イベント・レポート

EVENT REPORT ― 第37回米子クラリネットフェスティバル

2023年12月24日(日)に鳥取県吹奏楽連盟⻄部地区の主催で、みなとテラス(境港市⺠文化センター)にて「第37回米子クラリネットフェスティバル」(協力:有限会社らぱん、協賛:株式会社ビュッフェ・クランポン・ジャパン)が開催されました。今年も特別講師に田中正敏先生をお迎えし、2回のリモートレッスンや前日の対面レッスン、本番と、2か月間この演奏会に向けて準備し、無事に開催となりました。 参加者は、鳥取県内の中・高校生や一般のクラリネット愛好家だけでなく県外からも集まり、総勢40人が参加しました。

参加者全員で集合写真

 

11月12日、12月10日 リモートレッスン
開催に向け、参加団体に田中正敏先生によるリモートレッスンが行なわれました。 参加した生徒たちはカメラを通してアンブシュアや手元を確認し、音楽表現についての指導を受け、時間が経つごとに自分たちの音色や演奏が変わっていくのに驚き、目を輝かせながら受講していました。リモートレッスンでも指導内容はしっかり参加者に伝わり、生徒らの演奏が劇的に変わっていきました。参加団体の中にはアンサンブルコンテスト中国大会に出場する団体もあり、レッスンの効果がしっかり演奏に生かされていたのだと思い嬉しくなりました。

リモートレッスン風景

 

11月12日、12月3日 大合奏練習会
参加者全員による大合奏の練習会は私、安部千菜が指導しました。 別々の場所で活動しているクラリネット仲間との演奏で、初めは楽譜を読むのに精一杯でしたが、曲の雰囲気やメロディ、伴奏、それぞれの役割を理解できるように指導しました。練習を重ねるごとに生徒たちは周りの音に耳を傾けられるようになっていきました。そして、指揮に合わせていくのではなく、自分からアンサンブルしていけるよう練習を重ねました。

 

12月23日 対面レッスン
雪の影響が心配されていましたが、12月22日に田中正敏先生が米子入りされ、参加団体10組のうち6組が対面レッスンを受講しました。リモートレッスンでも受講していた尚徳中学校はクラリネットとバスクラリネットの二重奏で参加予定でしたが、レッスン中に急きょ米子の楽器店「らぱん」の田中啓三さんがピアノを、そして別の中学校からパーカッションの生徒にドラムをお願いし伴奏を入れることになり、とてもオシャレなクリスマス・ソングに大変身しました。他楽器の手を借り、今まで聴こえていなかった音が聴こえるようになった生徒たちに新しい世界が広がった瞬間でした。心細かった演奏に厚みが出て、生徒たちの吹き方にも変化がありました。
特に印象的だったのは、米子北高校が演奏したラヴェル作曲『ハバネラ形式による小品』のレッスンでした。この演奏会のために準備し、練習していた曲で練習期間も少しだったと思います。初めは曲の雰囲気がわからず楽譜通り吹いているようでしたが、田中先生が作曲家ラヴェルが生まれた場所のこと、スペイン音楽の影響を大きく受けた人だということなど、生徒たちが想像を膨らませられるようお話をされました。そして、音色や吹き方もその曲の雰囲気にあったものを使おうと練習していくと、平坦だった演奏から立体感と彩りが表現できるようになりました。伴奏もリズミカルになり、生徒たちも次第に深く曲を理解していくと表現が変わるということを改めて実感しました。

 

12月24日 本番
朝から本番のホールで各参加団体10分間のリハーサルが行なわれ、最後までそれぞれが納得のいく演奏を目指し調整を行ないました。本番ではどの団体もレッスンで得た課題に向かい練習してきた成果をしっかり披露していました。参加団体の演奏後には田中正敏先生と安部千菜による講師演奏があり、クラシックとポップスを織りまぜた選曲で、2ミックスを使ったクリスマス・メドレーやA.シュタッドラー作曲『二重奏曲』などを演奏しました。そして、地元でクラリネット奏者として活躍されている杉山清香先生にも加わっていただき、チャイコフスキー作曲『葦笛の踊り』や、ペルゴレージ作曲『ヴァイオリン2本とチェロのための三重奏曲』をクラリネット三重奏で演奏しました。参加者にとって、1日で奏者、 聴衆の両方を経験できることはたくさんの発見があったのではないでしょうか。
そして最後は、参加者全員で『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』、『彼方の光』、『アイドル』を演奏し、昨年同様『ラデツキー行進曲』で締めくくりました。参加して得た技術や発見はこれからのクラリネットを吹く楽しみに変わってくれると信じています。(文:クラリネット奏者 安部千菜)

尚徳中学校のリハーサル風景
左から田中正敏先生、杉山清香先生、安部千菜

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