THE FLUTE 140号 Special Contents

エンタメミュージック〜オペラ編〜

エンターテインメントと切り離せないもの──それは音楽です。
音楽そのものもエンターテインメントですが、映画、アニメなど映像が伴うものはもちろん、演劇、ゲームなど必ず音楽がセットと言ってもいいでしょう。
そこで今号からの3号連続企画として、エンターテインメントの中でも音楽の影響が強い「オペラ」「映画」「ミュージカル」をピックアップしてその魅力に迫ります。
第1弾である今回は「オペラ」。プッチーニやヴェルディの華麗なイタリアオペラ、ワーグナーやR.シュトラウスの重厚なドイツオペラなど、魅力的な作品が多く、卓越した歌のソリストたちとオーケストラの共演は、観ても聴いても楽しめるエンターテインメントです。
中でもアリアや序曲は単独で演奏されるぐらい人気のある作品も多く、モーツァルトの『魔笛』などはフルート二重奏や四重奏にアレンジされているので、演奏したことのある人も多いのではないでしょうか?

すでにオペラが好きな人はもちろん、これまであまりオペラを観たことがない人も、オペラの扉を開けてみませんか?

もっと味わいたいあなたに…オペラ豆知識 歴史でひもとくオペラの基礎解説

もっと味わいたいあなたに…  オペラ豆知識 ー歴史でひもとくオペラの基礎解説ー

オペラの中に登場するリリカルで美しいメロディは、フルート愛好家にとっても一度は演奏してみたいレパートリーですよね。でも、オペラそのものについては、案外よく知らない……敷居が高くて入りづらい……などといった声をよく耳にします。
そこで、オペラの歴史をやさしくひもときながら、読むだけでオペラがスーッと理解できる豆知識をお送りします。17世紀に生まれ、今なお世界中で愛されるオペラ。現代までの流れを追いながら、楽しく学んでいきましょう。

オーケストラピットにおじゃまします!

オーケストラピットにおじゃまします!

日本で最も歴史あるオーケストラ、東京フィルハーモニー交響楽団。シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラという両方の顔を併せ持つこの楽団は、オペラ公演の殿堂・新国立劇場のレギュラーオーケストラとして、オペラ演奏を手がけていることで知られています。
フル編成120人の演奏ができる広さを持つ新国立劇場のオーケストラピットでは、日々どんなふうに演奏活動が行なわれているのでしょうか。また、舞台上の出演者と一緒に作品を作り上げていくオペラとは、演奏者にとってどんな世界なのか……東京フィルハーモニーで活躍中の二人の奏者が、オペラに関するさまざまな疑問に対談形式で答えてくれました。

吉岡アカリ│ 1981年京都市立堀川高校音楽科を経て東京芸術大学入学。在学中より内外の演奏会に数多く出演し、安宅賞を受賞。1983年フランス・ニース音楽アカデミーにてディプロム取得。1985年東京芸術大学卒業。読売新人演奏会出演。同年、東京フィルハーモニー交響楽団に入団し、首席奏者として現在に至る。1993年文化庁在外研修員としてドイツ・ベルリンに留学し、ベルリン・フィルのA・ブラウ氏の下でフルートを、またベルリン・ドイツオペラでも研鑽を積む。オーケストラ奏者としての演奏のほか、ソリストとしても東京フィルハーモニー交響楽団や兵庫芸術劇場オーケストラと共演するほか、各地の音楽祭やアジアフィルハーモニーでも活躍。フルートを伊藤公一、川瀬瑩公、金昌国、ハンス・ペーター=シュミッツ、エリック・キルショフ、ヴォルフガング・リッターの各氏に、室内楽を山本正治氏に師事。武蔵野音楽大学、洗足学園音楽大学講師。

加瀬孝宏│ 国立音楽大学を卒業後、渡欧。ジュネーヴ音楽院高等課程修了。1999年に帰国と同時に大阪フィルハーモニー交響楽団の第1オーボエ奏者に就任。2006年に東京フィルハーモニー交響楽団に首席奏者として移籍。2000年「第6回国際オーボエコンクール・東京」入賞。2002年「第27回トゥーロン国際管楽器コンクール」ヴァロワ・ド・パリ特別賞受賞。2002年「第19回日本管打楽器コンクール」第1位。これまでにオーボエを似鳥健彦、故丸山盛三、モーリス・ブルグ、ローラン・ペルヌーの各氏に師事。なにわ《オーケストラル》ウィンズオーボエ奏者。木管三重奏団「トリオ・レスペランス」メンバー。洗足学園音楽大学講師。

対談後、吉岡さんと加瀬さんに、新国立劇場のオペラ劇場「オペラパレス」のオーケストラピットを案内していただきました。貴重な“オペラの舞台裏”を、ちらっとお見せしましょう。
普段、関係者以外は入ることができないピット内は、聞いていた通りのコンパクト設計。ゲネプロが始まる直前とあり、乗り番の奏者の方々が集まってあちこちで練習が始まっている模様です。この日はゲネプロのみなので、楽団員の皆さんは私服でした。ピット専用譜面台は、見た目以上にずっしり。片手では動かせませんでした(汗)。また、オーケストラピットの入り口には、出演者や指揮者のサインがずらり。オーボエは縦のスペースが少ないとキビしい……と加瀬さん。フルートは逆に、横のスペースが少ないとキビしい!

