメルンは笛吹き│最終回

ハーメルン渡邊(渡邊哲夫)
国立音大フルート科卒。金昌国、故高橋安治、石原利矩の各氏に師事。合唱指揮を故H.Jコルロイター、齋藤指揮法を高階正光、オーケストラ指揮を故クルト・レーデル各氏に師事。83年OAGドイツ文化会館にて指揮リサイタルを行なう。フルート協会主催デビューリサイタルに出演。東京ゾリステン「コンチェルトシリーズ」に二度共演。1988年吹奏楽コンクールで足立区立東島根中を僅か6回の指導で金賞を獲得。2000年よりクレール木管五重奏団を主宰。2008年世界初正しいハーモニーを作るメソッド「これが差音だ」を完成。ヤマハ講師。自称蕎麦打ち名人。

合奏の真実を求めて

今から35年も前のこと。フルートアンサンブルの後輩から「足立区の中学校でコンクールでの指導者を探しているので、先輩どうでしょう」と言うので、二つ返事をしました。
吹奏楽部員は29名。一応各パートのバランスは保っているものの、あるパートでは3人中2人が辞める辞めない、あるパートは3人の内2人が初めてという状况でした。音楽の顧問は産休直前で、既にお腹が大きくなっていました。
私が指導に行けるのは土曜日しかなく、5月の連休後から指導をスタートしました。
課題曲・自由曲は決まっていて、私はこの生徒たちにどんな言葉を与えたら良いだろうかと常に頭を働かせていました。
結論からお話ししますと、「ゴールド・金賞」を受賞しました。わずか6回の指導です。生徒たちは立ち上がって大喜びしていました。

その日の演奏順は最後と分かっていたので、次第にそのことを念頭に入れた言葉を発するようになりました。それはどんなことかと言うと、評価を下す審査員は朝から晩まで演奏を聴きながら審査用紙に良いところ良くないところを書き込み、点数を決めます。頭の中は休む間もなく聴き続け書き続けるのです。それが夕方まで続き、疲労の極地です。そんなことを踏まえて生徒たちには、この音に気持ちを込めて良い音を出そうとか、疲れている審査員の頭をこのハーモニーで自覚めさせよう等と、よほど音楽とはかけ離れた要求をしていました。しかしながら、それは実に的を射ていました。

(次のページへ続く)

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