フルート記事
kokoro-Neがお届けする〜フルートで彩る フィギュアスケートの世界〜

第15回 | 「G線上のアリア」J.S.バッハ

こんにちは!2本のフルートとピアノのトリオ【kokoro-Ne(ココロネ)】です。今回ご紹介するのは、長期に渡り活躍し続けるカロリーナ・コストナー選手です。人間的な魅力もさることながら、常に第一線を走り続け、観客を惹きつける魅力についてkokoro-Ne目線で迫ります。プレゼント企画もございます。ぜひ最後までお楽しみください。

カロリーナ・コストナー 2009-10 FS

「長い手足を生かした表現力」
「男子並みのスピード」
「高度なスケーティングスキル」
 など、彼女を褒める枕詞はいくらもある!という素晴らしいスケーターです。選手として結果を残していくのは2011シーズン以降ですが、私は『G線上のアリア』というロングトーン三昧の曲で魅せてくれる表現がたまらなく大好きです。

冒頭の「ファ#ー」の4拍だけで悩殺されてしまいます。氷に吸い付くような美しい滑り……「ああ、フィギュアって氷上に図形を描く競技だよね」と思わせてくれます。(これまたローリー・ニコルさんの振り付けが光ってます!)

そして「ソー」のロングトーンでは3フリップ+3トゥループ。ジャンプの回転が他の選手と違うので初めて見た時は「?!」となりましたが、着氷後の流れもきれいです。因みに、コストナーのフリップは、インサイドエッジでの踏切りが正確で、ジャッジでもやエラー(アウトサイドで踏み切ってしまう違反)やアテンション(違反までいかないけどエッジが水平で踏み切るなど)がほとんどなかったそうです。

特に好きなのが中盤のスパイラル!「レーファ#ミミー(下記の譜例2)」に乗ってどこまでも伸びていきます。フェンスにぶつかるんじゃないかというくらい、スピードに乗ってリンクの広さを目一杯駆け抜けいく姿がたまらないです。ポジションやエッジの切り替えも美しいこと……

曲は途中で『2つのチェロのための協奏曲(ヴィヴァルディ)』に変わってしまいますが、ヴィヴァルディ特有の躍動感溢れる曲調に合わせた終盤のステップも圧巻です。プログラム通して、緩急がありながらも、途切れない、最後までスピードが落ちない魅力があります。

このシーズン後、年齢を重ねるごとに増す魅力も楽しみで……

「30代に入ってからも好き」
「平昌シーズンのSP『行かないで』の冒頭の演技」
「フランス語わかんないのに歌詞の世界がわかった気になっちゃう」
「レイバックスピンの哀愁が半端ない!」
「スケーティングがきれいだからクラシックが似合うイメージだったけど、ボーカル曲で、曲に負けない表現力が素晴らしい」
「あーもー!オリンピック後の世界選手権SPの動画、ここに貼りたい(笑)!」

「そう思うと、ボーカル曲が解禁されてからのトバッチリの出場停止期間が悔しい……(泣)。」
「もっといろんなプログラム見られたんじゃないかと思うよね。」
「2016-17のツェッペリン、衝撃だった!こんなコストナーもありなんだ。て。カッコ良かった〜」

「2011からブラッシュアップされた2018年の『牧神〜』も名作だと思う」
「真央ちゃんの『ノクターン』もそうだけど、息の長い選手が過去のプログラムを再演してくれるの、萌えるよね
「進化が見られるのがたまんない!」

「ソチのボレロ!ストレートラインステップ最強!」
「単調な曲にコストナーが色と変化をつけて盛り上げていくようで、目が離せない! もちろん、長い時間かけて同じメロを繰り返して、強かにクライマックスに持ってくラヴェルの技法もすごいんだけど」

「ソチシーズンはアヴェ・マリアの美しさも忘れられない……」
「まだ引退表明してないよね、怪我がよくなったらまた戻ってほしい!」
「まだまだ見たいーーーーー!!!!!」

【おまけ】
『G線上のアリア』は名曲だけに、名プログラムも多数です。あまりに長くなってしまうので泣く泣くカットした他のスケーターのプログラムの一部を、ここでチラりとご紹介します。機会があれば是非動画などでご覧ください!

