フルート記事 第33回|「道」(ニーノ・ロータ)
  フルート記事 第33回|「道」(ニーノ・ロータ)
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kokoro-Neがお届けする〜フルートで彩る フィギュアスケートの世界〜

第33回|「道」(ニーノ・ロータ)

LESSON

こんにちは!2本のフルートとピアノのトリオ【kokoro-Ne(ココロネ)】です。
この数ヶ月は、ミラノ・コルティナオリンピックから世界選手権まで、どっぷりとフィギュアを堪能させていただいた日々でした。
今号から次号にかけて、オリンピックと世界選手権をまとめて反芻できるように立て続けにお届けします!

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それにしても日本勢のメダルラッシュ!!選手の皆様、関係者の皆様、たくさんの感動をありがとうございました。
特にフィギュアは感動の嵐。オリンピックの最中は朝、中2の息子に「あれ、俺のお弁当は?」と言われましたが無言でお金を渡しました(⇦のぞみ 笑)。こんな時は学食があることに感謝です。
さて、我々3人の今回のオリンピックフィギュア萌えポイントを書いてみました!

真由の萌えポイント✨️
アイスダンスのメダリスト3組含め上位カップルの独創性溢れるプログラムが素敵でした。フルシゼ組の異次元のスケーティング……なかなかそれに勝つのは難しいんだろうと、フィギュアスケートの真髄を見た気がしました。
・鍵山優真選手のSP→圧巻のステップ
・アリサ・リウ選手のSP→「Promise」との一体化
・千葉百音選手のFS→冒頭でかけ出してからのきゅーっと伸びていくカーブ
・坂本花織選手のJamp Map(途中から表示されなくなったの残念)の育ち方が半端なかった
など挙げたらキリがないんですが、演技以外にも
・マリニン選手の「I Feel メッチャ ツカレタ」がGPFより上手くなってた
・ブレード危機を救った日下コーチ、佐藤駿選手銅メダル確定後のウィニングラン(リンクカバー広過ぎw)
・どんだけ準備したの!という視聴者をよりディープに引き込む町田樹さん、ペア愛溢れる高橋成美さんお二人の解説、
などいろいろ楽しませてもらいました。

なつきの萌えポイント✨️
オリンピックという大舞台であっても、選ばれし者たちの超越した【楽しもう!!】の演技に、終始感涙でした。広いリンクにスッと立ち(ピリピリヒリヒリ)、音と共に動き出し(ドキドキ)、その場の支配者になる瞬間(ドヤー)が大好物です(^^)

のぞみの萌えポイント✨️
りくりゅうペアの芸術的なフリーで感動しすぎて瞬きできませんでした。本当に素敵なお二人♡ 表彰台から帰る時の「木原運送」も最高でしたね。あとエキシビジョンも!! どこまで回すのー!と目が離せませんでした。それから中井亜美選手のあの天才的な可愛さ……。アイドルでしょうか。オリンピックの舞台であの「ん?」のポーズができるってすごい。おばちゃんは萌えまくりでしたよ。
あとエキシビジョンの足バタバタもね。あの可愛さに誰もがメロメロでしたね〜♡

そして、今回はその中井亜美選手がショートで1位になったプログラム『道』(ニーノ・ロータ)をご紹介します。

ニーノ・ロータ(Nino Rota 1911-1979、イタリア )

ニーノ・ロータは、映画音楽などで数多くの映画に音楽を提供しました。親しみやすく、でもどこかレトロ感や切なさが漂う作風で、その映画を強く印象づける手腕が素晴らしい……『ロミオとジュリエット(1968年)』がフィギュアでも使用されることが多いのも頷けます。そして、なんといっても『ゴッドファーザー』! ♪ソドミ♭レドミ♭ドレドラ♭シ♭ソ〜♪だけで情景、人情と冷酷が入り乱れるマフィア感(しかもちょっとカッコいい(*^^*))、ストーリー性まで感じ取れる(※)、映画の情景や人物の感情を自然に引き立てる名手です。
ご本人はあくまで本業は「クラシックの作曲」としていたそうで、音楽教育にも尽力していました。
木管五重奏のための『小さな音楽の贈り物(1943年)』のように、映画のために作られた曲でなくても、幕が開く時のワクワク感や、物語や情景が思い浮かぶような世界観を楽しめます。

※単なる見すぎ説w

映画「道」(1954年)

1954年製作・公開のイタリア映画。第29回アカデミー賞「外国語映画賞」を受賞し、監督のフェデリコ・フェリーニは自他共に認める代表作の一つでもあります。貧困・荒廃・暴力が日常だった戦後のイタリア。その中で救われない人間を、救わずに描いたことが衝撃で評価されたそうです。

【登場人物】
・ジェルソミーナ(「ダメ女」というよりは、教育や生き方の選択肢を与えられなかった女性)
・母親(娘を売る毒親)
・ザンパノ(暴力的で自己中心的。かなりキツい性格)
・イル・マット(陽気な旅芸人。ザンパノとは犬猿の仲だが理由は語られない)

