アンサンブルの作り方

縦の線の合わせ方 Part.2「共通の時間の流れ」

曲の途中でタテがずれる

うまく曲が始まっても、難しいパッセージがあって自分の音に集中しすぎて周りとズレていることに気がつかなかったり、運動神経的に合わせるのが難しかったり、また一人で練習している時にメトロノームをうまく使えず、インテンポで吹けないまま合わせに臨んでしまったりすることが原因で、途中でタテがずれることはよくあると思います。持ち帰って個人練習で解決できることは、メトロノームをうまく使って、また、絡むパートも両方一人で吹いているつもりになって練習し、解決しましょう。
それでも上手くいかない時はみんなで協力し、知恵を絞るときです!
メロディを外して伴奏だけで合わせたり、パートを交換して相手の音を体感してみたり、録音してみんなで聴いてみたりして、お互いアドバイスし合いながら解決しましょう。レッスンを受けたり、誰かに聴いてもらったり、と方法はいろいろあると思います。そんな時間を過ごせば、全員がどんどんその曲を深く深く知っていくことにつながります。全員がスコアの音を想定、知りながら演奏できるようになっていたら、アンサンブルもすごく良くなっていること間違いなしです。

フェルマータのあと、また曲の途中で伴奏していたのに突然メロディが現れる時

フェルマータの後の合わせ方も、基本的には冒頭と同じです。全員で次のテンポを頭に浮かべることが必要です。ただこの場合、フェルマータの音をどう閉じるかも大事な要素になります。どう閉じて次にどう始めるのかという流れにも共通の意思を感じられるよう、フェルマータののばしの息のスピード、音の形なども足並みをそろえて丁寧に音を閉じ、その閉じた点、次のテンポ1拍、計2拍のアウフタクトを作って再開してみましょう。そしてそれを自然にピックアップするには合図する人がどう動いたらいいかを、一人に任せずみんなで考えていきましょう。

突然メロディが現れたときには、自分に向かって合図を出してあげるような気持ちで、少しいつもより深めのブレスをとって、そしてみんなにどんな歌が歌いたいのかを伝えるつもりで、流れにのりながら吹き始めてみてください。合わせが進むにつれて、みんなも予想してくれるようになるはずなので、だんだん自分の旋律にスポットがあたるような感覚になっていくでしょう。

作曲家は必ず音に役割を持たせて音を置いているはずです。その役割が分からずに吹いているとしたら、それは音楽ではなく単なる音にすぎません。役割を生かし、一人では絶対に生み出すことのできない空間と時間の経過とともに一体となった音楽が存在するアンサンブルは、必ず聴く人を幸せにします。そして、発音の音色、共通の音程感、調性の色彩をみなで作ることなどは、個人の奏法を見直すきっかけにもなるはずです。

音楽は時間の芸術、それを指揮者に頼らずゼロから自分たちで創作していく、こんな楽しいことはそうそうありませんね。どうか、そんな楽しみを予想しながら、いいアンサンブルをつくってくださいね。

<前へ      1   |   2   

クラリネット ブランド