リードの基礎知識
サクソフォン本体やマウスピースとともに、音色や吹奏感に大きな影響を与えるリード。サクソフォン愛好家にとってリード選びはサクソフォンライフにおける重要なファクターであると共に永遠の悩みとも言えるだろう。さらに近年、新しいアイテムも続々と登場しており選択肢の幅は大きく広がっている。そこで今回はアルトサックス用の天然リードにスポットを当てて、知っておくべきリードの扱い方に関する知識や間違いのない選び方のコツを紹介していこう。レクチャーしてくれるのは国内最大規模の総合楽器店である島村楽器のイオンレイクタウン店で多くの生徒さんたちをレッスンするサックスインストラクター石沢路和さんだ。
(インタビュー:nejisuke/文:渡部祐也/取材協力:島村楽器株式会社)

Profile 石沢路和(いしざわ みちかず)さん
武蔵野音楽学院を経て、東邦音楽大学サクソフォーン科を卒業。卒業生選抜による大学主催のコンサートに出演。山形県新人演奏会に選出。またソロ、アンサンブル、バンドサポート等、ジャンルを問わず演奏活動や高等学校吹奏楽部の指導等を行なう。その他、ラ・フォル・ジュルネTOKYO出演、「THE SAX」動画連動企画「人気ナンバー完全攻略レッスン」に出演。サクソフォーン、室内楽を佐々木雄二氏、吹奏楽を百瀬和紀氏に師事。島村楽器でのインストラクター歴は25年以上の人気講師。
リード各部の名称

まずは知っておきたいリードの基礎知識から!
Q1.ファイルド(フレンチカット)とアンファイルド(アメリカン・カット)の違いって何?

石沢 ファイルドカットはヴァンプの根元を2段階にカットしたリード、アンファイルドカットは逆にヴァンプの根元の皮の部分を残したリードです。
ファイルドカットのほうがカット部分が多いぶん振動率が高いため、音の立ち上がりが速く操作性が高いように感じられると思います。その代わり音色は少し軽くなります。
アンファイルドカットは逆に多めに残っている皮も一体となって振動するぶん吹き心地が重くなり、音色はダークになります。周波数が多く含まれるふくよかな音になる傾向があると言えるでしょう。



Q2.ヒールからティップまでのカーブなどリードの形状の違いによって何が変わるの?
石沢 リードのヴァンプからヒール、テーパーに至るセンターの部分が厚ければ、芯がはっきりした太いサウンドになる傾向があります。
そのため例えばバンドーレンのV12のような少し細い素材を使うリードは断面を見た時の弧が急になるのでサイドが薄くなり、結果として反応がよく芯があり明るいサウンドになり、逆にバンドーレンのトラディショナルのようなリードは幅の広い素材を使っているので弧が緩くなり、全体的な厚さが均一となるためふくよかな音色を持つリードになります。


リードの先端部分は高音域、そこから1cmほど内側の真ん中あたりの部分は中音域、その先は低音域の鳴りに影響します。先端部分が薄いと鳴りやすくなりますが、その分高音域は痩せてしまいます。V12のように先端部分が厚めで、ヒールのテーパー部分が細いリードはその分低音が吹きやすくなります。バンドーレンV21のように先端部分は厚めで、右図の低音域部分を薄くしているリードは、高音域が痩せないようにしつつ低音域が出やすいということを狙っているのだと思います。


Q3.マウスピースの開きに対してリードの番手を選ぶ基準は?

石沢 まずは2½を中心に2番や、3番から選び始めるのがおすすめです。また、必ず隣同士の2つの番手を試すようにしてほしいと思います。
息が強い奏者や弱い奏者、口の締め付けが強い奏者と弱い奏者とそれまでの経験値や奏法によって大きく変わってきます。息が強い人ならば最初から3番を吹けることもありますし、年配の方の場合は柔らかいリードのほうが適している場合もあります。噛みすぎていた奏者が自然な奏法が身につくことで番手が変化していくということももちろんあります。一概には言えないので少なくとも2つの番手を試して自分に合うものをまず使用するのが良いと思います。
メタル系のマウスピースの場合はオープニングサイズにもよりますが、2½から選び始めるのが良いでしょう。マダム・ギースやMarcaのAMERICAN VINTAGEといった最近登場したリードは2番が適合する場合もあります。












