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第3回 |「View of Silence」「Asian Dream Song」

kokoro-Neがお届けする〜フルートで彩る フィギュアスケートの世界〜

​皆さま、こんにちは! 2本のフルートとピアノのトリオ『kokoro-Ne(ココロネ)』です。今回は、当時の世界最高得点を叩き出した羽生結弦選手の2016-17 FS《Hope & Legacy》から「View of Silence」「Asian Dream Song」を取り上げます。

kokoro-Neメンバー×好きな羽生結弦選手のプログラム

門井のぞみ
【担当】フルート、ピッコロ
【好きなスケーター】高橋大輔、鈴木明子
【好きな羽生結弦のプログラム】2015-16,17-18FS「SEIMEI」
私自身、「和」の音が好きなのもあるのですが、特に冒頭は魅了されました。あそこまで音と演技がぴったり吸い付くとひとつの映画でも見ているような気持ちになりますね。素晴らしいです。あの衣装も好き!

 

大和田真由
【担当】​フルート、アルトフルート、作編曲
【好きなスケーター】​ジェイソン・ブラウン、パパダキス&シゼロン
【好きな羽生結弦のプログラム】​2016-17 FS 「Hope & Legacy」
久石さんが好きなのも大きな要因だけど、振り付け・演技ともに名作だと思います。ぜひ本編をお読みください!

 

田仲なつき
【担当】ピアノ
【好きなスケーター​】浅田真央、高橋大輔
【好きな羽生結弦のプログラム】2014-16,17-18FS​「ショパン: バラード第1番 ト短調 Op.23」 やはりピアニストとしてはこのプログラムは外せない! 羽生結弦選手がこの曲で滑ると発表があってから、ピアニスト陣は リクエストが増えるので早々に練習に取り掛かったものです。音が出て数秒間、スッと立っている姿は神々しさが感じられてとても惹きつけられました。

 

《Hope & Legacy》 

久石譲作曲「View of Silence」「Asian Dream Song」の2曲を、久石氏本人に特別の許可を得て編集して使用しています。 

「View of Silence」 
久石さんらしい独特のコードをピアノが分散和音で奏でるイントロ。情熱を秘めたような3拍子のメロディとともに展開されていく、壮大な1曲です。 

「Asian Dream Song」 
東洋らしいメロディと巧みに重なったロングトーンで構成される、ハーモニーが美しい小ピアノ協奏曲のような作品。この曲に歌詞をつけてサビのメロディを加えた歌が、1998年の長野パラリンピックのテーマソングとなりました。作曲した際のテーマが「Hope(希望) & Legacy(遺産)」だったそうです。

 

久石作品について3人の思い入れ

のぞみ(以下:の)​「やっぱジブリいいよねぇ。どの映画もそれぞれに空飛んでる感じが浮かぶの。たまらないね。好きなのラピュタ?ナウシカ?」 
まゆ(以下:ま)​「金曜ロードショー、何回やってても毎回見ちゃうよねー。CM中にバタバタお皿拭いたりなんかしちゃって」 
なつき(以下:な)​「kokoro-Neで実はかなりジブリもの演奏してるけど、お茶のCMの『Oriental Wind』もいい曲だよね」 
:​「プログラムに入れると、どの世代からも支持率高いね」 
:「ジブリじゃない曲も何となく聴いた瞬間に久石さんてわかるんだよね。引力の強いメロディと独特の和声(勝手に久石コードって呼んでるけど)やリズム、ちょっと変わったフレーズも入っていたり、一発で情景が浮かぶような」 
:​「8月に新日本フィルとのコンサートツアーを聴きに行ってね、NHKスペシャルの深海で使われてた『Deep Ocean』とかもすごくかっこよかったし、『魔女の宅急便』の『旅立ち』はコンマスの豊嶋さんに泣いた(笑)。​」
:​「YouTubeにアップされている、久石譲さんが弾いているピアノも、味があっていいよねー!味あん……アジアン……」 
「……」
:「ラピュタのオープニング好きだなぁ。あのピアノが空からシータを降らせるんだよ」 
:​「パズー、そこで何してやがる!めしはどうした?」 
:「親方!そ、空から女の子が!​」 (……以下収拾がつかなくなったのでフェードアウト)