【あらすじ】
冒頭、旅芸人のザンパノがジェルソミーナの家を訪れ、以前アシスタントをしていた姉の死を告げます。そして、次のアシスタントとして妹のジェルソミーナを“金で買って”連れていくことに。母親は泣きながら別れを惜しみますが、背景には兄弟と思われる子どもが何人もいて……(この時点で怒りというか、呆れるに近い感情湧いてきてしまいました……)。
さらに続くザンパノの傍若無人ぶりに耐えかねて逃げ出したジェルソミーナは、道中で出会った芸人イル・マットにラッパを教えてもらいます。その時に彼女が吹くようになった旋律が、映画「道」のテーマです。
その後の展開は割愛しますが、逃げ出す機会が何度かあっても、ジェルソミーナは結局ザンパノについていってしまう。彼女にはそれ以外の生き方が分からなかったのかもしれません……。

中井亜美選手「道」2025 SP

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振り付けはデヴィッド・ウィルソンさん。イントロが通常の「La Strada」と違って(※)荘厳なオケとチャイムから始まります。これには、時間の短いSPで一気にテンションを上げる効果を感じました。グイグイと加速して、お馴染みの『道』のメロディに入るタイミングで見事な3アクセル。滑らかで着氷とともにさらに伸びを増すスケーティング。メロディーの2回し目にはもう3ルッツ+3トゥループ。ここまでのその一歩一歩や手の動きが、売られた事を悟り、一旦海を見つめ、目にいっぱいの涙をためながら気丈に旅立っていく様子にも見えます。

音楽が切り替わってコミカルで軽快なマーチ風の中のトリオっぽい雰囲気の曲に変わります。ここの振り付けも溌剌としていて、かわいいこと!実は、映画ではザンパノがジェルソミーナに芸を厳しく仕込むシーンなのですが、映画の内容を忘れて亜美ちゃんの見惚れているうちにサクっと3ループも決めてしまいます。回転速度と余裕も素晴らしい……!

トランペットのメロディとともに曲が『道』のテーマに入ってからが見所。レイバックから回転速度を上げてビールマンまでが美しい。そして、そこからのステップがたまりません。1歩1歩に伸びがあって、体も大きく使いながら、メロディやオケの動きはもちろん、フレーズ終わりの処理まで拾い上げるような表現が素晴らしいです。この部分、実は3拍子と4拍子が混在したり、テンポ感も緩急があって、ちょっと拍の撮り方が難しいはずなんですが、そんな事も微塵も感じさせません。

音楽が最高潮に達すると共に演技のスケールもどんどん大きくなって、最後は足替えコンビネーションスピン。美しいポジションから最後のポーズ、そして演技後のガッツポーズまでが……たまりません♡

今後どんな名プログラムを演じてくれるか楽しみです!

※Sandro Cuturelloのアレンジのようなのですが、演奏は新しくて、使用音源はまだ特定できてません。ご存じの方、いらしたら是非お知らせください(笑)。

髙橋大輔さん「道」2009-2010 FS

大ちゃんプロも外せません! バンクーバー五輪で男子シングル日本人初のメダリストとなりました。振り付けはパスカーレ・カメレンゴさん。
こちらはトランペットソロの『道』のテーマで始まるスタンダードな音源。FSの演技時間の長さを活かした編集で、演技構成点の高さをより活かせそうだなぁ。という気付きもありました。
冒頭のちょっと戯けた芸人っぽい振り付け。そしてなんかエロい!(←最上級の褒め) 秒で大ちゃんワールドに惹き込まれます。果敢に攻めて4トゥループ(※)を跳びにいったのも、ゾクゾクしました。そこからすぐに立て直して3アクセル+2トゥループ。ここもフレーズの終わりにハマってるのが萌えます。Bメロのフレーズ終盤で3ループ、Aメロに戻る駆け上がりのフレーズでフライングキャメルシットスピン。うっとり見入って忘れていましたが、ザンパノの非道っぷりが微塵も感じられない!(*^_^*) マーチに入るまでもとにかく魅せる。所謂「繋ぎ」がまだ醍醐味なんですよね(ジャンプの時も音楽を途切れず聴いているそうです)。

マーチに入ってからのサーキュラーステップシークエンス。綱渡りを思わせる華麗な足捌き。「これが観たかったのよ!」と言わせんばかりです。この辺りはイル・マットのキャラクターかもしれません。

その後、曲調はアップテンポになり、お伽噺っぽい雰囲気と朗々としたフレーズが交互に入れ替わるパーツに入ります。リズムに乗って加速して、メロディの山場で3フリップ+3トゥループ、3S、音楽の波に乗る要素の置き方がたまりません!