●マリナ・クリモワ&セルゲイ・ポノマレンコ組 1991-92FD
「こんなアイスダンスもあるんだ!」という幻想的な雰囲気で、競技であることを忘れてしまいそうな傑作!アルベールビルオリンピックで金メダルを獲得しています。

●ヴィクトリヤ・シニツィナ&ニキータ・カツァラポフ組 2018-19 FD
音楽同様、スローテンポのリズムキープ、というのは地味に難しいと思うのですが、優雅なグルーヴ感を上品に演じている名作です。

楽譜紹介

フルートの楽譜

ソロ・ピース
『G線上のアリア』(アルソ出版刊)

 

kokoro-Ne版は、楽譜は「コンサートで使える中上級アレンジ〜フルート・デュエット曲集(ピアノ伴奏付き)」(kokoro-Ne編曲&監修)に収録されています。
kokoro-Neの楽譜・CDは「kokoroneshop」でお求めいただけます

楽譜(フルート、アルトフルート、ピアノ)

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演奏動画

 

演奏のポイント

ベースライン(譜例1で、分数コードになる2、4拍目のの音)や裏メロ(譜例2)を一緒に演奏しているような気持ちで、コードチェンジを感じ取りながら演奏すると、ロングトーンが停滞せず、スムーズな演奏ができると思います。

*右方向にスクロールして御覧ください
 
譜例1
譜例1
譜例2
譜例2

また、序盤はビブラートをかけ過ぎず透明感のある音色で、クレッシェンドと共に少しずつ薄くて浅いビブラートをかけていくと聴きやすい演奏になると思います。

《kokoro-Ne版『G線上のアリア』》
2拍3連をぜひ攻略してください。

「まぐろ・いくら、タコ・イカ・ウニ」
のように言語で使って思考回路で区切るのも一つですが、自分の中で2等分と3等分の共存ができている領域まで達しておいたほうが、共演者と深い所でグルーヴの共有ができてより良いアンサンブルになると思います。

kokoro-Ne版は2ndでアルトフルートを使用してしまっていますが、実音で読み替えて、低音のCより低い所だけ適宜オクターブ上げれば、フルートでも演奏できます。ぜひご活用ください。

《ピアニストより》
ピアノのテンポがグラグラすると全体的に締まらないので、和声の変化を感じつつ、でも歌い込み過ぎずにクールに演奏したほうが全体のサウンドがまとまります。

読者プレゼント!

コンサートサロンALKAS 自主企画第13回演奏会
kokoro-Ne(ココロネ)コンサート ~秋の終わりのハーモニー~

[日時]2021年11月23日(火・祝)13:30開場 14:00開演
[会場]コンサートサロン ALKAS(JR西船橋駅、京成西船駅)
https://alkas-salon.com/
[出演]kokoro-Ne:門井のぞみ(Fl,Picc)、大和田真由(Fl,A.Fl)、田仲なつき(Pf)
[賛助出演]中川美和(Sop)、加藤義男(Ten)
[曲目](予定)オペラ座の怪人メドレー/A.L.ウェバー、オリエンタル・ウィンド/久石譲、『ブエノスアイレスの四季』より「ブエノスアイレスの冬」/ピアソラ、オペラ『椿姫』より「乾杯の詩」「二重唱とアリア」他
[料金]3,500円(全席自由)
全曲編曲:大和田真由&kokoro-Ne
こちらのコンサートを、抽選で1組2名様にプレゼント!
ご応募お待ちしております!!


[応募締め切り]10/30(金)
※無料のアカウント登録が必要になります。

 

kokoro-Ne(ココロネ)プロフィール

kokoro-Ne (ココロネ)
門井のぞみ・大和田真由・田仲なつきによる、2本のフルートとピアノのトリオ。クラシックで培った確かな技術と表現力を基に、色彩豊かなアレンジやハイレベルな演奏で好評を博している。2007年結成当初より、ジャンルを超えたレパートリーに挑みながらも、リズムセクションや打ち込みなどを敢えて加えず室内楽トリオの可能性を追求し続けている。TPOに合わせた演奏を得意とする一方、CD・楽譜・オリジナル作品の発表にも力を入れており、オーディエンスはもとより多くのプレイヤーからも支持を得ている。
主な作品
・2009年 1st Album 「kokoro-Ne/ココロネ」
・2013年「コンサートで使えるフルートデュエット曲集kokoro-Ne編」(ドレミ楽譜出版社)初版以降も増刷を重ね、ロングセラーとなる
・2016年 2nd Album 「Microcosmos」同収録のオリジナル曲「ミクロコスモス」楽譜出版
・2017年 楽譜出版「kokoro-Ne Library」を立ち上げ、これまでに10作品を超える楽譜を発表。続々と新作発 表を控えている。
kokoro-Ne公式HP https://www.kokoro-ne.net/
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