サックス記事 『孔雀の誇り』華々しくDebut!
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株式会社プリマ楽器創業80周年記念限定モデル

『孔雀の誇り』華々しくDebut!

GEAR

株式会社プリマ楽器の創業80周年を記念し、限定モデルのソプラノ&アルトサクソフォン『孔雀の誇り』が華やかに登場。柳澤管楽器株式会社との共同開発によって誕生した本モデルは、銀色に輝くボディに豪華な孔雀の彫刻が施された、ハイスペック感あふれる逸品だ。今回、企画・開発を担当したプリマ楽器の山瀬剛志氏と近藤香織氏に、モデル誕生の背景やこだわりについて話を訊いた。また、SAX四重奏団「Adam」での活動を軸に演奏会やレコーディングなどソロでの活動も精力的に行なう野原シーサー朝宇氏と、矢沢永吉や近藤真彦など多数のアーティスト・サポートのほか、スタジオ、ライブ、作編曲とバーサタイルに活躍する藤林祐聖氏の2人に試奏を依頼。それぞれ異なるジャンルで活躍するサックス奏者の視点から、音色や音程など本モデルのポテンシャルについて検証してもらった。
協力:株式会社プリマ楽器

『孔雀の誇り』試奏 ─REVIEW

インタビュー・文:ねじ助
 

●野原シーサー朝宇(のはら ともたか)(写真左)
沖縄県出身。昭和音楽大学弦管打楽器演奏家コースを経て、同大学研究科を修了。渡仏し、セルジー・ポントワーズ地方音楽院を満場一致の1等賞、室内楽を満場一致の金賞を得て修了。サクソフォンを屋良久美子、彦坂眞一郎、新井靖志、田村真寛、大森義基、榮村正吾、ジャン=イヴ・フルモー、室内楽を福本信太郎、松原孝政、マリリーズ・フルモー、アレクサンドル・スーヤの各氏に師事。現在、吹奏楽や在京オーケストラの公演、録音などに参加。「Adam」「CIRCLE“A”SAX」「Impetus Saxophone Ensemble」各メンバー。YANAGISAWAアーティスト。D'Addario Woodwinds日本公認アーティスト。
〈セッティング〉
[Soprano]
マウスピース:セルマー Concept
リガチャー:Yany SIXS (特別仕様)
リード:D'Addario Woodwinds Reserve 3.0
[Alto]
マウスピース:セルマー Concept
リガチャー:Yany SIXS (特別仕様)
リード:D'Addario Woodwinds Reserve 2.5

●藤林祐聖(ふじばやし ゆうき)(写真右)
1991年9月14日生まれ、静岡県出身。両親の影響で幼少の頃から様々な音楽に興味を持ち、4歳からピアノ、13歳からサックスを始める。高校ではクラシックを、大学ではジャズをそれぞれ専門的に学び、 大学在学中よりプロ活動を開始。2014年3月に昭和音楽大学を首席で卒業。これまでに矢沢永吉、近藤真彦、横山剣(クレイジーケンバンド)、熱帯JAZZ楽団、植草克秀(少年隊)など数多くのアーティストのコンサート、ツアーに参加。その他にもレコーディングや作編曲、テレビ収録など幅広く活動中。2019年には宮崎隆睦氏プロデュースによる1st ソロアルバム「Journey to Dreams」をリリース。サックスを近藤和彦氏、宮崎隆睦氏、マスタークラスにてデヴィッド・サンボーンに師事。
〈セッティング〉
[Soprano]
マウスピース:Jody Jazz HR6番
リガチャー:Wood Stoneスタンダードモデル、ラバーセルマー用のGP
リード:バンドーレン JAVAファイルドレッドカット3番
[Alto]
マウスピース:ドレイク JAZZ 6番
リガチャー:ボナード Bbクラ用 逆締め PGP
リード:バンドーレン JAVAファイルドレッドカット2½番

