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「基礎知識」のガイドライン

マウスピースの基礎知識 -意外と知らない11のこと-

十亀正司氏に訊く! マウスピースのこと Part.2

ここでは、十亀正司氏自身がこれまでに使用してきたマウスピースのことや、求める音色などを訊いた。

ファーストインプレッションが自分にマッチ

——十亀さんがこれまでに使用してきたマウスピースは?
「学生のときは今ほどマウスピースの種類がなかったので、いろいろなマウスピースを試しながら使っていました。また、ある時期はみんなクリスタルを使っていたことがあって、僕も使いましたね。
セルマーのマウスピースが主流になったころC☆☆に替えてその後、Dというモデルも使ったことがあります。バンドーレンにしたのはけっこう後で、まずセルマーのマウスピースとはぜんぜん違っていておもしろいなと思ってM360というモデルに替え、その次にC☆☆と音色が似ている感じがしたのでB40を使いました。他にアレキサンダー・ヴィルシャーも試したりしました。
そして現在はBGのマウスピースをメインに使っています。ほかにもドイツのNICKやイギリスのピーター・イートンなども持っています」

——現在のマウスピースであるBGとの出合いを教えてください。
「BGを選んだのは僕にとって吹きやすかったし、好みの音色だったから。いつも、吹きやすくて好みの音色のマウスピースがあるといいなと思ってるんだけど、なかなか一致するものがない。BGも好みの音と一致したわけではなく、理想に近かったので使っているんです。BGとの出合いは、たまたま訪れた楽器店に置いてあって、店員さんに勧められて吹いたら、ファーストインプレッションが自分にマッチしたマウスピースだったんです。もし、ほかのBGのマウスピースだったら自分の求める音とは違っていたかもしれない。違っていたら、今後BGのマウスピースを選ばなくなっていた可能性はありましたね」

——十亀さんの求める音色は?
「マウスピースを選ぶときは音色が一番重要。言葉にするのは非常に難しく、ひと言では伝わらないと思いますが、ひたすら柔らかい音を求めています。とにかく自分で吹いてみて納得するようなものを選んでいます」

——十亀さんにとって“いいマウスピース”とは?
「今、自分にとってどういうマウスピースがいいのか、その統計を取ろうとしています。どのように変えたらどうなるのかと思って、マウスピースのティップ・オープニングやフェイシング、そしてフェイシングのカーブの形状などを計っていこうと考えているんですよ。これらを調べるために不要になったバンドーレンのB40を50本ぐらい集めて、これを改造していって自分に合ったマウスピースを探そうと。ティップ・オープニングを広げることは簡単にできそうだけど、狭くするのはどうしたらいいのかわからないから、どうやって削ればいいのか専門家に聞こうと思っています。
とにかくマウスピース選びは大変で、私の知り合いのオケに在籍する女性クラリネット奏者は、ずっとバンドーレンのB40を使っています。まとめて購入することはないのですが、毎回吹いて選んで徐々に増やしていったようです。彼女はB40の一つひとつに通し番号を付けていて、もう40番以上にもなってる(笑)。そのぐらいプロ奏者も悩んでいるんですよ!」

——マウスピース選びについて、初心者にメッセージをお願いします。
「初心者の人は自分に合う音というのが具体的にわからないでしょうから、まずはいろんなクラリネット奏者の演奏を聴いて、この音が好きだなと思ったら、その人がどんな仕掛けを使っているのかを知ることが大切だと思います。日本クラリネット協会でも今後初心者に向けた取り組みをしていきたいと考えています」

——ありがとうございました。

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