クラリネット記事
The Clarinet 52号 特集│バスクラリネットの魅力が面白いほどわかる!

まずは楽器を知ろう

パリ国立高等音楽院のバスクラリネット科で学ぶ

本誌初登場となる吉野亜希菜さんは、フランスに9年間留学し、そのうちの2年間はバスクラリネットを学んでいる。そこでバスクラリネット科の授業内容や、自身がバスクラリネットを始めたきっかけなどを語っていただいた。

クラリネットを始めたきっかけは?
吉野
中学の吹奏楽部で始めたんですけど、実は吹奏楽部に入るつもりはなかったんです。3歳からピアノをやっていて、音楽は好きだし興味があったので見学に行ったら、楽器を見せられて気になっちゃって(笑)。そして木管のクラリネットか、金管のトランペットか、どっちがいいと聞かれて、即答でクラリネットを選びました。実は美術が好きだったので美術部に入ろうかなと思っていたんですけどね。
吹奏楽部と平行して中学3年生のときからプライベートで本田耕一先生に師事していました。
その後、部員数130人の、全国大会にも出るような強い高校の吹奏楽でクラリネットを吹いていて、マーチングもやっていました。
留学しようと思ったきっかけは?
吉野
本田先生の薦めです。早い段階で話をいただいていましたが、ずっと「本当に留学するのかな?」という感じでした。だから、自分の決意とかそんなカッコいいことではなく、運良くいい道を作っていただいたところに乗っかったという感じです。
バスクラリネットを始めたきっかけは?
吉野
パリ音楽院管弦楽団のオーディションに合格して、バスクラリネットを吹かないといけない状況になったんです。私はそのとき、まったくバスクラリネットを吹けなくて。それで2年間はフランスにいるので、その間にバスクラリネットをきちんと勉強したいなと思ったのと、ちょうどそのクラスに入れるということがわかったので、バスクラリネット科で学ぶことを決めました。
フランスと日本とでは音楽教育に違いがありますか?
吉野
私は日本の音大を知らないので比較はできないんですけど、音楽教育のシステム自体が違いますね。コンセルヴァトワールと言っても、国立、区立、私立と、いくつもあってパリの各区にもコンセルヴァトワールがあるんです。そこでは幼い子たちが普通に学校に通いながら、習い事じゃないですけど専門的に音楽教育を受けています。しかも、フランスの国からの支援があって、授業料が日本と比較にならないほど安いです。学費はゼロに等しいと言っても過言ではないと思います。
バスクラリネット科ではどんな勉強をしていましたか?
吉野
私はまったくの初心者だったので、まず息の使い方や、アンブシュア、タンギングなど、先生にアドバイスをもらいながら自分でポイントを探していくという、クラリネットを学ぶときと同じことをしました。だんだんと慣れてきたらエチュードをやりました。導入で使ったのはU.ドゥレクリューズの「A.サミーによるクラリネットのための20の易しい練習曲」です。慣れてきたら先生に「移調をしなさい」と言われました。バスクラリネットは現在Bb管しかありませんが、オーケストラの楽譜ではAで書かれているものがあって、Aの譜面をBbで吹くことに慣れておかないとしんどいよ、ということで移調をして半音下げて吹いていました。あと、J.S.バッハの『無伴奏チェロ組曲』をエチュードというかたちでやっていました。
日本に戻ってきてからの活動は?
吉野
2012年に、バスクラリネット科を卒業するのと、やっていたオーケストラは継続がなく2年間しかできないので、そのタイミングで現在の東京交響楽団に首席奏者として入りました。留学中にオーディションを受けて、試用期間が始まるタイミングで日本に帰ってきました。現在も東京交響楽団の楽団員として活動しています。
ありがとうございました。
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