オーケストラピットにおじゃまします!
田中桂子 カイロで過ごすオペラな一日

田中桂子 カイロで過ごすオペラな一日

日本から遠く離れた地、エジプト・カイロ。カイロにすばらしい歌劇場と歌劇場管弦楽団があるのはご存じでしょうか。ここで頑張っている日本人フルーティストがいます。カイロ歌劇場管弦楽団で首席フルート奏者を務めている田中桂子さん。
日本と違って、生活に戸惑うことも多いこの地で、オペラを演奏する田中さんの一日とは?

田中桂子│ 9歳よりフルートを始める。船橋市立海神小学校のオーケストラクラブが始まり。桐朋学園大学短期大学部卒業。2000年ケンウッド・プロムナードコンサート、2001年第14回市川新人演奏会、船橋市役所ロビーコンサート出演。2002年みんなのオペラ「魔笛」に出演。2006年カナダ(モントリオール・ケベックシティ)にて演奏。2008年オーストリア・ハンガリー・フランスにて演奏。2012年4月、デュオ・SAKURAとしてCD「四季こそうるはし」をリリース。2012年12月、エジプト国立カイロ歌劇場管弦楽団首席フルート奏者に就任。これまでに植村泰一、丸山正昭、野口龍、阿南文子、金子博陽の各氏に師事。
WEB|http://www.tanakakeiko.com http://duo-sakura.com

白尾絵里 オペラの魅力

白尾絵里 オペラの魅力

自他ともに認める筋金入りのオペラ好き、ピアニストの白尾絵里さんが「オペラの魅力」を存分に語ります! 絵里さんのお父さんは、新日本フィルハーモニー交響楽団の首席フルート奏者である白尾彰氏、叔父さんもフルート奏者の白尾隆氏。お父さんがスイスでオペラのフルート奏者を務めていたという幼少期。そこから育まれた“オペラ魂”を持つ絵里さんが語る、オペラの醍醐味とは?
さらに紙面では、白尾さんが選りすぐった『名作オペラのCD&DVD』を白尾さんのオススメポイントと共にご紹介します。どれも一見・一聴の価値あり!

白尾絵里│7歳よりピアノを始める。東京都立芸術高等学校音楽科を卒業。こまば会奨励賞受賞。桐朋学園大学音楽学部へ入学、同大学卒業。これまでにピアノを渡辺康子、阿部佳子、植田克己、竹内啓子、上原興隆の各氏に、ピアノ伴奏法を白石隆生氏に、チェンバロを森岡奈留子氏に師事。オーディション、コンクール、リサイタルまたサマーキャンプ等でも伴奏を務める。
2005年4月より2014年まで桐朋学園大学で嘱託伴奏員を務め、現在も桐朋オーケストラアカデミーでの伴奏を務める。2014年より、桐朋学園芸術短期大学嘱託演奏員として所属。現在、伴奏、室内楽の分野で活動している。

阿部麻耶 吹いてみたいオペラの名曲『第3幕への間奏曲 Intermezzo〜ビゼー「カルメン組曲」より〜

阿部麻耶 吹いてみたいオペラの名曲『第3幕への間奏曲 Intermezzo〜ビゼー「カルメン組曲」より〜』

今回のオペラ特集いかがでしたか? オペラのアリアや間奏曲は名曲が多いため、器楽でも単独で演奏されることが多く、CMやドラマでも取り上げられています。そこで特集の最後に、ビゼーの名曲『カルメン組曲』より「第3幕への間奏曲」にチャレンジしてみましょう。解説はフルートアンサンブルFIOREなどで活躍している阿部麻耶さんです。
今回はアンサンブルでも楽しめるように、2本のフルートとピアノのためにアレンジした楽譜を使います。

阿部麻耶│武蔵野音楽大学器楽科を経て、東京ミュージック&メディアアーツ尚美ディプロマコース修了。第2回仙台フルートコンクール入選。第16回日本クラシックコンクール第3位(最高位)、第14回フルートコンベンションコンクールアンサンブル部門にて第1位(金賞)を受賞。第15回フルートコンベンションコンクールピッコロ部門入選、第16回同コンクールピッコロ部門第3位。2007年霧島国際音楽祭にてT.ハッチンスのマスタークラス受講し、同氏とオーケストラで共演。2012年ソロリサイタルを開催。現在室内楽、オーケストラを中心に活動し、後進の指導にもあたっている。フルートアンサンブルFIORE、ル・ポールのメンバー。2011年FIOREの1stアルバム「La memoria del FIORE」をリリース。早稲田大学高等学院非常勤講師。故渡辺国安、土方逸郎、高久進、野口龍、清水信貴、マスタークラスにてT.ハッチンス、M.ファウスト各氏に師事。

 

見モノ、聴きモノ!劇場に行こう2015年オペラ公演

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フルート奏者カバーストーリー