サックス記事 クリス・ポッター 現代ジャズ界の最重要テナー奏者の最新ヴォイスをキャッチ
THE SAX vol.105

クリス・ポッター 現代ジャズ界の最重要テナー奏者の最新ヴォイスをキャッチ

春が訪れ夏に向けて天気も良くなってきましたが、未だにコロナ禍で気の抜けない大変な日常生活のなか、いかがお過ごしでしょうか。
さて今号は本誌65号の表紙を飾り、人気ナンバーワンの呼び声も高いChris Potter氏に登場していただきます。筆者の大好きなプレイヤーの一人であり、大学の先輩にあたる方であり個人的にも長い間お付き合いさせていただいています。そのクリスに、このコロナ禍のなか撮影、そしてインタビューをさせていただきました。場所はニューヨークのFD Photo Studioからお届けします。ちなみにクリスと筆者はコロナのワクチン接種済みです。


Text/Photos by Yuki Tei (yukiteiphoto.com)
IG: @yukiteiphoto and @yukiteimusic
Special Thanks to: Chris Potter, Anna Yatskevich (annayatskevich.com), and FD Studio NY (fdphotostudio.com).

 

多くの楽器を演奏し人種差別問題もテーマにした「There Is A Tide」

Yuki
こんにちは。今日はお忙しい中ありがとうございます。最後にお会いしたのはおそらくコロナ禍に入る前なので、だいぶ時間がたちましたね。ご家族共々ご健康であればよいですが。さて早速ですが未だにパンデミックの真っ最中ですがいかがお過ごしになられていましたか?
Chris
Yukiとこうして会うのは久しぶりだね。以前はジャズクラブやジャズフェスティバルの会場の楽屋等で会ったりしていたからね。このコロナが始まって以来、私たちの生活は本当に変わりました。これによって今までの生活習慣がすべて変わったので大変でした。多くのコンサートやツアー等すべてキャンセルになり、当初はやはり戸惑いました。が、常にどのような状況においても何かそれに応じてできることはないかなと考えるようになりましたね。これは多くの方も感じただろうし、考えさせられたと思うけど。
Yuki
確かにおっしゃるとおりですね。今まで私たちが経験したことのないことばかり続きで。これまでは普通に外出をしたり、コンサートや旅行などにもごく“普通”に出かけていたのですが、この“普通”が全く通じなくなってしまっている今日。そしてこのパンデミックの状況において多くのミュージシャンが仕事場を失いました。しかし、不幸中の幸いというか、今までそこまでクローズアップされなかったことなどが、取り入れられるようになりました。その一つはオンライン上でのストリーミングが以前より盛んに行なわれるようになったこと。そしてホームレコーディングをはじめ自宅から色々と発信できるようになったことです。そして、やはり他のミュージシャンたちとの接触がなかなかできない中でも色々なプロジェクトが生まれました。そしてその一つ、Edition Recordsから好評発売中の「There Is A Tide」の録音はまさしくって感じです。このレコーディングはChrisが一人で多くの楽器を演奏しています。サックスをはじめ木管楽器だけでなくピアノ、ギター、ベース、ドラムなど数多くの楽器を演奏して録音された作品です。普通は一つの楽器だけでもただでさえ大変なのですが、すべて演奏できてしまうところが凄すぎます。
 
There Is A Tide「There Is A Tide」
(Edition Records EDN1168)[2020年]
Sunrise Reprise「Sunrise Reprise」
(Edition Records EDIT11712)[2021年]
 

次ページにインタビュー続く
・一つの曲を集中して聴くということはとても大切なことだと思う
・最近は作曲などに時間を費やし常に何か音楽を聴いている
・すごく楽しみながらプレイして良い録音になった最新作「Sunrise Reprise」

登場するアーティスト
画像

クリス・ポッター
Chris Potter

1971年1月1日、イリノイ州シカゴ生まれ。3歳の時に家族とともにサウスカロライナ州コロンビアに移る。そこでピアノとギターを演奏し始め、10歳になるとアルト・サックスに本格的に取り組み始め、13歳の時には初めてのギグを経験する。1989年、18歳の時にニュースクールへの進学のためにニューヨークへ移るとともに、ニューヨークのジャズ・シーンで活躍し始める。「Down Beat」誌は「地球上、最も研究され(そして模倣された)サキソフォン奏者」と形容し、「Jazz Times」誌は「国際的な有名人」と称す。自身のバンドのみならず、サイドメンとしても数々のセッションに参加しており、現代のジャズ・シーンの要人のひとりとして活躍している。

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