The Clarinet 55号 特集

2015年度 全日本吹奏楽コンクール 課題曲徹底攻略

そろそろ、コンクール曲の練習に取り組んでいる団体も多いのではないでしょうか。
毎年夏に熱い闘いが繰り広げられる「全日本吹奏楽コンクール」。地区大会、県大会を経て、全国大会出場を目指す、小中高の子どもたち、そして大学、一般まで幅広くの吹奏楽愛好家が良い演奏をするべく日々練習に取り組んでいます。
そこで、The Clarinet 55号ではコンクールの課題曲の練習、しかもクラリネットパートをグレードアップするための練習法を、東京佼成ウインドオーケストラ、シエナ・ウインド・オーケストラ、そしてOsaka Shion Wind Orchestraのみなさんに書いてもらいました。ぜひ参考にして、すばらしい演奏を目指しましょう! Clarinet オンラインでは、この記事の一部をご紹介します。

課題曲を吹く前にやっておきたい
パートのための基礎練習  近藤 薫 解説

普段、ロングトーンは個人でやっていると思いますが、パートでもやってみましょう(譜例)。 あらかじめ個人でチューニングをしておきます。そしてまずはpやfなど吹きやすい音量でトライ。メトロノームを使い、音の移行をそろえて取り組みます。音程よりも一人ひとり良い音が出ているかが大切です。なぜなら良い音は良い音程をしているものなのです。息が心地よく楽器に入っていくことを常に感じられるようなロングトーンをしましょう。音程が気になるようであれば、ネックやベルの抜き具合を微調整して、一番バランスの良い加減を見つけてください。
みんなの音が透明に混ざり合った響きを得られるよう目指します。
馴れてきたらpやfでもトライ。ここで乱れてしまうようなら音量によりアンブシュアが変わってないかを見直さなくてはなりませんね。
フェルマータの音は全員が同じ長さで終わらなくても構いませんので、それぞれがブチッと切れず、すーっと空気に響きが溶けてしまうようなイメージで終わりましょう。
(譜例)

譜例

課題曲Ⅰ
天空の旅 ─ 吹奏楽のための譚詩 ─  石原 勇太郎 作曲 / 太田 友香 解説

まず、7小節目からの8分音符のきざみですが、クラリネットはこういうタンギングが汚くなりがちです。この音形は にも出てきますが、息遣いを【図①】のような、“タンギングをしていない時の状態”と変えずに舌をつくことが必要になります。タンギングが汚くなってしまう人は、タンギングをしないこの息遣いから練習し、次に楽譜のスタッカートが付いている所をすべてテヌートに変えて練習し、それからスタッカートにトライしてみてください。上手なタンギングは一度や二度練習しただけで身につくものではないので、この流れの練習を毎日続けることが上達の鍵です!
【図①】

譜例

【図②】

譜例

10小節目のE♭クラリネットの高いレの音程ですが、他の木管高音楽器との間で濁ってしまうと全体にとても大きな影響を与えます。楽器によって音程の癖が異なるため、運指を工夫して音程が合いやすい運指を探してみてください。音程が高くなってしまう人には【図②】に、試してみては?と思う運指を載せておきます。Ebクラリネットは全体を通して、ソリスティックな音色感と溶け合う響きとを場面によって使い分けられるようにできると良いでしょう!

課題曲Ⅱ
マーチ「春の道を歩こう」  佐藤 邦宏 作曲 / 古賀 喜比古 解説

それぞれのパートの役割について

● E♭クラリネット
このパートはオプションで同じグループとしてはフルート、ピッコロパートです。オプションパートなのですが、あるとないとではかなり曲の雰囲気が違います!! 細かいことはのちほど。
● B♭クラリネット
このパートは3パートに分かれてますが、この3パートの楽譜をよーーく見てみましょう。何が解るかな? この曲はほとんどが3パートユニゾンなんです。ですから音程、リズム、タイミング………いろいろ気を付けないといけないですね。これも、またのちほど。
● アルトクラリネット
このパートも本来オプションパートで、主にサックス族と動きが一緒です。対旋律(裏メロディというやつです)を担っていることが多いですね。
● バスクラリネット
主に伴奏を演奏していることが多いです。俗に言うリズム隊ですね。 特にこの課題曲のバスクラリネットは、全体的にとても重要なパートだと思ってます!!!!!!

これで、それぞれのパートの役割が解りましたよね? これでパートで合わせていこうと言う前に………。まずは、個人でしっかりとさらいましょう。
順番は、個人→パート→セクション→全体合奏だと思うので、まずは個人で練習しておくことが大切です。個人でしっかりとさらって準備ができたら、これでやっとクラリネットパートで合わせができます。それでは、本題のクラリネットパートでの練習方法について触れていきます!

 

合わせる段階での注意点

まずは、何を中心に合わせていくか?? 大事なのは、バスクラリネットのリズムを聴いて演奏するってこと。 よく、パート練習で前にメトロノームを置いてそれに合わせて練習している学校を見かけるんだけど、本番の舞台ではメトロノーム鳴らしながら演奏しませんよね。だけど、メトロノーム練習はとても大事なことなので個人練習の時にメトロノームに合わせる練習をしましょう。
じゃあ、パートでは???って疑問が出るよね? 勘のいい人だともうわかるはず!
そう! バスクラリネットがみんなのメトロノーム代わりになるよね。 おっと、そこのバスクラリネットの君! プレッシャーを感じちゃったかな? でも、大丈夫。バスクラリネットはメトロノームを使ってもいいんだ。 どういうことかというと、電子メトロノームでピッピッって光るものを使って、音は鳴らないようにする。自分にだけわかるように。譜面台に置くといいかもね。ここまで準備できたらみんなはバスクラリネットを聴いて練習できます。
これは、合奏でも低音を聴きながら吹くトレーニングになりますよ!

 

>> 次のページでは課題曲Ⅲ〜Ⅴの解説の一部をご紹介します。

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