羽生結弦《Hope & Legacy》をkokoro-Ne的に解説 

競技用の音源は、2曲合計12分の原曲を4分半(2018年ルール改正前のFS)までカットするため、12のパーツを編集して構成されています。大雑把に言うと「Asian Dream Song」が「View of Silence」で挟まれたかたちです。編集の詳細は「なんでkokoro-Neは『Hope & Legacy』と同じ編集で演奏できなかったのか」をテーマに4回に分けて大和田個人blogに書いてあるので、今回はちょっと違った視点も加えつつお話していきます。(ご興味お持ちの方はblogもご覧ください)

1.「羽生結弦「Hope & Legacy」の音源編集①」
     https://ameblo.jp/mayuoowada/entry-12449280780.html
2. 「羽生結弦「Hope & Legacy」の音源編集②」
     https://ameblo.jp/mayuoowada/entry-12449281625.html
3.「羽生結弦「Hope & Legacy」の音源編集③」
     https://ameblo.jp/mayuoowada/entry-12449298969.html
4.「羽生結弦「Hope & Legacy」の音源編集④」
​     https://ameblo.jp/mayuoowada/entry-12449316182.html 

演技冒頭。Cm add9/Dというなんとも久石さん独特の美しいコードでの分散和音で始まります。和音の変化とともに徐々に弦楽器のロングトーンも加わり、静かな緊迫感でいっぱいです。「これから何を魅せてくれるのか?!」と期待してしまいます。

■楽譜1(スクロールしてご覧ください。)

楽譜1

この間、2本の4回転ジャンプが入るのですが、それらが音楽に溶け込んでいるのがとても魅力的です。羽生選手のジャンプは3アクセル含め、飛距離と高さ以上に、とにかく「きれいだなぁ」という印象です。以前、国別対抗のEXでソチオリンピックのSP「パリの散歩道」を生で見ましたが、「本当に4回、回った?(←いい意味で!)」ていうくらいフワッと軽やかなんです。平昌のSPショパン:バラード第1番 ト短調 Op.23 のようなピアノだけのしっとりとした場面でも、曲をぶち壊さず入れられる美しい4回転、素晴らしいです。スピン(このビールマンもきれい!)の間に曲が繋がれて、中盤は主に『Asian Dream Song』が使用されています。羽生選手というとジャンプのイメージですが、音ハメ(音と振り付けがピッタリ合ってる)も見どころだと思います。 

 

■楽譜2 (スクロールしてご覧ください。)

楽譜2

曲が変わって出てくるAメロ。ただひたすら音に合わせていくのではなく、フレーズの特徴まで表現されています。振付師のシェイ=リーン・ボーンさんも素晴らしい!

8分音符に合わせてきます(動画貼れないのが悔しい……どこかで探してここの部分だけでも見て欲しい(笑)!)この後もしばらくステップシークエンスが続きますが、音ハメだけでなく、この間のいろいろなターンを組み合わせながら描いていく線も美しく「氷上に図形(フィギュア)を描く」って、こういうことか!と思わせてくれます。 
Bメロに入るタイミングで、ステップの一部のように軽やかな3回転フリップ。振り付けもピアノの6連符の動きに合わせるように力強くなっていき、サビでは4サルコウ+3トウループ。曲調に演技構成も合っています。 

演技終盤は「View of Silence」に戻ります。 

■楽譜3 

楽譜3

■楽譜4 

楽譜4

難しい体勢でエッジを深く使ったり、細かくステップを踏みながらも曲調に合わせた、独創的なハイドロやイナバウアーが続きます。こういった要素を、演技終盤でもスピードを落とさずに見せるのが魅力。 


終盤のこういった躍動感溢れるリズムもしっかり表現されています。 

 

