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第16回 | 「エデンの東」

kokoro-Neがお届けする〜フルートで彩る フィギュアスケートの世界〜

こんにちは!熱戦が繰り広げられていたグランプリシリーズもファイナルが中止となってしまい、ちょっと寂しい11月末でしたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
オリンピックイヤーということもあり、男女シングル、ペアともに勝負プログラムがたくさん生まれています。特にアイスダンス! 日本はチームココと、かなだい組で話題になっていますが、バックナンバーでご紹介したパパシゼ組、シニカツ組はじめ、海外ペアのレベルが高くて激アツです。まだ国際大会の開催には不安要素が付き纏いますが、選手たちが悔いなく過ごせることを願うばかりです。

そんな今回は、ソチシーズンで披露された、町田樹さんの『エデンの東』を取り上げます。まっちー史上最高傑作どころか、フィギュアスケートの歴史に残るような名プログラムだと思います。だいぶ暑苦しい感じに書き上がっていますが、是非最後までお付き合いください。

町田樹×「エデンの東」 2013-14 SP

この『エデンの東』は、ジェームス・ディーンの映画版ではなく、ジョン・スタインベックの小説「エデンの東」が元になっているそうです。構想1年、振付はフィリップ・ミルズさん。ソチオリンピックの際には作品のテーマとなっている「ティムシェル=運命は自分で切り開く」も話題になりました。ジャンプなどの要素も素晴らしいのですが、それらが突出してしまわず(←いい意味で)プログラムに馴染む表現力がたまらないです!

演技冒頭から滑らかなターンの連続で惹き込まれます。指先から爪先まで行き届いて上半身を大きく使った音楽の表現、フリーレッグの美しさ……

スピードに乗って、ジャンプへの期待も高まった頃に、曲の編集点があります。原曲は冒頭からサビが2回続いて、その2回目をカットしているのですが、1回目のフルートのメロディの終りと、2回目の終りのストリングスで厚みを増したメロディを被せて、さもそういうアレンジかのように丁寧に繋いでいるのが個人的に萌えポイントです。

※ごめんなさい、今回は著作権の問題で譜例が出せません……。
が!
よろしければ発売ホヤホヤのkokoro-Neの楽譜をご覧になりながら演技を振り返ってみてください。
原曲に近いアレンジなのでわかりやすいと思います!(後ほどご紹介)

神編集に萌えているところに4トゥループ+3トゥループ……こういうことされると軽く取り乱します。

長閑で穏やかな雰囲気をまとったBメロに入ると、情感溢れる美しいターンの数々、そして2回目のサビの1小節目で3アクセルが入るのですが、ここも個人的に萌えポイントです。2回目のサビの始まりは、本来のメロディが裏に隠れて美しいオブリガードが前面に出ています。サビを待っていたところで“お預け”をされたような感じになります。その1小節目で

1拍目:後向きに助走
2拍目:前向き
3拍目:左足アウトサイドのエッジに乗る
3裏:踏み切ってジャンプ!
4拍目:素晴らしい滞空
4裏:着氷

一連がきれいにハマっていて、より深いところで音楽と一体になっているのがたまらないです。サビが8小節あるうちの6小節くらいから本来のメロが戻ってきて「聴きたかったフレーズ待ってましたー」となります。この間にスピンが2つ。

2回目のBメロの最後は、3回目のサビに入るべく1回目のBメロより1小節多くロングトーンが挿入されます。コード進行も1つ上の和音が加えられ、全音上のH-Durに転調します。このエネルギーが溜めに溜め込まれた大サビ直前で3ルッツ! 美ルッツと言えばまっちー!という方も少なくないのでは……。見ていて「捻挫しないかな(・・;)」と心配になるくらいはっきりとアウトサイドで踏み切るまっちーのルッツは、教科書やお手本と言われています。インサイドエッジで踏み切る「“フリップ”と見分けがつきにくい」という人でも、まっちーのルッツなら違いがわかります! 年を追うごとに高さも出てきて……SP最後の3本目でこのジャンプが見られると惚れ惚れします♡

美ルッツが決まって大サビへ突入します。2回目のサビでお預けされた挙句に、転調して迎えた大サビ。盛り上がりがハンパない中でのまっちーワールド全開のステップは圧巻です!
特に「ファ♯ーミ レ♯ド♯シファ♯」とフレーズの頂点から降りてくる8分音符に音ハメされた連続ターン(←すごい体が捻れて難しそうな組み合わせ)が大好きです。

単にメロディを濃厚に歌い上げるだけでなく、ジャンプ前の助走でも、♩=68くらいのスローテンポのゆったり安定したグルーヴが絶えず感じられて、音楽の表現が途切れずに聴こえるんです。そういう所が観る人を離さない演技に繋がる気がしています。コンパルソリーを練習に取り入れて磨き上げたエッジワークと表現力が融合した、まさに芸術作品です!