曲は『道』のテーマに戻ると美しく情緒的なメロディに載せて、3A、3ルッツ、3ルッツ+2Tと畳み掛けます。冒頭部分より音圧が高まったBメロでのフライング足替えコンピネーションスピンも、Aメロの1小節目からステップを始めておいて「♪ファー(←ここ)ミファミ」で飛び上がるところも、なんかもういちいち鷲掴みにしてくるんですよね。この辺りはちょっとザンパノ号泣シーンの雰囲気なのかもしれません。最後の足替えコンピネーションスピンでスタオベは必須。

久々に反芻して改めて素晴らしいプログラム、スケーターだと感じました。

※その後の世界選手権ではフリップに世界初挑戦しました。

 

 

演奏動画

kokoro-Ne YouTubeチャンネル

競技音源は編集されていて、フル尺は映画の様々なシーンが蘇る6:30の大作!
あの映画の内容からこんなに素敵な曲を書けてしまうニーノ・ロータの敏腕っぷりを身を以て感じます。リハで回数を重ねるたびに「いい曲だよねぇ」と3人でしみじみすることも。
アレンジ面では場面の切り替えと、オケの音色を可能な限り再現すべく、ピッコロもアルトの持ち替えも多用しました。
一番苦労したのは、最終盤。重厚なサウンドの厚み、スフォルツァンドのニュアンスが、トリオだとなかなか再現が難しく、ラストシーンの雰囲気を出すのに苦労しました。

この動画もまだアレンジの途中で、7月のコンサートに向けて可能な限り磨きをかけて仕上げていきたいと思っています。

コンサートのお知らせ

【kokoro-Ne 19周年コンサート】
今年もkokoro-Neカラー全開のアレンジものやオリジナル曲を中心にお届けします。フィギュアコーナーでご紹介した曲も演奏予定です。ご予約お待ちしております。

[日時]7/11(土)18:30開演(18:00開場)
[会場]アコスタディオ(東京・JR「原宿駅」竹下口より徒歩2分/
東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前駅」2番出口より徒歩5分)
[出演]kokoro-Ne
[料金]一般¥3,500円 メルマガ会員¥3,000 学生¥2,000(いずれも税込、全席自由)
[ご予約]https://www.kokoro-ne.net/ticket

 

【フルート四重奏のひととき L' atelier des Flûtes (ラトリエ・デ・フリュート)】

作編曲も手がける4人のフルート奏者が集い、アルトフルート、バスフルートなども駆使して独自のサウンドを追求します。
L' atelier des Flûtes(フルートのアトリエ)をどうぞお楽しみに・・・

[日時]5/23(土)15:00開演 (14:30開場)
[会場]リベストプラザ (JR、井の頭線「吉祥寺駅」北口より徒歩7分)
[出演]池田さく子/渡邉加奈/大久保祐子/大和田真由(Fl)
[プログラム]ボザ:夏山の一日、ドビュッシー:小組曲 (編曲:大和田真由)、ギヨー:ディベルティメント・ジャズ、ベルトミュー:猫、フランシス・レイ:男と女 (編曲:sakuko)、ピアソラ:フーガと神秘 (編曲:大久保祐子) 他 (変更する可能性がございます)
[料金]一般¥3,500 学生¥2,000(当日券はいずれも+¥500円
[チケット取り扱い店]
村松楽器販売(株)新宿店:03-3367-6000 (月曜定休)
山野楽器銀座本店5Fフルートサロン:03-5250-1062
管楽器専門店ダク:03-3361-2211 (第1、第3水曜日定休)
E-mail:happytalk2525@gmail.com

キャプションまたはクレジット、なければトル

 

 

 

kokoro-Ne(ココロネ)プロフィール

kokoro-Ne (ココロネ)
門井のぞみ・大和田真由・田仲なつきによる、2本のフルートとピアノのトリオ。
クラシックで培った確かな技術と表現力を基に、色彩豊かなアレンジやハイレベルな演奏で好評を博している。
2007年結成当初より、ジャンルを超えたレパートリーに挑みながらも、リズムセクションや打ち込みなどを敢えて加えず室内楽トリオの可能性を追求し続けている。
TPOに合わせた演奏を得意とする一方、CD・楽譜・オリジナル作品の発表にも力を入れており、オーディエンスはもとより多くのプレイヤーからも支持を得ている。
主な作品
・2009年 1st Album 「 kokoroーNe/ココロネ 」
・2013年 「 コンサートで使えるフルートデュエット曲集kokoro-Ne編 」(ドレミ楽譜出版社)初版以降も増刷を重ね、ロングセラーとなる
・2016年 2nd Album 「 Microcosmos 」
同収録のオリジナル曲「 ミクロコスモス 」楽譜出版
・2017年 楽譜出版「 kokoro-Ne Library 」を立ち上げ、これまでに30タイトルを超える楽譜を発表。続々と新作発表を控えている。

kokoro-Ne公式HP https://www.kokoro-ne.net/
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