■楽譜5 

楽譜5

今シーズンは、怪我なくいい演技が見られるのを楽しみにしてます。

この2曲にまつわる思い出

:「好きだから頑張れたけど、今までのアレンジの中でも、苦労した曲たちだなぁ」
:「そうだよね。あの壮大な曲を3人で演奏するんだもんね​」
:「構成にも結構時間かけたよね」
:「ごめんと思いながら、ピアノにだいぶ重量のしかかった」
:「最初に譜面もらった時の衝撃は今でも忘れないわ。笑『指足りない〜!』ってなったもん。(※だんだん精査されて、販売されているのは指足ります)」 
:「まゆ、ドSよね」
:「でも結果的に良かったでしょ? 2曲とも素晴らしいから、是非カットなしで聴いて&演奏して欲しい!」
:「まあね〜。これぞ、アンサンブルの醍醐味って言える1曲になったね……(笑)」
:「超ド級のスパルタドSだわ!!」 

フルートの楽譜

 

フルートとアルトフルート(または2本のフルート)とピアノの為の「ビュー・オブ・サイレンス」 / ​久石譲 View of Silence for Flute, Alto Flute(or 2Flutes) and Piano / Joe Hisaishi 2,500円(税別) 

2本のフルートとピアノの為の「アジアン・ドリーム・ソング」/久石譲 Asian Dream Song for 2Flutes and Piano 2,600円(税別)

kokoro-Neの楽譜・CDは「kokoroneshop」でお求め頂けます。

 

参考動画
「View of Silence」

 

 「Asian Dream Song」

演奏のポイント

● 1st FLUTE
スケールの大きな曲なので、フレーズの歌い方とピッチですかね。ヴィブラートをかけすぎてしまうと演歌になってしまうので、気をつけましょう。高音でf(フォルテ)のFは右手の薬指を一緒に押さえて音程をコントロールするといいと思います。それから、1stがのびのびと歌っている中で、ピアノが細かく動いている箇所があるので、よく聴いてタイミングを合わせましょう。​(のぞみ)

● 2nd FLUTE 
テンポキープが大事です!特にAsian Dream Songは曲の展開が多いので、それぞれの部分のテンポを体の中 にしっかり刻み込むと、心地よい演奏になると思います。テンポピアノがメロの時のロングトーンの音色、ピッチ。ピアノに聴き惚れて入り忘れないように気を付けてください(笑)。​(まゆ)

● Piano
とにかく気合い。メロディを歌い込もうとすると逆効果。フルートがメロディを取っている時のピアノ伴奏は、よく練習してくださいとしか言えません(笑)。細かい音符は鳴らしすぎず、風のように。ハマってくると、とてもやり甲斐のある1曲です!(なつき)

次回予告

さて【フルートで彩るフィギュアスケートの世界】第3回、お楽しみいただけましたでしょうか?
次回の12月号はピアソラの「ブエノスアイレスの冬」についてご紹介する予定です。それではまたお会いしましょう!

 

Profile

kokoro-Ne (ココロネ)
門井のぞみ・大和田真由・田仲なつきによる、2本のフルートとピアノのトリオ。クラシックで培った確かな技術と表現力を基に、色彩豊かなアレンジやハイレベルな演奏で好評を博している。2007年結成当初より、ジャンルを超えたレパートリーに挑みながらも、リズムセクションや打ち込みなどを敢えて加えず室内楽トリオの可能性を追求し続けている。TPOに合わせた演奏を得意とする一方、CD・楽譜・オリジナル作品の発表にも力を入れており、オーディエンスはもとより多くのプレイヤーからも支持を得ている。
主な作品
・2009年 1st Album 「kokoro-Ne/ココロネ」
・2013年「コンサートで使えるフルートデュエット曲集kokoro-Ne編」(ドレミ楽譜出版社)初版以降も増刷を重ね、ロングセラーとなる
・2016年 2nd Album 「Microcosmos」同収録のオリジナル曲「ミクロコスモス」楽譜出版
・2017年 楽譜出版「kokoro-Ne Library」を立ち上げ、これまでに10作品を超える楽譜を発表。続々と新作発 表を控えている。
kokoro-Ne公式HP https://www.kokoro-ne.net/

カバーストーリー
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