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《ONLINE限定インタビュー完全版》THE FLUTE vol.204 Close Up
音楽界のガリレオが思案する、音楽会の未来とは? 2025年3月、前代未聞のコンサートを開催!
東京フィルハーモニー交響楽団のフルート・ピッコロ奏者を務めるほか、ラジオのパーソナリティーや指揮者など多岐にわたり活躍するさかはしさん。
来る3月に、フルート演奏だけでなく、指揮、作詞・作曲、そして歌唱を自らが手掛ける、これまでに類を見ないコンサートを開催する。その経緯と、現在のクラシック音楽界に対する思いを伺った。
まだ誰もやっていないことを!
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今回の演奏会を開催することになった経緯と概要を教えてください。
さかはし
僕は2019年3月にもリサイタルを行なっていて、そのときもピアノとフルートだけで演奏するオーソドックスな形じゃ面白くない、もっとクラシックの音楽ファンの層を広げたいと思い、クラシックだけでなくジャズのカルテット(ピアノ、ベース、ドラムセット、フルート)をやってみたいと考えました。
既製の楽曲もあるのですが、すでに他の誰かがやっているだろうと思い、本番の4ヶ月ほど前に思い立って、僕の桐朋音大の同級生で作曲家の小田百合子氏に作曲を依頼しました。彼女からは「制作時間が短すぎる!!」と散々文句を言われたのですが(笑)書いてくれて、それをリサイタルで演奏したら反響があったんですね。
お客さんの中には義理と人情でチケットを買ってくれた人もいるとすると、ちょっと毛色の違うスタイルがあると「あっ! 面白い」と感じていただける。加えて色照明も使っていたので、視覚的にも面白かったんじゃないかなと。大ウケだったんです。
そして今回が5年以上ぶりとなります。前回よりもさらにパワーアップするためにはどうしたらいいか?と考えたところ、僕が創立して、プロ奏者が集まって活動している東京SDGs吹奏楽団に伴奏をしてもらって、吹奏楽でフルートフィーチャーの作品を演奏するのがいいなと。そして前回はジャズを演奏しましたが、今回はポピュラー音楽にしようと考えました。例えば『君の瞳に恋してる』や『Fly Me to the Moon』など、往年の名作映画やポップスの名曲、ビルボードで取り上げるような曲を吹奏楽アレンジでやることにしました。
吹奏楽がフルートの後ろで伴奏するなんて最高じゃないですか。大きい音がするし、見た目も派手だし。もちろん色照明も使いますよ。前半はフルートとピアノで演奏します。クラシックを聴きに来てくださる方もいらっしゃるので、時間配分としては3分の1がフルートとピアノの作品の演奏、後半3分の2は吹奏楽というふうに構成しました。
また今回後半のプログラムでは、吹奏楽ファンなら「この曲は聴きたい!」というオーソドックスな曲を僕が指揮して、「指揮者としてのさかはし矢波」もお見せする予定です。
そして自分が作詞・作曲をした曲を自分で歌うことは初めての試みですが、だからこそやりたいなと。そうすると自分がやっている音楽の要素が、ほぼすべてご披露できるのでは、と思っています。中プロに歌を入れるフルート奏者は多分いないんじゃないかな、さすがにね。
僕はいつも、まだ誰もやっていないことや新しいことをやっていかないと、と思っています。どの世界だって常に新しいものを求めているのに、クラシックの世界だけいつまでも“クラシック”をやっているじゃないですか。
例えばJ-POPや世界中のポップスにしても、アコースティックな伴奏もあれば、最近はオーケストラを使ったコンサートもあるでしょう? けれどクラシックはバッハの時代から現代まで、300年経っても何も変わっていないんですよ。それだけではクラシックのファンが増えないんじゃないかなと思っているのです。今回はクラシックのフルート奏者が、ポピュラー音楽を取り入れてリサイタルをするというのが、自分の大きな変化、新しいアピールの仕方だというふうに思っています。
既製の楽曲もあるのですが、すでに他の誰かがやっているだろうと思い、本番の4ヶ月ほど前に思い立って、僕の桐朋音大の同級生で作曲家の小田百合子氏に作曲を依頼しました。彼女からは「制作時間が短すぎる!!」と散々文句を言われたのですが(笑)書いてくれて、それをリサイタルで演奏したら反響があったんですね。
お客さんの中には義理と人情でチケットを買ってくれた人もいるとすると、ちょっと毛色の違うスタイルがあると「あっ! 面白い」と感じていただける。加えて色照明も使っていたので、視覚的にも面白かったんじゃないかなと。大ウケだったんです。
そして今回が5年以上ぶりとなります。前回よりもさらにパワーアップするためにはどうしたらいいか?と考えたところ、僕が創立して、プロ奏者が集まって活動している東京SDGs吹奏楽団に伴奏をしてもらって、吹奏楽でフルートフィーチャーの作品を演奏するのがいいなと。そして前回はジャズを演奏しましたが、今回はポピュラー音楽にしようと考えました。例えば『君の瞳に恋してる』や『Fly Me to the Moon』など、往年の名作映画やポップスの名曲、ビルボードで取り上げるような曲を吹奏楽アレンジでやることにしました。
