クラリネット記事
The Clarinet vol.71

ホセ=ルイス・エステレス 音楽表現を邪魔しているものを見抜く。 それを除去することで自由な演奏ができ

スペインを始めとするヨーロッパで活躍しているホセ=ルイス・エステレスさん。演奏活動のほか、マスタークラスなどで世界中を飛び回ることの多いエステレスさんは、指導にも定評のあるクラリネット奏者だ。2019年の来日時に、所属オーケストラのこと、指導のことなどをうかがった。
通訳:井上幸子(クラリネット奏者/常葉大学短期大学部准教授)

2003年からセルマー・クラリネットを愛用

ホセ,ルイス
エステレスさんの出身地はスペインですね。
ホセ
(以下J)
はい。ヴァレンシアで生まれて、現在はグラナダに住んでいます。ヴァレンシアは音楽の街として知られています。吹奏楽、管楽器が非常に盛んで音楽に溢れた街ですよ。もちろんオレンジ、パエリアも有名です(笑)。 グラナダはオルケスタ・シウダード交響楽団に入団してから長い間住んでいます。
 
エステレスさんがクラリネットを始めたきっかけを教えてください。
J
7歳のときのヴァレンシアのウインドバンド(吹奏楽)ではじめました。ヴァレンシアではみんな楽器を吹いて、ウインドバンドに入ります。実は私がウインドバンドに入ったときにはクラリネットしか空きがなかったのです。でもクラリネットは私にとってピッタリな楽器でした。
 
オルケスタ・シウダード交響楽団の特徴を教えてください。
J
スペインの最高峰オーケストラの一つです。スペインを代表する作曲家 マヌエル・デ・ファリャが住んでいた家のすぐ近くにオーケストラの本拠地があります。ですから私たちのオーケストラは、特にファリャの音楽に関しては自負しています。これはオーケストラにとっても重要な意義を持っています。メンバーはスペイン人ばかりではありませんが、管楽器はほぼスペイン人です。グラナダにはアルハンブラ宮殿で有名な観光地アルハンブラがあり、ここにコンサートホールがあります。グラナダはすごく芸術的な街で日本人の観光客も多いですよ。
 
 
ホセ,ルイス
 
今お使いになっている楽器、セッティングを教えてください。
J
セルマーのプリヴィレッジと、マウスピースは普段はバンドーレンのブラックダイヤモンドBD5ですが、今月はグライヒヴァイトという新しいマウスピースを試してほしいと言われて使っています。
 
ウィーンフィルの方はそのマウスピースを使っていますね。通常コルクの部分がゴムですね。
J
そうです。私の師匠のカリ・クリーックさんと一緒に使うことになりました。リガチャーはサクザス、リードはバンドレーン・トラディショナルの3番です。
 
セルマーのクラリネットはいつから使っていますか?
J
2003年からです。この楽器は音色の暖かさ、深さに感動して使うようになりました。初めて吹いた瞬間、自分に必要な楽器だと感じたんです。 これまでレシタル、サンルイを吹いていましたが、2015年からはプリッヴィレッジを愛用しています。
 
通訳を務めてくれた井上幸子さんと
通訳を務めてくれた井上幸子さんと

 

続きは本誌The Clarinet vol.71にてお楽しみください。

 

Profile
ホセ=ルイス・エステレス
Jose Luis Estelles
クラリネット奏者および指揮者として、日本を含む世界各地で多くの国際的な演奏家と共演し、クラリネット協奏曲の世界初演も多数行なっている。1991年からはスペイン、グラナダのオルケスタ・シウダード交響楽団首席クラリネット奏者を務めている。これまでにイギリス、フランス、スイス、オランダ、メキシコ、スロヴァキア、ポルトガル、ドイツ、フィンランドで頻繁にマスタークラスを開催し、スペインではバスク地方の高等音楽院「ムシケネ」のクラリネット課教授として後進の指導にもあたっている。 また、ロッテルダム音楽院(オランダ)およびシベリウス・アカデミー(ヘルシンキ)の常勤客員教授もつとめている。使用楽器:セルマー・パリ「プリヴィレッジ」。

ホセ=ルイス・エステレス

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