『Soprano孔雀の誇り』試奏

「孔雀の誇り」を試奏していただいて、音色、鳴りについていかがでしょう。まずソプラノの感想をお願いいたします。
藤林祐聖
(以下 藤林)
パワーがすごくありますが、スタミナを使うということもなくとても吹きやすいですね。割と楽に鳴らせて強いパワーが出る。一般的にシルバーって、ちょっと抵抗感があるとか言われがちですが、全然そんなこともなく、ムラなく低音域から高音域までまっすぐシームレスに音が繋がって吹けます。またソプラノは、それぞれのメーカー・モデルによって鳴るツボが結構違うようなイメージがあるんですけど、この楽器はいい音で鳴るツボがはっきりしていて吹きやすいの一言に尽きるというか、ピッチも取りやすく、思った通りに楽器がついてきてくれる感じです。
野原シーサー朝宇
(以下 野原)
ソプラノは最近デタッチャブルネックのタイプが多いなか、孔雀の誇りは、1本で繋がっているおかげで息の入りやすさ、スムースさがあるというのが一番の印象です。銀メッキの楽器には、吹奏感が重いとか音色が暗いといったイメージもあると思いますが、その点この楽器は、軽すぎず、重すぎずで、口元に無駄な力を入れなくても自然に吹ききれる感覚で、pからfまでコントロールがとてもしやすいですね。スケールやいろんな曲を吹いていても、特に吹き方を何も変えずに楽器自体が対応してくれて、下から上まで音がムラなく鳴りやすい印象でした。あとはフロント Fキィがピンクゴールドプレートになっているので、わざとフロントキィを使いたいですね。せっかくなので(笑)。
吹奏感や操作性などはどうでしょうか?
藤林
すごく吹きやすいですね。普段ソプラノは、ヤナギサワのストレートタイプ(シルヴァーソニックS-9030)を使っていて、はじめに持ったとき、角度の違いから、息の方向も変わって音の鳴り方や吹奏感も変わるかなと思ったんですが、まったく気になりませんでした。
僕の吹き方にもよると思うんですが、S-9030では、中音C♯↔Dのまたぎの際に、ピッチのバランスに気をつけないといけないところがありますが、この楽器は、もう何にも考えずにまっすぐ吹いていて「スポーン」と音がはまってくれて、全然ストレスなく吹けました。
「あぁ、昨日までのツアーにこれがあったらな」と、思いながら吹いてました(笑)。
野原
僕が普段使っているソプラノは、シルヴァーソニックS-WO37の本体がGPで、ネックが PGPなんですが、ネックはストレートタイプを使っていて、カーブドのネックだと、角度的に違うかなと思ったんですが、パッと息を入れた瞬間、吹きやすさを感じました。持ったイメージは、少し重いかな?と感じましたが(自分の楽器も重いはずなんですけど……)、別にそれは大した問題ではなくて、単純に吹きやすさの印象が強かったですね。
お互いのソプラノの演奏を聴いてみて感想を聞かせてください。
藤林
音が濃厚で身が詰まっていて、でも銀のプリっとした音の感じもあって、高音から低音までの跳躍も粒立ちのある音で、音の繋がりも綺麗ですね。もちろん野原さん自身の腕前によるところも大きいと思いますが、ホールで聴いてみたい美しい音色でした。
野原
お互いジャンルも違うので、近くで聴かせていただく機会ってあんまりないんですけど、あれだけ息を入れて音が割れないのがすごいなというのが第一印象です。もちろんマウスピースやアンブシュアの違いもあると思いますが、そんなことより吹き方の操作が素晴らしいんだと思います。先ほどいろんな曲を吹いてもらったときに、音色感がそれぞれの曲で変わるのにも驚きました。
藤林
ありがとうございます。音色感の変化は、楽器のポテンシャルだと思います。僕も仕事柄、1ステージの中でジャズっぽい曲や歌謡曲、クラシカルなものを吹いたりと、いろんなジャンルを演奏することがあるんですが、1本の楽器でこれだけいろんな音色が出せるのも、息の入れ方に対してすごく追従してきてくれるからだと思います。レコードで流れていたソプラノの素朴な音も、割と最近のポップな感じの音も出せるキャパの広い楽器ですね。

『Alto孔雀の誇り』試奏

次にアルトの「孔雀の誇り」について、音色、鳴り、吹奏感についていかがでしょうか?
藤林
ソプラノと違って、アルトは持ったときにちょっと重量感を感じました。その分、息を入れたときの鳴りがすごいですね。普段自分が使っているのが、アメリカンセルマーとフランスセルマーのマークVIで、ツアーでは学生の頃から使っていたヤマハの初期型82Zを使っていますが、どれも軽めの重量感、抵抗感の楽器です。孔雀の誇りは、息を入れたら入れた分だけ楽器が反応してくれて、パワフルに鳴ってくれる。それと、これはソプラノと一緒なんですが、息を吹き込んでいった とき にある一定のラインから音色が大きく変わってしまうとか、ピッチ感が変わるということがなくて、シームレスに繋がっていく感じがいいですね。
実際やってみないとわからないのですが、多分マイクを通してもいい音で鳴ってくれるのではないでしょうか。
野原
僕は普段アルトがA-WO37で、本体がPGP、ネックはGPという、ソプラノとは逆の仕様なんですけど、元々割とずっしりした楽器を吹いてるので、孔雀の誇りを持ったときも違和感なく馴染みました。また、小さい音から大きい音まで、苦労なく出てくれるところに銀メッキならではの反応の良さ、音の粒立ちの良さを感じます。パッとフレーズを吹いたとき反応速度が速いというのが吹きやすさに直結しているのではないでしょうか。音色も暗すぎず、明るすぎず、いろんな曲や場面で映える音色なのかなと思いました。先ほど『展覧会の絵』の「古城」を吹いてみましたが、「いい音だな」という印象を持ちました。
アルト、ソプラノに共通しますが、彫刻についての印象はどうでしょう?
藤林
ずっと観察しちゃうぐらい惚れぼれするような、芸術作品として展示してあってもおかしくないぐらいですね。照明の光の加減によってすごく綺麗に写って、ステージ映えしそうです。
野原
すごく珍しいと思ったのが、胴輪の部分にも彫刻入ってるというのは、他のサックスでは見たことないですね。ソプラノも羽の彫刻が ベルの内側まで 繋がってるというのも面白いですね。
お互いのアルトの演奏を 聴 いてみて、感想を聞かせていただけますか?
藤林
音が柔らかいのに、粒立ちがすごくはっきりしてて、pとかppで吹いてもしっかり音の輪郭を保ったまま、でもちゃんと柔らかい音で響いているのが素晴らしいです。もちろん野原さんのコントロールも素晴らしいのだと思います。素敵な音だなと思って聴いていました。
野原
上から下の音に行く際の音を抜くときのコントロール力がすごいなと思って。
そんなコントロールを楽器自体が受け止められるというのが、このアルトのポテンシャルだと思います。楽器って、大体できることとか可能な範囲が決まってくるというか、こういうふうな音、こういうニュアンスは出せるよね、出せないね……など、あったりすると思うんですけど、この「孔雀の誇り」は、どのジャンルやシチュエーションにも応えて映える音が出せるので、どのジャンルの人にも好まれる楽器だと思います。
ありがとうございました。
 
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