町田樹さんのプログラムはこれまでにもバックナンバーで簡単にご紹介していています。

第1回「ヴァイオリンと管弦楽のためのファンタジー

第9回「ロシュフォールの恋人たち

他にも、2013-14ソチシーズンのFS『火の鳥』も名作ですし、翌年、シーズン途中で引退となった2014年FS「第九」はボーカル音源解禁を上手く利用した音源編集で、きっとシーズン通して熟成しただろうプログラムだったと思います。クイーンの『Don’t Stop Me Now』も表現の幅を感じられるプログラムで見応えがありました。競技引退後にプロスケーターとして自身で振り付けを行なった『ボレロ』『あなたに逢いたくて』なども流石のストーリー性が感じられてとても素敵です。
プロスケーターを引退後も、フィギュアスケートの未来を見据えた活動など、充実した2ndキャリアを歩まれてるようです。町田樹さんの姿勢は、フィギュアやスポーツに限らず、色々な業界の発展だったり、個人の人生設計だったり、様々な視点から学べる事がたくさんあるように思います。今後の活動が楽しみです!

楽譜紹介

2本のフルートとピアノのための「エデンの東」はこちらです。
Main Themem from ABC TV『East of Eden』「An American Hymn」for 2Flutes and Piano / Lee Holdridge
kokoro-Neの楽譜・CDは「kokoroneshop」でお求めいただけます

 

演奏動画

【フルート 楽譜】TV版「エデンの東」テーマ曲 / リー・ホールドリッジ
※販売している楽譜と異なる点がございます。

 

演奏のポイント

この楽譜ではオーケストラをトリオ編成に置き換えていますが、フルート2本を単に「高い方、低い方」だけでなく、「金管とストリングス」のように、原曲のオーケストラの音色を元に、2本に割り振ったりしています。

ピアノも「フルート以外で余ったとこ(・∀・)」なんて言ったら田仲に怒られちゃいます。ベースライン、和音、リズムをキープしてもらいつつ、フルートで足りない大事なフレーズを拾ってもらったりしているので、「オーケストラではどの楽器が演奏しているフレーズか」を原曲を聴いて覚えたイメージで演奏すると、よりよいアンサンブルになると思います。

最後はもう、まっちーの演技を思い浮かべながら演奏してみてください。きっといい演奏ができること、間違いないしです!(笑)

《ピアニストより》
とてもメロディックなので熱くなりやすいですが、前半から盛りっと弾きたくなるのをグッと堪えて、最後にピークがちゃんと持って行けるように客観的な視点でコントロールすると、音楽的にまとまると思います。

プレゼント!

kokoro-Neの楽譜やCDにご利用いただけるクリスマスクーポンをプレゼントします! 過去15回のバックナンバーでご紹介した楽譜もお求めただけます。お買い物の際に

クーポンコード:QNBSX567

を入力してご利用ください。

 

kokoro-Ne(ココロネ)プロフィール

kokoro-Ne (ココロネ)
門井のぞみ・大和田真由・田仲なつきによる、2本のフルートとピアノのトリオ。クラシックで培った確かな技術と表現力を基に、色彩豊かなアレンジやハイレベルな演奏で好評を博している。2007年結成当初より、ジャンルを超えたレパートリーに挑みながらも、リズムセクションや打ち込みなどを敢えて加えず室内楽トリオの可能性を追求し続けている。TPOに合わせた演奏を得意とする一方、CD・楽譜・オリジナル作品の発表にも力を入れており、オーディエンスはもとより多くのプレイヤーからも支持を得ている。
主な作品
・2009年 1st Album 「kokoro-Ne/ココロネ」
・2013年「コンサートで使えるフルートデュエット曲集kokoro-Ne編」(ドレミ楽譜出版社)初版以降も増刷を重ね、ロングセラーとなる
・2016年 2nd Album 「Microcosmos」同収録のオリジナル曲「ミクロコスモス」楽譜出版
・2017年 楽譜出版「kokoro-Ne Library」を立ち上げ、これまでに10作品を超える楽譜を発表。続々と新作発 表を控えている。
kokoro-Ne公式HP https://www.kokoro-ne.net/
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