吹奏楽がフルートの後ろで伴奏するなんて最高じゃないですか。大きい音がするし、見た目も派手だし。もちろん色照明も使いますよ。前半はフルートとピアノで演奏します。クラシックを聴きに来てくださる方もいらっしゃるので、時間配分としては3分の1がフルートとピアノの作品の演奏、後半3分の2は吹奏楽というふうに構成しました。
また今回後半のプログラムでは、吹奏楽ファンなら「この曲は聴きたい!」というオーソドックスな曲を僕が指揮して、「指揮者としてのさかはし矢波」もお見せする予定です。
そして自分が作詞・作曲をした曲を自分で歌うことは初めての試みですが、だからこそやりたいなと。そうすると自分がやっている音楽の要素が、ほぼすべてご披露できるのでは、と思っています。中プロに歌を入れるフルート奏者は多分いないんじゃないかな、さすがにね。
僕はいつも、まだ誰もやっていないことや新しいことをやっていかないと、と思っています。どの世界だって常に新しいものを求めているのに、クラシックの世界だけいつまでも“クラシック”をやっているじゃないですか。
例えばJ-POPや世界中のポップスにしても、アコースティックな伴奏もあれば、最近はオーケストラを使ったコンサートもあるでしょう? けれどクラシックはバッハの時代から現代まで、300年経っても何も変わっていないんですよ。それだけではクラシックのファンが増えないんじゃないかなと思っているのです。今回はクラシックのフルート奏者が、ポピュラー音楽を取り入れてリサイタルをするというのが、自分の大きな変化、新しいアピールの仕方だというふうに思っています。
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今回、試みとして作詞・作曲、歌唱、すべてをやってみようと思ったきっかけは?
さかはし
やっぱりリサイタルというのは自分にとっての大きなチャンスじゃないですか。例えば「クラシックのコンサートをしてください」と依頼されたら、頼まれたテーマに沿わないといけない。その点、リサイタルの場合は自分でいろいろなことができると思うんです。今回の公演はホールからの依頼ではありますが、内容は僕に任されているので、自分がやってみたいことをやりたい。だから演奏しながら絵を描いたりするのもいいかな、などいろいろ考えたんです。その結果、僕は高校時代の学園祭のときにギターを弾きながら歌ったりしていて、そのときに曲を作っていたことから、今回の形に決めました。
インタビューは続きます!
・経験で培われた、頭を切り替える力\ONLINE限定!/
・楽器の練習と、緊張との付き合い方\ONLINE限定!/
・考えるなら、風呂場!\ONLINE限定!/
・SDGsと音楽
・日々の生活とSDGs\ONLINE限定!/
・引き出しを借り、自ら増やしていく\ONLINE限定!/
・クラシック音楽をより多くの方へ届けたい
・さかはしさんが思う、ここが栃木のいいところ!\ONLINE限定!/
Profile

さかはし矢波 Yanami Sakahashi
桐朋学園大学、同研究科卒。ドップラー記念コンクール入選、NHK新人オーディション1位合格、ジュリアス・ベーカーマスタークラスコンクール4位。これまでにドップラー作品収録の2 枚のCD 他、計4枚をリリース、専門誌に同作曲家研究を発表している。ソリストとして国内外でオーケストラとの共演、リサイタル活動をすると共にTV、ラジオのレギュラーとして数々の番組に出演。また音楽誌にエッセイ等を連載。アルソ出版より初エッセイ集「つれづれ放送局」を2012 年3月に発刊。現在、東京フィルハーモニー交響楽団、ラ・テンペスタ室内管弦楽団(フィンランド)フルート奏者、東京SDGs吹奏楽団音楽監督。聖徳基督大学客員教授(台湾)、JICA 東京国際サポーター及び栃木市文化大使、とちぎ未来大使。峰岸壮一、ジュリアス・ベーカー両氏に師事。
使用楽器:ミヤザワフルート All 14K--RH(Eメカ付)85873
使用楽器:ミヤザワフルート All 14K--RH(Eメカ付)85873
Information

さかはし矢波&東京SDGs吹奏楽団 特別演奏会
“あれもこれも全部やります”
さかはし矢波(フルート・指揮・作詞・作曲・歌)
[日時]3月16日(日)開場14:15 開演15:00
[会場]とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)大ホール
[出演]さかはし矢波(フルート/指揮/作詞・作曲/歌)、東京SDGs吹奏楽団、福田素子(ピアノ)
[曲目]ハンガリー田園幻想曲、君の瞳に恋してる 他
[料金]一般:3,000円 高校生以下:2,000円(税込/全席指定)
※未就学児入場不可
[問合せ]とちぎ岩下の新生姜ホール(栃木文化会館)TEL:0282-23-5678
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