THE FLUTE vol.183　特集［後編］

昭和歌謡を吹いてみよう

2021-09-03

昭和歌謡7曲について、詳しく紹介！　楽曲の内容を味わいながら、ぜひフルートで吹いてみてくださいね。また、曲集「フルートヒットパレード vol.1」（アルソ出版刊）に掲載している5曲については、表紙・巻頭インタビューにも登場した鈴木菜穂子さんが演奏アドバイスします。

木綿のハンカチーフ（1975年）
太田裕美歌　　松本隆作詞／筒美京平作曲

都会に出て変わっていく彼と、田舎に残った彼女との切ないやり取りを描いた曲。1970年代に太田裕美が歌って大ヒットを記録したが、最近もロックバンド・エレファントカシマシの宮本浩次や、俳優の橋本愛がカバーして話題となった。松本隆・筒美京平という昭和歌謡曲のゴールデンコンビによる楽曲だけに、物語の情景や登場人物の表情まで頭に浮かんでくるような、心に残る“元祖Jポップ”。
　2021年のインタビューで、松本隆は「京平さんがすごいのは、歌い出しの♪恋人よ　ぼくは旅立つ……の最後の『つ』の音階を上げるところ。普通の作曲家はそこまで飛躍しない。天才だと思う」「この詞に明るい曲をつくるのもすごい才能。普通ならもっとしっとりした曲にするはずだから」と、筒美京平（2020年没）の偉業を語っている。

異邦人（1979年）
久保田早紀歌・作詞・作曲

久保田早紀のデビュー曲。当初『白い朝』というタイトルで、シルクロードをテーマにした大手家電メーカーのＣМ曲となった。「子どもたちが空に向かって両手を広げる」という冒頭の歌詞は、メロディと相まって中央アジアを思わせるが、実は久保田が地元の八王子に帰る中央線から見た風景だった。1979年10月にリリースされると、12月からTVの人気歌番組「ザ・ベストテン」で3週連続1位となり、翌年にかけて140万枚を超える大ヒットとなった。
　久保田は6枚のアルバムを発表後、TVの世界で活躍するシンガーを引退、現在は音楽宣教師として活動している。しかし『異邦人』のエキゾチックなイントロから始まるメロディは、令和となった今も、時代を超えて人々の心に刻まれている。

カラオケ伴奏CD付楽譜
フルートヒットパレード vol.1（改訂新版）
定価：2,640円（税込）　アルソ出版刊

(クリックするとカラオケ伴奏音源の試聴ができます)

現在でも多くのアーティストにカバーされている昭和歌謡曲。比較的簡単でありながらも耳に残るメロディは、ついつい口ずさみたくなる魅力に溢れています。そんな歌謡曲の名曲からフルートで演奏してみたくなる曲を選びました。
　これはという楽曲は残しつつも、新たに曲を入れ替えてFL SoloとFL&Pianoの編成とし、全曲カラオケ対応の改訂新版となって再登場です。オリジナルに近づけた臨場感あふれるカラオケや、アレンジされたピアノ伴奏カラオケを使えば、日々の練習やレッスンも楽しくなるはず。もちろん演奏会や訪問演奏で披露しても喜ばれることでしょう。＊「Flute Solo」の楽曲は、メロディ譜のみの掲載です。

【収録曲目】
ピンク・レディー│1977　渚のシンドバッド　
渡辺真知子│1978　かもめが翔んだ日　
ゴダイゴ│1979　ビューティフル・ネーム　
もんた＆ブラザーズ│1980　ダンシング・オールナイト
テレサ・テン│1984　つぐない　編成：Flute Solo
高橋真梨子│1984　桃色吐息
五輪真弓│1980　恋人よ　　
（以上、編成：Flute Solo）
海援隊│1979　贈る言葉
長渕剛│1980　乾杯　編成：Flute & Piano
和田アキ子│1972　あの鐘を鳴らすのはあなた
山口百恵│1977　秋桜
美空ひばり│1989　川の流れのように
尾崎紀世彦│1971　また逢う日まで
徳永英明│1987　輝きながら…
寺尾聰│1981　ルビーの指環　　　
（以上、編成：Flute & Piano）

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