画像

追い求めるスタイルは、幅広く存在するべき イアン・クラーク

THE FLUTE 148号 Cover Story

個性とバラエティ豊かなフルートの現代作品を数多く手がけ、日本にもファンの多いイアン・クラーク氏。その人気とは裏腹に、素顔は日本ではほとんど知られていなかった。このたび8月に浜松で開催された日本フルートコンヴェンションのゲストとして初来日を果たしたクラーク氏に、さっそくインタビューを行なった。にこやかな紳士の素顔、異色の経歴、自作曲に対する想い……予想以上にさまざまな話題が飛び出した濃密なインタビューを、お楽しみいただきたい。
聞き手:榊原敬幸/写真:橋本タカキ/取材協力:ミヤザワフルート製造株式会社

数学を専攻しながら、精一杯音楽を……

--
日本にいらっしゃるのは何回目でしょうか?
クラーク(以下C)
今回が初めてなんですよ! 長い間ミヤザワフルートを使ってきて、ようやくその祖国に来ることができたのでとても嬉しく思っています。人々はみな礼儀正しく優しくて、食べ物も美味しく、大好きな国になりました。また浜松のフルートコンベンションでは、普段ヨーロッパのフェスティバルで顔を合わせるのと同じようなメンバーと再会できて、日本のフルート界の大きさと皆さんの努力に驚いています。
イアン・クラーク
--
クラークさんの曲は日本のフルーティストにも人気がありますが、詳しいプロフィールはまだあまり知られていません。どんな場でフルートを学んで来られたか、また生い立ちなどについても教えていただけますか?
C
それらを全部話すと数時間かかってしまうでしょうから、簡潔なバージョンでお話しましょう(笑)。父はアマチュア音楽家でコントラバスを演奏しましたし、母もチェロとピアノを演奏します。しかし両親は私がプロの音楽家になることに賛成してくれていませんでした。私も子どもの頃からピアノを弾き、フルートを吹いてはいましたが、それと生活のための仕事は別問題だと考えていたようです。ですからロンドン大学で数学を専攻しながら、なんとかギルドホール音楽院でも聴講生として音楽を続けるのがやっとでした。
しかしそこで、エイブリー・ウイリアムズのレッスンを受け、また後にウィリアム・ベネットにも出会い、音楽への情熱を抑えきれずにプロの音楽家を志すようになりました。結果、きちんと学校で音楽を学んだ期間はとても短いですし、他の多くのプロフェッショナル・フルーティストたちのように、リストにして並べられるようなたくさんの師事歴が私にはありません。しかしそうやって数少ない情報やチャンスからなんとかして精一杯学ぼうとしてきた経験が、今の私を作り上げたのだと思います。クラシック音楽家としての経歴に乏しい自分が今では、名だたるフルーティストたちが教授を務めたギルドホール音楽院でレッスンをしていることも光栄に思います。(次のページに続く)

次のページの項目
・自分の作品を初演する意味
・ONLINE限定:クラーク作品、演奏のコツ

Profile
イアン・クラーク
イアン・クラーク
Ian Clarke
イギリス出身のフルート奏者、作曲家。現代のフルート音楽シーンにおいて、最も影響力のある奏者・作曲家の一人。4期続けてBBCヤングミュージシャン木管部門決勝で課題曲に採用され、その他の無伴奏リサイタルでも、手がけた楽曲が演奏され目玉となっている。英国フルートソサエティ、米国のフルート協会など欧米の大規模なコンヴェンションでも、度々ゲストソリストとして演奏する。2005年にリリースしたCD「within...」はフルート界のベストセラーとなった。2013年リリースの「Deep blue」は、オリジナルのフルートアルバムでは初となる、英国のクラシカルアーティスト部門トップ10にランクインを果たした。クラシカルオペラからロックグループのゲスト演奏家まで、幅広い活動を展開。現在、ギルドホール音楽演劇学校で教鞭をとる。

 

CD information
within
「within...」
演奏:Flute:Ian Clarke, Piano:Tim Carey, Guitars:Simon Painter
曲目:1. Orange Dawn / 2. TRKs / 3. The Great Train Race / 4. Spiral Lament / 5. Tuberama / 6. Within… / 7. The Mad Hatter / 8. Hypnosis / 9. maya / 10. Sunstreams / 11. Sunday Morning / 12. Zoom Tube
 
Deep blue
「Deep blue」
サブタイトル
ALCD-9710
¥2,500(税別)
演奏:Flute:Ian Clarke, Piano:Tim Carey、Ian Clarke
曲目:1.Deep Blue / 2.Curves(three flutes&piano) / 3.Touching the Ether(flutes&piano) / 4.Hatchin Aliens(flutes&piano) / 5.Beverley(solo flute)

この記事の続きはCLUB定期会員限定です。メンバーの方はログインしてください。
定期会員に入会するとこの記事をすべてお読みいただけます。

1   |   2   |   3      次へ>      

カバーストーリー
フルートグッズ
フルートコンサートガイド
70年代洋楽

画像
画像

画像